数年前、朝日新聞に掲載された記事です。
記事掲載後は「意見を聞かせてほしい」と、育児サイト数社から取材を受けました。
記者さんたちからは、
「外出時の授乳は、アリかナシかを答えてほしい」と投げかけられたし、
私に「ショッピングセンターの授乳に反対意見があるなんてありえない!」と、答えてほしいようすでした。
しかし、私は
「外出時の授乳が、アリかナシか」ではなく、
外出先でどのように授乳するか
ここが論点だと思っています。
母乳育児をしているママと日常的にかかわっている私ですら、
プライベートの時間に、突然「乳房」や「乳首」を連想させるできごとがあったらびっくりします。
ましてや、
出産も育児も経験していない人や、母乳とは縁のない生活をしているならば、抵抗を感じるのは当然のこと。
外出先の授乳から連想して思い出すのは、地域のお祭りでのできごと。
お祭の運営テントに「この会場には授乳室もないのか!」と男性が怒鳴り込んでいったのです。
息巻いているようすを見ていたら、つい、
「ああ、この人の奥さんは今から乳首をベロンと出して授乳すんだろうな。ふふふっ」と、想像してしまいました。
助産師の私ですらそう感じたので、運営テントのおじさんたちはもっと想像したことでしょう笑 。
そもそも、母乳育児の時に「乳房を隠す」という行為が、逆に「恥ずかしさ」を駆り立てるのではないでしょうか。
先ほどのお祭りのように、隠そうとムキになるほど逆に目立ってしまいます。
母乳を飲ませる時に、「隔離して」「隠す」こと自体に不自然なイメージもあります。
そこでおすすめしたいのは、
母乳を飲ませているように見えない飲ませ方。
抱っこしているようにしか見えない母乳育児をしていたら、まわりから見ても自然。そして目立つこともありません。
たとえばこのように。
屋外で飲ませても違和感ありません。
私たちの食事も同じではないでしょうか。
人前で飲食するときに、真正面を向いてむしゃむしゃ食べるのは上品ではありません。
口に入れるときは下や横を向いたり、口元を隠すのが上品な食べ方です。
口紅がコップにべったりつかないようにするように。
母乳を飲ませるときも同じです。
■乳首を口に入れるときは、真正面から見えないように壁の方を向く。
■ごくごく飲んでいる瞬間が丸見えにならないよう授乳服やスカーフを活用する。
たったこれだけのことで、目立ちません。
とってもスマート。
授乳用ケープの使用は、二酸化炭素濃度が上がるし暑い!!
狭い押し入れで食事するより、アウトドアで食べたほうがおいしいのと同じですよね。
つまり、
「外出時の授乳が、アリかナシか」
「外出先で授乳したらダメなのか」
という論点ではなく、
「相手への気遣いや上品さがあったか否か」
ここが論点なのだと私は思います。
ザ・母乳を想像する授乳をしなければいいだけのこと。
もしも飲ませているのか分からないようにスマートな授乳をしていたなら、新聞に投稿した学生さんを戸惑わせることなかったでしょうね。
この動画も、全員がアウトドア授乳中。
撮影したのは八潮駅前公園です。
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