アキラとあきら。山崎瑛と階堂彬。育ちも性格も違う2人だが、私はどちらのアキラ(あきら)も好きだ。
山崎瑛は、少年時代に父親の町工場の倒産という憂き目に遭いながら、ひねたところは全く無い。父を倒産に追い込んだ銀行員ではなく、自分を励ましてくれた銀行員のように、「人を救える銀行員」を目指して日々奮闘している。その心意気が素晴らしい。階堂彬が「お前、育ちがいいな」と言ったが、「育ちがいい」とは決して裕福な家庭に育ったことではない。たとえ貧しくても、家族の愛情たっぷりに、真っ直ぐに育った証しなのだ。
階堂彬は大財閥の御曹司で、プライドが高く高慢でもある。だが、叔父たちの陰謀により、階堂グル-プが倒産という危機に立たされる。そんな時にプライドを棄てて、叔父たちに会社を売ることを土下座で嘆願する姿に、心を打たれた。ばらばらだった親戚や兄弟が、一つになるという奇蹟を生んだのだ。
一見ライバルに見えたアキラとあきらが見事に連携して、何度も危機を乗り越えようとする場面には、涙が止まらなかった。アキラの思いもよらぬ策で、階堂グル-プが倒産の危機を脱して見事に蘇ったことに、胸のすく思いがして深く感動した。
山崎瑛役の竹内涼真さんも階堂彬役の横浜流星さんも、小説のイメ-ジにぴったりで、かなりの熱演だった。