ホラー映画雑誌『VZONE ブイゾーン』グロ袋とじからゴアゴア・トロマの全てまで | トラウマ日曜洋画劇場

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レンタルDVDもインターネットもなかったあの頃。インドア派の少年たちがオタクとかヒキコモリといった言葉で安易に総括されてしまうこともなかったあの時代。昭和キッズは夜な夜なテレビで放送される洋画番組をめちゃくちゃ楽しみにしていた……

ビジュアル・ホラー・マガジン VZONE(ヴイゾーン)
1986年1月創刊号 980円


トラウマ日曜洋画劇場-VZONEヴイゾーン-発行人・末井昭

表紙には「日本で初めてのホラー・マガジン創刊」とありますが、編集ノートのページで、発行人の末井昭さんが、「実は創刊号(写真右)は第2号だ」と説明しています。本当の創刊第1号は、アニメなどを扱った別種の雑誌だったんですね。

末井昭さんといえば、 『素敵なダイナマイトスキャンダル』、何度も読み返しました。実のおかあさんが隣の家の息子とダイナマイト心中しちゃった末井少年の半生記です。町工場へ集団就職し、キャバレーの看板描きやイラストレーターを経て、伝説のエロ本編集長となり……。白夜書房とかウィークエンドスーパーとか写真時代とかパチンコ必勝ガイドとか荒木経惟とか南伸坊とか赤瀬川原平とか……そういう名前を全然聞いたことがない人にもぜひ読んでほしいオモシロ本です。

さて、肝心の『VZONE』の内容ですが、細かい映画情報やビデオデータを並べて得意そうにする気などさらさらなく、『
死霊のしたたり』や『ゴアゴアガールズ』などが脚光を浴びた当時のホラーブームに乗っかり、「みんなで楽しもうぜ!」といったテキトーなノリが誌面にあふれています。

創刊号には、「思わず眼球に突き刺さるシーン・ワースト10」というふれこみで、「凄絶無比、超ド級大出血グロシーン・恐怖の袋とじ」なるものまで付いています。ワクワクして袋とじを破ると、中身はなんてことない『ジャンク』の猿の脳みそスプーン場面だったり、ハーシェル・ゴードン・ルイスの『カラー・ミー・ブラッド・レッド』のワンシーンだったりして、袋とじ企画の醍醐味である「なんだよもう」というガッカリ感を存分に味わえます。


トラウマ日曜洋画劇場-にっかつガイラ美女のはらわた

日野日出志さんの『ギニーピッグ2 血肉の華』の製作現場レポートなどもあり、基本的に、当時うじゃうじゃ発売されたスプラッタービデオの宣伝記事が多いです。オレンジビデオハウスとかそのてのやつ。ガイラ(小水一男)監督のにっかつ作品『処女のはらわた』『GUZOO』『美女のはらわた』なども登場しています。

『悪魔のしたたり/ブラッドサッキング・フリークス』ファンにはたまらない「ロイド・カフマンが語るトロマ史」や、喰始の「ファンタスティックムービー対談」といった記事の間に、島本慶なめだるま親方が活躍する「手作り死体写真ギャラリー」や「東京キモダメシ・ルポ」などが混ざっているサービス精神もなんだかすごい。

個人的には、創刊号の「日本のナツホラ特集」が気になりました。70年代に東宝が製作した特撮怪奇映画『呪いの館 血を吸う眼』、『血を吸う薔薇』などを取り上げているページです。山本迪夫監督の推薦で吸血鬼役をやることになった岸田森さんのスナップ写真は、いま見ても迫力じゅうぶん。新東宝の中川信夫監督作品『東海道四谷怪談』や『地獄』なども熱く紹介しています。

 

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