柴犬 豆柴の胡南 -3ページ目

柴犬 豆柴の胡南

豆柴犬 横浜の胡南パパのブログ

母親だった。


心配そうに俺を覗き込んだ。


「大丈夫・・・」と母が話しかける。


「俺どうしたの・・・・」やっと声をだした。


「家で寝ていたはずなのに・・」


母は、目いっぱいに涙を浮かべながら、ただ頷いていた。


少し落ちついたのか、ちょっとまってねと一言だけ言って

医者を呼びに行った。


医者の話では、昏睡状態が一週間も続いていた為、目が覚めた事が奇跡だとの事だった。


後で分かることだが、これは浩司を助けた代償だった・・・・

歴史を変えた事による代償であった。


ただ今は、そんな事は知る由もなかった。



医者からは原因不明の為、もう少し入院し検査することを進められ、

二週間程、あらゆる検査を行ったが、原因不明のままだった。


しかし、これ以上、検査しても分かることが無いため退院する事になった。



久しぶりの家は、なんだか懐かしい匂いがした。

明日からは、また学校にいける。


期待と不安でなかなか眠れない


明日から、また、いつもと同じj一日がはじまる・・・

同じ一日始まることが、こんなに嬉しい事とは思いもしなかった。




今は、明日のことで頭がいっぱいで、もう一つの自分の力が目覚め始めていることに気付いてはいなかった。

これからの人生を変えていくもう一つの力が・・・・・


つづく











どちらとも無く空を見上げた。


一息つくと


「あっ・・・部活」と浩司が一言


俺も我に返り


「まずい遅刻だぁ」


慌てて自転車を漕ぎ出した。


俺と浩司は部活に遅刻してしまい。


部長よりこっぴどく叱られ結局、立たされたまま見学する事になってしまった。


部活に参加出来なかった事が2人ともショックだった為

朝のことはすかっり忘れてしまっていた。


授業が終わり、部活に向かったが、足が重い。

今日は、どっちにしろ見学させられるだろう。

時間に遅れると丸一日部活に参加出来なくなるのが規則だからだ。


やはり、部長からは

「今日は立っていろ」と命令された。

立っていても帰る時間は皆と一緒だ。


家に帰ると、何も出来なかった苛立ちや悔しさがあったが、

疲れていたので食事もせず寝てしまった。


目が覚めたのはいつもと違うベットの感触と、見たことも無い部屋の中だった。

腕には点滴がついていて、酸素マスクもしていた。


何があったのか全く想像も出来ないまま辺りを見回した。

どこかの病院のようだった・・・・


どうしたんだ?

今の状況が何度考えても分からない。

確かに家で寝ていた筈なのになんで・・・・・


扉を開ける音が聞こえた。

だれだ?


