ハイパーインフレって、実際どんなふうに起きるの? もっと教えて。
原因はいくつか重なっていた。政府が歳出を抑えられず、税収が足りないから国債を乱発し、中央銀行が紙幣を増刷して穴埋めを続けた。市場にはお金があふれ、通貨の信用は急速に薄れる。人々は給料日になると、まっすぐ店に走って粉や食用油を買い込んだ。翌日には同じ金額で買える量が、目に見えて減ってしまうからだ。
そう。だから店は朝に値札を作り直し、昼にも夕方にも貼り替える。ゼロが並ぶお札が次々と登場し、100万、10億、1000億、ついには100兆ジンバブエドルというとんでもない額面の紙幣が出た。観光客は珍しがってお土産に買ったりしたが、現地の人々にとっては深刻な生活のしづらさだった。
年金は大幅に目減りし、請求書は印刷している間にも価値が変わって作り直しが必要。給与は月給制では間に合わず、週払いや日払いに切り替わった。街のお店ではお釣りに渡すのに必要な大量の紙幣がうまく手に入らず、店員がキャンディやマッチで代用することもあった。あるいは少額なら「まけておくよ」と言って取引が成立した。これは、そのエリアだけで流通している「地域マネー」のように、その場の信用だけで支えられるやりとりだった。
信用の範囲が狭いからこそ、一歩外に出れば紙切れに戻る。だから人々は急いで使い切った。娯楽や長期の投資は後回しにされ、生活の基礎に優先的に資金が振り向けられた。スマホのバッテリーがすぐ減るから、まず必要な機能だけ使うのと似ているね。
「時間とともに価値が縮む」イメージだよ。賞味期限の近い牛乳を、急いで今日のうちに飲もうとするような状態ともいえる。
理由は3つある。1つ目は、財政と金融の信頼が崩れた。無制限の歳出と紙幣増刷で歯止めが利かなくなった。2つ目は、外のものさしを失った。外貨との両替や輸入価格が基準を与えていたのに、それが機能しなくなった。3つ目は、人々の期待が暴走した。「明日のほうがモノがなんでも高い」と信じる心理が広がると、誰も通貨を持とうとしなくなる。こうなると政策の効果も追いつかない。
ハイパーインフレは、数字だけでなく心理の炎上でもある。だから止めるには、政策の強い実行力と、人々の安心を取り戻すしっかりした仕組みが必要だ。たとえば給与や価格のつけ方、契約のやり直し。社会の基礎に優先して資金を回す仕組み。学校や病院、食料輸送を守る判断が欠かせなかった。
ジンバブエのハイパーインフレのピークは2008年の秋だった。価格は約24時間と少し、つまり1日と数時間で倍々に跳ね上がったと推計されている。計測自体が難しいほどの速度でね。結局、2009年に政府は自国通貨の流通を停止し、米ドルや南アフリカランドなどの外貨を使う体制に移った。2015年には旧ジンバブエドルを正式に廃止。のちに2019年に新しいジンバブエドルを導入して自国通貨の流通をあらためて試みたけど、なかなかうまくいかず、物価や為替の不安は長く尾を引いた
「デノミネーション」を繰り返しても、土台の信用を回復できなければ効果は薄い。
桁を切り捨てて通貨の単位を変更すること。そんな調整を何度試みても、一度失った信用は回復しにくい。ハイパーインフレとは、通貨の問題であると同時に、政治・財政・外貨収支・社会心理の総合問題なんだよ。
他の国でも、こういうことはよく起きたの?
上野:起きているんだ。たとえば1923年、第一次世界大戦後のドイツ、1948年、内戦と財政悪化に伴って物価が高騰した中国、そして物価が”15時間ごとに倍”になった史上最悪のハイパーインフレとされるハンガリーなどが挙げられるよ。
ハイパーインフレって、どの国でも起こり得るの?
上野:条件が重なれば、起き得る。共通点はおおむね3つだ。1つ目は財政・金融の歯止めが壊れること。2つ目は外貨や輸入価格という”外のものさし”を失うこと。3つ目は人々の期待が「どうせ明日のほうが高い」という考え方に傾き、通貨を持つインセンティブが消えること。
それらを止めるにはどうしたらいいんだろう。
上野:まず”刷り過ぎ”を止める。次に、制度の信頼を立て直す通貨改革や財政の再建を明確にする。外貨を一時的に使ってものさしを取り戻す選択もある。重要なのは、政策の技術だけでなく、人々の心理を落ち着かせる説明と合意をつくることだよ。
ミドリ:なるほど、数字だけじゃなく気持ちの面も大事なんだね。私たち、ごくごくふつうの国民には、いったい何ができるんだろう?
大きな問題だね。わかりやすいのは、国の舵取りに参加することだよ。民主主義の国に暮らす僕ら庶民にできる最大のリスク管理は、選挙で意見を示すこと。財政・金融の方針は、結局は政治の決定だからね。棄権して文句だけ言うのは、筋が良くない。小さくても一票は一票。信用と暮らしを守るための参加だよ。
日本も、戦争に負けたときに同じようなことがあったんだよね?
上野:そう。戦後の日本も、国債や通貨の信用が地に落ちて強烈なインフレに見舞われた。だからこそ、ジンバブエの事例は遠い国の話じゃない。信用が揺らげば、どんな通貨も紙切れになる。
90年代の旧ソ連や東欧は、税金を集める仕組みがまだ弱いまま市場経済に変わったから、国のお金が一気に足りなくなった。そこで中央銀行が「足りない分はお金を刷って埋めよう」として、通貨への信用が落ちていったんだ。次に、ベネズエラは「デノミネーション」をしても、人々が信用せず、街の実際のレートはさらに悪くなった。ジンバブエは2009年に米ドルなどを使うことでいったん落ち着いたけれど、2016年に「紙幣不足への対処」として新しい紙幣を出し、また物価がぐっと上がった。
ミドリ:ねえ、今の日本って大丈夫なの?
さまざまな国の歴史から学べることは多いよ。税と財政の安定した土台を整えること。中央銀行の紙幣増刷に頼ったりしないこと。日々の政策で、少しずつ信用を積み上げていくこと――この3つだ
ハイパーとまで言わないが消費税廃止したら間違いなく円安は進行してあらゆる物価は高くなるよ、円安が進行すれば外国人労働者はいなくなり人手不足になって人件費は上がる人件費が上がれば当然物価も上がる、今はまだいいが団塊ジュニアがリタイアする2040年頃圧倒的に人手が足りなくなって円安も進行して今の倍くらいの物価になってもおかしくない。
>ハイパーとまで言わないが消費税廃止したら間違いなく円安は進行してあらゆる物価は高くなる
消費税減税を公約に掲げるなら、一緒に子ども家庭庁を廃止しますぐらい言わないと
無責任でどうしようもない
党首討論とかやってるけど減税、減税のオンパレードで本当うんざりするわ