電子たばこは、紙巻きたばこよりも安全な代替品として宣伝されることが多いが、より安全だからといって安全とは限りません。学術誌「カルシノジェネシス」に最近掲載された総説によると、ニコチンを含む電子たばこは、一部のガンの発症リスクを高める可能性があることが新たな証拠によって示されました。
今回は、CNNのウェルネス専門家であるレアナ・ウェン医師に、電子たばこに関するさまざまな疑問についてお話を聞きました。ウェン医師は救急医であり、ジョージ・ワシントン大学の非常勤准教授も務めます。
Q:この研究で電子たばことガンのリスクについて何が分かったのでしょうか?
A: ウェン医師によると、この論文は一つの実験結果を報告したものではなく、電子たばこと発がんメカニズムに関する証拠を広く検証した大規模な科学的レビューだといいます。著者たちは、電子たばこが細胞や組織にどのような影響を及ぼし、それがガンの発生とどのように関わっているかを調べた実験室での研究、動物実験、人を対象としたバイオマーカー研究、疫学研究の結果を検証しました。
このレビューでは、電子たばこのエアロゾルがDNAを損傷し、慢性的な炎症を引き起こす可能性があることを示す証拠がまとめられていますが、これらはいずれも、ガンの形成と関連するプロセスだとウェン医師は指摘します。また研究者らは、電子たばこのエアロゾルに発がん性の可能性がある化合物が含まれていることを示す研究についても検討しました。それらの物質には、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドのほか、ニッケル、クロム、鉛といった重金属が含まれます。これらの重金属は、電子たばこ内部の加熱装置から発生している可能性があるといいます。さらに、電子たばこと肺がん、口腔(こうくう)がん、膀胱(ぼうこう)がんとの関連性を示唆する証拠についても検証が行われたとウェン医師は述べました。
ただ、電子たばこが広く使用されるようになったのはここ10年ほどのことであり、多くのガンは発症までに数十年を要します。つまり、従来の紙巻きたばこについて得られているような、がんリスクを明確に数値化できる長期的な人口データは現時点では存在しないということです。また、既存研究の多くは、実験室レベルの研究や動物実験、さらに人のガン発症例ではなく、短期的な生物学的変化を調べたものが中心だといいます。
それでも著者らは、さまざまな種類の研究で一貫した結果が得られていることを踏まえると、電子たばこは決して無害ではなく、長期的にはガンの発症リスクを高める可能性があると結論付けた、とウェン医師は述べました。
Q:電子たばこはたばこの葉を燃焼させないにもかかわらず、どうしてガンの原因となり得るのでしょうか?
A: ウェン医師によると、電子たばこで加熱される液体には、ニコチンや香料、さらにプロピレングリコールや植物性グリセリンといった溶液が含まれていることが多いのです。これらの物質は加熱されると、細胞やDNAに損傷を与える可能性のある化合物に分解することがあります。また、電子たばこによって発生するエアロゾルには超微粒子が含まれており、これらは肺の奥深くまで吸い込まれ、慢性的な炎症を引き起こす恐れがあるとウェン医師は指摘します。
またニコチンも、たばこの煙と同類の典型的な発がん物質には分類されていないものの、腫瘍(しゅよう)の増殖、血管新生、さらにガンの進行を支える細胞内シグナル伝達経路を促進する恐れがあるといいます。
Q:電子たばこは、それでも紙巻きたばこより安全なのでしょうか?
A: ウェン医師によると、現在分かっている限りでは、電子たばこは可燃式の紙巻きたばこより害が少ない可能性が高いといいます。紙巻きたばこの煙には数千種類の化学物質が含まれており、その中には数十種類の発がん性物質も含まれているとウェン医師は説明します。
しかしウェン氏が懸念しているのは、「紙巻きたばこより安全」という表現が、しばしば「安全である」と解釈されてしまうことだといいます。そのような解釈を裏付ける証拠は存在しないとウェン氏は言います。電子たばこを使用すると、依存性のあるニコチンのほか、さまざまな潜在的有害物質にさらされます。また、電子たばこは喘息(ぜんそく)患者やその他の慢性肺疾患を抱える人の呼吸障害を悪化させる可能性があるとウェン氏は指摘します。さらに、電子たばこ製品は比較的新しい製品であるため、その長期的な健康影響については現在も研究が続けられている段階です。
この点は、電子たばこがなければ決してたばこを吸わなかったであろう若者や若年成人にとって特に重要だとウェン氏は言います。喫煙習慣のない人にとって、電子たばこを吸い始めることは、健康を促進する選択肢とは決して言えないとウェン氏は付け加えました。
Q:電子たばこは禁煙に役立つのでしょうか?