起きたばかりで声にもならない。

「う・・・・」

うめきのような声しか出なかった。


人が近寄ってきた。


つづく






家についてからは、昨日のことで頭がいっぱいだったのと、部活の疲れでそのまま食事もせず、ベットに倒れこむように眠りに入った。


「うおおお・・・・」


自分の叫び声に目を覚ました。

瞬間、さっきまで見ていたものが現実なのか夢なのか区別がつかなかった。

ベットの上に座ったまま呆然としていた。


気が付けば下着まで汗でびっしょり濡れていた。

時計に目をやると5時を少し回っていた。

いつもより1時間以上も早く目を覚ました事になる。

シャワーを浴びようと風呂に向かった。


熱いシャワーを浴びながら、さっきの夢を整理してみた。

あまりにもリアルな夢だった。


朝、いつもの交差点で信号を待っていると浩司がきた。

「おっす」・・とお互いに声を掛け合い。


信号が変わると浩司が先に前にでた。

俺は、よそ見していてまだ動いていなかった。

浩司が前に行った事に気づき自転車をこぎだそうとした時・・・・


突然、もうスピードで赤信号をトラックが浩司に向かって突っ込んできた。


俺には、その瞬間スローモーションのように見えていた。


浩司はトラックに自転車ごとぶつかり宙を飛んでいた。


まるで、人形のように体の力が抜けたように・・・・


10mくらい飛んだ後、頭から道路に叩きつけられ体が有り得ない方向に屈折し

更に一回転し今度は胸から道路に叩きつけらた。


俺は一歩も動けずその場に立ち尽くしていた。


サラリーマン風の人がは浩司に駆け寄り周りの人に救急車の手配と警察への通報を

指示していた。


トラックの運転手は、青ざめた表情で、膝から力なく砕けおち道路にへたりこんでいた。

周りに人だかりが出来てきたが、まだ俺は動けなかった。


救急車や警察が、けたたましいサイレンを鳴らしながらようやく到着した。

俺は、ようやく正気を取り戻し浩司に駆け寄った。

浩司が血だらけになりそこに倒れていた。


俺は、悲しさと絶望で叫んだ。


「うおおお・・・」・・と目を覚ましたのだった。




シャワーを浴び、一息ついたせいか、さっきのは夢だったと実感できた。


ほっとしたせいか、腹が減っている事に気づいた。


台所に行くと母が朝食を作っていた。


「おはよう」・・・母が声を掛けてきたが、いつもの様に無言で返事をした。


「今日は早いのね」


俺は、「メシ」と一言だけいうと


母は嬉しそうに微笑みながら、用意してくれた。

無言のまま、食べ終え食卓をあとにした。

まだ時間があったので、テレビを見ながら時間をつぶした。


いつものように母に無言で挨拶した。行ってきますと・・・


「いってらっしゃい」

母も気づいたようだ。


自転車に、またがり漕ぎ出すとデジャブのような違和感があった。

朝、いつもの交差点で信号を待っていると浩司がきた。

「おっす」・・とお互いに声を掛け合う。

さっきの違和感が、妙に夢と重なる。


まさか・・・正夢?


