マン島籍フレンズプロビデント・インターナショナルの提供する積み立て型年金プラン(セービングプラン)を契約しておられる方で、IFA(代理店)の移管を考えておられる方が増えているような気がします。
移管の動機は以下のようなものが多いように思われます。
1)現在のIFA(代理店)が提供しているポートフォリオサービスの運用成績に不満
2)現在のIFA(代理店)もしくは中間業者が提供するサービスに不安がある
3)誰かに移管を勧められた
ここでもういちどIFA(代理店)の定義を確認しておきたいと思います。
IFAという呼称は必ずしも代理店とは一致しない場合もあるので、以降は単に代理店と書きます。
日本で業法上登録されていないオフショアの投資商品や保険というものに関しては、通常日本以外のどこかの国に属する代理店が一社正式な仲介業務を行うエージェント(Agent)もしくはブローカー(Broker)として関与します。
通常私が、代理店もしくはIFAと呼ぶのはこのブローカー(Broker)のことです。
エージェント(Agent)というのは、保険会社などが良く使うもので、そのプロバイダー専属の仲介エージェントです。
日本で言えば、日生の外交員のようなもので、プロバイダーの名前を名刺に付けてはいますが、実際は個人でやっている場合が多く、社員とは言えません。
IFA(Independent Financial Advisor)=独立した金融アドバイザーであるためには、複数のプロバイダーとの契約が無ければ中立的な立場とは言えません。
フレンズプロビデントのようなオフショアの投資商品を提供する会社のことを一般的にプロバイダー(Provider)と言いますが、プロバイダーとエージェントもしくはブローカーと呼ばれる代理店の間には、正式な仲介契約(Intermediary Contract)が存在します。
仲介契約(Intermediary Contract)はその代理店が所在する国の業法によって合法的な条件下で締結されるものです。
日本人の方の契約に関しては、中間に複数の紹介代理店や投資助言代理の会社が関与している場合が多く、真の代理店がどの国のどの会社であるかすら認識していない方が多いように見受けられます。
移管を考える以前に、まずは自分の証券を管轄している代理店がいったいどこの国のどんな会社でどのようなオペレーションを行っているのかを把握する必要があるように思います。
代理店の所在地は、大別すると香港とそれ以外に分類することができます。
「それ以外」にはBVI(ブリティッシュバージンアイランド)などに設立されている実態が無いであろうペーパーカンパニーの場合もあります。
シンガポールの場合も、シンガポールの会社の前にどこか別のオフショア法人が絡んでいる場合もあり得ます。
香港の会社だと思っていたら、実は香港の会社は単なるコンサル会社で、別の国の会社が真の代理店である場合もあり得ます。
これを確認するためには、フレンズプロビデントの場合なら、年に一回直接フレンズプロビデントから直接送付されてくる運用報告書(Valuation Report)でIntermediaryを確認するのが一番確実です。
代理店として正式にプロバイダーと契約をしている真の代理店には、その商品の契約締結から契約終了もしくは移管までの長い期間に至る諸々の顧客へのサービスやサポートの責任が帰属します。
代理店はそういった業務と責任の対価としてプロバイダーから仲介手数料を受け取っている訳ですから、当然と言えば当然のことです。
代理店を移管するということは、その手数料と引き換えにサービスの義務を負った代理店をクビにして、別の代理店に切り替えるということです。
移管に関しては、代理店にペナルティーはありませんから、ある意味移管された(クビになった代理店)にとっては業務負担が減ってラッキーかもしれません。
18~24ヵ月の初期ユニットさえ終了していたならば、最初の代理店は何のペナルティーも受けることなくクライアントを手放すことができます。
本来なら長期に渡り継続してサービスを提供しなければならない義務からも解放されるわけです。
方や、移管を受ける方の代理店は、移管を受けることによってプロバイダーから報酬を受け取ることはできないにも関わらず、顧客の契約時点での商品理解も含めて責任を負うことになります。
ファンドのスイッチングなどを請け負う「ポートフォリオサービス」の手数料が唯一移管を受け入れる収入となるのです。
現場の意見を言わせてもらうと、25年にも渡る人的なサービスの経費としてはこれではペイしません。
1)や2)の理由はわからないでもありませんが、1)の運用に関しては積み立ての場合最初の数年の成果はどこでやっていても20年後、25年後の結果にどうつながるかを評価することは難しいでしょう。
2)のサービス面に関しては、もっともリーズナブルな移管理由と言えますが、上記の説明通り、手数料無しで責任を負わされる代理店はたまったものではありません。
今後はより、受け入れのハードルが高くなっていくことが予想されます。
問題は3)の誰かに勧められるケースです。
そもそも報酬のもらえない世界での話ですから、それを勧める理由があるとすれば以下の2つでしょう。
a) 自分が使っている代理店に自分はとても満足しているので、善意でそれを勧めてくれている
b) 何か別の事で移管を勧めるメリットや理由がある
b) の場合、いったい何が考えられるのでしょうか?
よくあるケースは、以前に付き合っていた代理店がプロバイダーから切られてしまったため、その代理店と紹介者との関係が悪化した場合でしょう。
移管者は新しい代理店に対するいわゆる手土産のようなものでしょうか。
代理店サイドは、プロバイダーとの関係構築や、市場でのシェア拡大といった営業的・政治的目論みから移管を受け入れざるを得ない状況と言うのもあります。
特に、これから市場に新たに参入を試みる代理店にとっては仕方のない選択です。
既存の契約者がこのような背景に潜む関係者の意図を理解することは不可能に近いでしょう。
代理店は最初から適切な会社を選ぶことがもっとも大切ですが、もし間違った選択をしてしまったと思っても、同じような過ちを繰り返さないような注意が必要です。
代理店の選択でもっとも重要なのは、その会社(代理店そのもの)が長期的なサポートを責任を持ってきちんと提供する体制かどうか?という部分です。
香港の代理店で日本国内に直営のサポートセンターを持っている会社は1社しかありません。
それを確認するには、契約する前に自分がいったいどの会社とどのような契約を結び、どの会社が何に対して責任を持っているのかをよく確認することです。
移管を考える際にも同様に慎重に考えたほうが良いでしょう。
あなたが今付き合っている代理店には、簡単に放棄させてはいけない責任があるということを忘れないでください。