A: ウェン医師によると、たしかに電子たばこが禁煙に役立ったとする体験談や、電子たばこが特定の成人において喫煙の減少や禁煙に役立った可能性を示唆する研究結果もありますが、これらの報告に反する研究も存在するといいます。また、米食品医薬品局(FDA)が電子たばこを禁煙補助器具として承認していない点は極めて重要だとウェン氏は指摘します。
主な懸念の一つは、禁煙目的で電子たばこを始めた人の多くが、長期的にニコチンの使用を続けてしまうことだといいます。つまり、ニコチンの摂取方法が変わっただけで、依存そのものが解消されていない可能性があるということです。
一方、FDAが承認している禁煙ツールには、より強い科学的根拠が存在します。その中には、ニコチンパッチ、ガム、トローチ剤、吸入器、鼻スプレーといったニコチン代替療法が含まれ、これらは離脱症状を管理された形で軽減するよう設計されているといいます。
ウェン医師は、禁煙希望者に対し、体系的な禁煙プログラムについて医師に相談し、FDAが承認する、エビデンスに基づいた方法を利用することを勧めます。
Q:紙巻きたばこと電子たばこを併用している人はどうかでしょうか?
A: 紙巻きたばこと電子たばこの併用は非常に一般的で、喫煙量を減らす目的で併用する場合もありますが、問題は、併用者が紙巻きたばこの毒作用にさらされ続けているだけでなく、電子たばこによる追加的な曝露(ばくろ)も受けている点にあるとウェン医師は指摘します。
併用者の心血管系および呼吸器系のリスクは、紙巻きたばこ単独使用者と同程度か、それ以上になる可能性が複数の研究で示されているといいます。
Q:電子たばこを使用する10代の若者や若年成人が抱えるリスクとは?
A:ニコチンは発達途中の脳、特に注意力、学習能力、衝動制御に関わる領域に影響を及ぼす恐れがあるため、青少年や若年成人(による電子たばこの使用)は大きな懸念だとウェン医師は語ります。
米疾病対策センター(CDC)によると、2024年には米国の中高生160万人以上が、現在電子たばこを使用していると報告したといいます。
また10代の若者は自分がどれだけ多くのニコチンを摂取しているかを過小評価している可能性があります。多くの電子たばこ製品には非常に高濃度のニコチンが含まれており、青少年においてはニコチン依存が急速に形成される可能性があるとウェン氏は警告します。
さらに若年層による電子たばこの使用は、その後の紙巻きたばこの喫煙や他の依存性物質の使用につながる可能性が高いことを示す証拠もあるとウェン氏は言います。またニコチン依存以外にも、呼吸器への影響や、うつ病などの精神疾患との関連、さらには重要な発達段階における有害な化学物質への曝露といった懸念が指摘されているといいます。
Q:保護者は子どもに電子たばこについて何を伝えるべきでしょうか?
A:ウェン医師は、保護者は、自分の子どもは電子たばこに触れていないと決めつけず、率直かつ中立的な態度で、子どもと電子たばこについて話し合うべきだと主張します。多くの青少年は、仲間やソーシャルメディアを通じて電子たばこ製品に接触しているといいます。
電子たばこは単なるフレーバー付きの水蒸気ではなく、強い依存性のあるニコチンや、肺を損傷する可能性のある化学物質、さらに長期的にガンのリスクを高める可能性のある物質が含まれていることもあると説明することが重要だとウェン氏は述べました。
Q:現在電子たばこを使用している人は今何をすべきでしょうか?
A:まず紙巻きたばこを吸っていない人については、電子たばこを始めないことを勧めています。また、すでに電子たばこを使用している人、特に日常的に使用している人は、使用を減らし、できれば使用を中止することを検討すべきだとウェン氏は訴えます。
一方、紙巻きたばこから電子たばこへ完全に移行した喫煙者については、紙巻きたばこを吸うよりは電子たばこを使用する方が望ましいとしながらも、長期的にはニコチン依存からの完全な脱却を目指すべきだとアドバイスしました。