信号が青に変わる。

背中を悪寒が走る。


まずい・・・・このままでは・・・


浩司が漕ぎ出した。


とっさに持っていた傘で浩司の自転車の後輪に突き刺した。

浩司はバランスを崩し倒れた。


起き上がると同時に俺に掴みかかってきた。

「なにするんだ・・・」


次の瞬間、赤信号を猛スピードで目の前を通りすぎた。


浩司は、ビックリした表情で俺を見た。


「危なかった・・・あのまま行ってたら・・・」


「確実に俺死んでたな」


2人は顔を見合わせたまましばらくの間

そこに立ち尽くしていた。


つづく・・・





俺には、人には言えない力がある。

言ったところで笑われるか、変人と思われるかどちらからだ。


とにかく、日本人は、人と同じ事を好む。

個性とか一般的によく言われるようになったが、昔に比べてホンのちょっとだけ変わっただけだ。

女子高生達が良い例だと思う。

ガングロが流行った時は皆、真っ黒だったし、ルーズソックスの時もそう・・・

そして今は、ミニスカートが流行っているようだ。

今回はたまたま、女子高生を例にしたけれど、日本人なら結局、誰でも皆、同じだ。


その証拠に今も昔も俺の能力の話をすれば誰でも同じ様に鼻で笑う。


前置きが長くなったが、俺には未来が見える・・・・・


それは、夢であったり、突然頭に閃きの様に映像が見える時がある。


ただ、今までは、単純な本当に些細な事しか見えなかった。

例えば、じゃんけんの時、閃きの様に相手が何を出すか分かるとか、

クチビキで何を選べば何が当たるとか。

夢では、先生に起こられる事が正夢で当たったりとか、そんな他愛も無いものだった。


あの日が来るまでは・・・


あの日は、何時もと全く同じで平凡に過ぎていく筈だった。・・・・しかし・・・


当時、部活は陸上部に入っていて何時ものように練習が終わったのは夜の9時を回っていた。

自転車で帰り道を走っていると突然暗雲が立ち込め雨が降り出した。

直ぐに、バケツを引っ繰り返したような凄い土砂降りなり前も見ないほどになった。

しかし、明日の朝連の事を考えると、早く家に帰り寝ないと起きられなくなるので、びしょびしょになりながらも懸命に自転車をこいだ。


急に何かが光った・・・


閃光の様に突然眩しい程の光が・・・


俺を包んだ。


その後は、何があったのか全く覚えていない。


ただ、目が覚めたのは、


いつもの目覚ましの音で、

いつもの自分のベットの上にいた。


しかし、その時は昨日の事など全く忘れていた。

ただ部活に遅れないようにベットから飛び起き自転車で学校に向かった。


信号で止まっていると浩司がきた。

こいつは、俺と同じ部活で、いつもこの信号で合う。


「おっす」・・・・と浩司が声を掛けてきた。


浩司は、坊主頭で背が俺より10センチ高い

顔立ちもよく、正確もいいため、女の子には良くモテル。

俺の唯一の親友でもある。


「おう」・・・と俺も挨拶をした。


「昨日の雨は、凄かったな・・・俺、完璧ずぶぬれよ」・・・と浩司が言葉とは裏腹な

なんとも人懐っこい笑顔で俺に言った。


「ん」・・・と俺の声は詰まった。


何度思い出そうとしても何にも覚えていない。


不信そうに見つめる浩司に、


「ああ・・そうだったな」・・・と一言いうのが精一杯だった。


まさか、全く覚えていないとは言えなかったからだ。


そのまま、2人で学校に向かったが、俺は、昨日の部活が終わってから今朝までの間、

何も覚えていなかった。


授業中もずっとその事だけを考えていたが、結局思い出すことが出来なかった。


この力に気づくまでは・・・・・・


つづく








腕の痛みよりも恐怖に体が硬直している。


暗闇に少し目が慣れきた。


闇よりも更に黒い影が。浮かんでいるのが、なんとか見える。


1~2メートル位離れているだろうか・・・

自分の間合いの中に奴がいる。


以前やっていた空手の血が騒ぐ・・・

何かものかも、分からない奴にやられてたまるか?


素早く中段辺りに廻し蹴りを蹴りだした。

しかし手ごたえは全く無い・・・空を切ったようだ。


体が思いのほか緊張し思うように動かない。


それも当然だ、こんな状況になったのは初めてだ。

喧嘩もした事は無い。

スポーツとして空手をやっていただけだから。

だが、今はそんな事、言っている場合ではない。


もう一度蹴ってみるがやはり空を切るだけだった。


スッテップを刻み体をほぐしてみる。


影は、殆ど位置を変えていないようだ。


だんだん辺りの状況が見えるようになってきた。

体をほぐしたので、緊張もほぐれてきたようだ。


影の高さは2メートル以上はある。

形から想像して一番近い形は熊だろう。

しかしこんな都会の真ん中に熊が居る筈は無いが・・・


今度は更に一歩踏み出し頭辺りに渾身力を込めて跳び蹴りをした。

手ごたえがあった・・・壁を思いっきり蹴ったように足に激痛が走った。


つぅ・・・・


着地と同時に脇腹に痛みが・・・・

なにかバットのような物で叩かれたような痛みだ。


だが、このまま倒れてしまったらそれは、即、死を意味するだろう。

なんとか踏みとどまり、しゃがんだ状態から一気に拳を突き上げた。


人間なら、丁度、顎の辺りをアッパカットされた感じで、そのままコンクリートに頭から倒れこんでいるだろうが・・・


そのくらいの感覚が拳に残っている。


その直後・・・奴の影が小さくなっていくのが分かった。

逃げていったのだ。


ほっとした俺は、一週間後病院で目を覚ますまで昏睡状態で生死をさまよっていた。

脇腹を叩かれた為、内臓が破裂していた為だ。


今、考えても、あれが夢だったのか・・・現実だったのか・・・分からない。

ただ、拳に残った感覚だけは今も残っている・・・・・・・・・




仕事が一段落し辺りを見ると誰も居なくなっていた。

ふと時計を見ると午前0時を廻っている。

最終電車に間に合わない・・・・と急いで会社を飛び出した。

駅に着いた時には、電車がホームに入っていた。

思いっきり階段を駆け上がり電車に飛び乗ろうとしたが、目の前で電車の扉が閉まってしまった。

やり場の無い怒りを電車の窓に叩きつけたが、何事も無かったように電車が走りだした。

取り合えず改札を出て、タクシー乗り場に向かったが、行き場を失った人たちが行列を作っていた。

あ~あこれで家に着くのが2時は廻るだろうと覚悟を決めた時、思い出した。

ちぇ折角汗だくだくになってまで駅に着たのに・・・・

今朝も遅刻しそうだった為、スクターで会社に来たのだった。

会社では、車やバイクでの通勤を禁止している為、この駅の裏側にある人通りの少ない駐車場に止めておいたのだ。

行列から離れ、駐車場に向かって歩き出す。

少し歩くと、街灯もまばらになり辺りが薄暗くなってくる。

こんなところで、襲われたりしても誰も気付く人はいないだろうな・・・・

ここを通るたびそんな事が頭を過ぎるが、襲われたことは一度もない・・・・平和な街だ。

時間も遅くなったので、街灯が一つも無く少し怖いが、街の明かりも届かない路地裏の最短距離で行く事にした。

目を開いているか閉じているかも分からない暗闇を、全身の感覚を研ぎ澄まし一歩ずつゆっくり歩いていく。

微妙な空気の流れ、匂い、壁を指先の感覚で、つま先にも神経を張り巡らす。


うっ・・・・


何か目の前を通り過ぎた。

嫌な感覚と、言い様も無い匂いが俺を包む。

緊張感に膝が少し震えだした。


ぐっ・・・・


鋭い痛みが腕を突き刺す。


何かがいる。

この闇より、黒いもの・・・・

何かの影が浮かんでいる・・・


つづく





まだ、何も分かりませんがこれから少しずつ覚えますので宜しくお願いします。