大好きな車、街並み でも大嫌いなこの時代の差別… “グリーン・ブック” | 飲んで、呑んで、食べて、観て、猫と戯れる日々…

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“グリーン・ブック”

ターコイズグリーンの空の下、ターコイズグリーンのキャデラック。
ロケットテイルでロングノーズ&ロングテールの馬鹿デカい、古き良きアメリカを象徴するコイツ。
しかもオープンのキャデラックではなく、ハードトップセダン…
もう、大好きな車の一つやんかぁ!
街並み、ファッションも大好きな時代やんかぁ!





黒人差別が色濃く残るこの時代に黒人が、より差別が強いアメリカ南部へ、イタリア系の白人を用心棒兼ドライバーとして旅するロードムービー。

アカデミー、作品賞、脚本賞、助演男優賞の三冠を達成したこの作品。

まず、特筆すべきはコテコテのコメディ(吉本新喜劇的な)を撮ってきたピーター・ファレリーが、なんとも味のあるコメディを作り上げた点にあると思う。
脚本の素晴らしさは、冒頭の主人公の人物像を短く簡潔に描ききり、その後のなめらかな展開スピードの中に胸に残るシーンを挟んでくる演出。


金持ちで成功者の黒人と、白人だけど貧乏横暴短気なイタリア系が旅するアメリカ南部。
白人の金持ち達が、自分達でVIPとして呼んでながら「お前黒人だから便所は外ね」「お前黒人だからこのレストランで飯は食わさん」「お前黒人だから…」のオンパレードで矛盾の嵐(笑)
そう、カーネギーホールの二階で王様の様な暮らしをしてる黒人ピアニストが南部に行くと普通に泊まる事すら出来ず、しかも何か個人的にも思い悩んでる。
一方で主人公イタリア系白人自身は黒人を差別していて、でも愛する家族を養う為、金の為に黒人向けガイドブックである「グリーン・ブック」に頼りながら珍道中は進んでく。
でも初めはギクシャクしてた二人の関係が、どんどんイイ感じになっていくのを観る快感。
お互いのコンプレックスやプライド、癖と人間性が絡みあいながら優しく融合していく様は胸熱ポイントを持ってくし、なんか計算された脚本がいちいち琴線をつく。
ラストシーンのあの感じはホントに素晴らしかった。

アメリカでは黒人差別は未だに根深く残ってるし、この映画が差別を問題視しながらもコメディに仕上げた事が(白人目線で描かれた黒人差別映画だと)アカデミー賞受賞式で物議を醸してるらしいけど、ある意味この映画を観る事で優しい気持ちになれた事実を受け止めて、これから先に希望を持てたらイイとオイラは個人的に思ったんだ。

大好きな時代に大嫌いな差別を生んだアメリカって国が日本人から見ると、今更ながら滑稽かつ、コレをエンターテイメントに仕上げる度量深さがやっぱり映画って凄いって思った今日だったね。