Dear Snow 7 | シークレットサイン *嵐大宮妄想小説*

シークレットサイン *嵐大宮妄想小説*

嵐さん大好き、サトシックの妄想ブログです。
今日もリグレットと向き合いながら、
主に大宮の腐った妄想小説を書いています。

 

 

 

 

 

 

その朝は、数日続いた吹雪が止んで
珍しく日が射していた。


空を見上げて太陽の眩しさに目を細める。


昨夜は明け方近くに自室に戻り、
シャワーを浴びてから一時間程
仮眠を取っただけだった。


一晩中酷使した身体はあちこち痛んで
貧血のような眩暈がした。


でも、その対価として得た総司令官勅令。


これがあれば監視無しで外出できるうえに
居所など全てがトップシークレット扱いに
なり、しばらく自由に動くことができる。


…俺に総司令官勅令が出ていることを
本部の奴らが知ったら、また股を開いたの
なんのと言われるんだろうな。


でも、もうそれは根も葉もない噂ではなく
事実だ…


そう思うと自嘲の笑みが浮かんだ。


「二宮さん、準備できました。
出発しますか?」


相葉君が選んだ北方基地への伝令係が
二人分のスノーモービルを用意して
控え目に声を掛けてきた。


まだあどけなさの残る青年に、


「…うん、行こう」


頷いて、モービルのエンジンをかけた。


出発する直前、振り返って
背後にそびえたつ本部基地を見上げた。


豪華な造りがかえって冷たく感じる建物。
次にここに帰ってくるとき、俺はどんな
気持ちを抱いているのだろう。
失意か諦めか、それとも…


いや、そもそも…


俺は再びここに、帰ってくるのか?


これから向かう先に何が待っているのか、
全く見当がつかなかった。


でも、それでも俺は行く。


少しでも大野さんに繋がる可能性があるの
なら…








北方基地までは、最新のモービルで
走り続けても数日はかかる。
しかも基地の手前には山があり、そこで
モービルを捨てて残りは足で歩くしかない。


ろくに休憩も挟まずに雪原を走り続けて、
最後の山がみえてきた頃…


…そろそろ、この同行している伝令係を
どうにかしなくては…


北方基地に着く前に彼と入れ替わり、
伝令係として基地に行きたかった。


…どうする。


モービルを奪って雪原に放り出すか?
でも…万が一本部に戻られて何があったか
報告されたらマズい。
万全を期すなら…殺ってしまった方が…


さりげなく胸元の護身用の小銃を
確認する。


後ろから一発撃てば終わり…簡単なことだ。


でも、何の罪もない青年を…


そう思ってから、
自分で自分の考えを笑った。


普段、机上の駒を動かすだけで敵も味方も
数多の人たちの命を奪っているというのに…


「…二宮さん」


決心がつかずにいたところに、
伝令係の彼が遠慮がちに声を掛けてきた。


「…あ、なに?」

「僕…ここで失礼します」

「え?」


突然の申し出に驚いて顔をみると、
彼は続けて言った。


「実は、故郷の母が病気で…
いったん軍に所属したら、親の死に目にも
会えないものだと覚悟はしていました。
でもどうしても母に会いたくて相葉室長に
相談したら、今回、二宮さんに同行して、
途中で行方をくらませ、と…そしてもう
軍には戻ってくるなと言われました」

「そう…相葉くんがそんなことを…」


相葉君…手回し、良すぎるよ…
俺に手を汚させず、しかも部下の足抜けを
お膳立てするなんて甘いな…


でも…ありがとう…


今は離れた本部にいる相葉君に、
心の中でお礼を言った。


伝令係の彼から階級章を受け取って、
自分の階級章と付け替えた。
それと本部からの正規の伝令であることを
示す伝令章も。


故郷に向かう彼を見送ると、
再び、ひとり北方へ向けて走り出した。