先日、母と姉とちょっと良いホテルのランチバイキングに行った。
ちょっと良いとはどのくらいかというと、
母が事前に「キレイな恰好で来てね」とメールを送ってくる程度であり、
そのレストランのHPには
「大きな窓からあふれる陽光と優雅なホテル空間でシェフこだわりの料理、季節ごとの新作メニュー、デザートのブッフェをお楽しみください」と書かれているくらいの、ちょっと良さである。
ビュッフェではなく、ブッフェと書いているあたりには本物感がちらついているので、
もしかすると わりと良い くらいなのかもしれない。
ブッフェなんてすこしお下劣感が混じった言葉を自信満々に使うなんて偽者にはできない業である。
実際そのブッフェには天ぷらや美味しい食べ物がたくさんあって良かったのだが、
優雅なホテル空間で私は受験会場を思い出した。
広いレストランの中でおのおのが食事を楽しんでいると、
ウエイトレスさんがパネルを持って、なにやら大声を出し始めた。
「ただいまより~中央にて~~フランベで仕上げる~ハンバァ~グ~トリュフソースで~を~数量限定で~ご用意いたします~」
タイムサービスでちょっと良いものをくばるというのである。
数量限定というのだからきっと急がなければならない、ここは大阪である。
しかし、周りをみると走ってハンバーグをとりにいく人はいない。
なんたってここは「ちょっと良い」ホテルのレストランなのだ!
スーパーのタイムセールではない。
皆「ちょっと良い」ホテルに合わせて競歩でハンバーグに向かう。
「絶対ハンバーグ食べたい!」が顔に出るのを必死に抑えて淑女ぶる。
ハンバーグは食べたい、でも、「ちょっと良い」ホテルのレストランでは
走るなんてみっともない。
少し奮発してホテルバイキングにきた私とは違って
周りはみな紳士淑女だから私も淑女のような歩き方で、しぐさで、でもハンバーグは入手できるはやさで進まなければ、、
みながみな、そのような面持ちでハンバーグに向かっていた。
まさに受験会場である。
周りが皆秀才にみえる。
ビュッフェ会場も自分以外みんなセレブに見える。
でもそれはまやかしだ!
来ている人たちは全員中流階級の人々だろう。冷凍うどんを常備している程度の。
セレブはランチバイキングなどには来ない。ただ食べたいものを好きなだけ注文する。
そんなこと、日常ではわかっているのに、
優雅なホテル空間に来ると惑わされてしまう。
どうせなら惑わす側にまわりたい。
これからは人々が惑わされる場を注意して探していこう。