「121ファンド詐欺事件」に関して、少し物事の核心部分に触れてみたいと思います。
いちばん気味悪く、不思議なことは、「200億円にも及ぶ被害総額の事件にしては公式の報道が少なすぎる」ということです。
産経新聞には以下のような記事が出ていたようですが、スキームについての詳しい内容や、その違法性、捜査の方向性など全く見えず、まるで報道が規制されているかのようです・・・。
**以下引用**
2010.10.27 02:00 産経新聞
外国為替証拠金取引(FX)で運用し、月利3%以上の配当が得られるなどとして出資金を集めた中国・香港の国際投資事業会社が、運用資金をグループ企業の事業に流用していたことが26日、関係者への取材で分かった。グループ傘下の代理店が日本国内で組織的に出資者を勧誘し、被害額は200億円になるとみられる。現在は元金の返還にも応じていない状況が続いており、国際的な大型詐欺事件に発展する可能性が出てきた。
出資者から被害相談を受けた東京弁護士会所属の弁護士は被害対策弁護団を結成。一部の出資者は投資会社やグループ企業、代理店への損害賠償請求の準備を進めており、詐欺罪や横領罪などでの刑事告訴も検討している。
問題の投資会社は、香港に法人登記がある「121インターナショナル・インベストメント・リミテッド」。関係者によると、同社は自社で開発したFX自動売買ソフトを利用した資金運用により、複利が元本に毎日加算され、月利3%以上の配当が恒常的に得られるなどと説明し、日本国内にある複数の代理店を通じて多額の資金を集めたとされる。
**引用終わり**
全く個人的な推測ですが、もし報道が規制されているとすれば、その理由として以下のようなものが想像できます。
1)このような香港や中国を舞台とした「海外私募債」について、最終的には日本の金融庁や警察の司法の手が
届き切らない可能性があり、そのスキームを公開すると、コピーキャットを刺激する恐れがある。
2)詐欺スキームの構造そのものに、なんらかの公開したくない要素が含まれる。
たとえば、脱税を考える人にヒントを与えるようなもの。
3)金融庁は、素人の投資家にとってのFX取引の危険性を認知しながら、その普及を容認してきた・・・
・・・というよりは、むしろ幇助してきたと思われる。
ある意味、カジノ法案の代わりを担ったのがこのFX取引の普及であったような気がする。
たとえば、「普通の主婦がFXで4億円の脱税!」といったような報道は、
「素人の主婦でもそんなに儲かるのか!」といった印象を与えるので、FXの普及をより促進したと
考えてよいでしょう。
であれば、今回のようなFXの自動売買システムを悪用した、インチキFXファンドの話は、
報道の仕方によっては、最も一般に普及していて国内金融機関や国のドル箱であるFX投資熱に水を差す
恐れがあり、報道は好ましくないのかも?
まぁ偏屈なものの見方と思われても仕方ないですが、そういう風に感じてしまうのです・・・。