久しぶりに爽やかなアニメに出逢った「BLUE GIANT」 | santos008jpのブログ

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  アニメ「BLUE GIANT」は、石塚真一の人気マンガの劇場映画化で有る。元々、マンガを読む習慣の無い私にとって、ジャズを題材にした作品がどうして大人気となるのか些か疑問に思っていた。それは、単純にマンガには音が無いからだ。例えば、クラシックを題材にした「のだめカンタービレ」ならある程度知っている楽曲が出てくるし、知らなければサブスクで鳴らしてみれば解決が出来る。しかし、このマンガの楽曲は殆どが登場人物の書き下ろしで有る。まあ、サックスならソニー・ロリンズでも、レスター・ヤングでも・・・、ピアノなら、オスカー・ピーターソンでも、ビル・エヴァンスでも思い浮かべれば良いのかも知れないが、それでも無理がある様な気がしていた。しかし、アニメは違った。使われる楽曲は、日米で活躍する天才的ジャズピアニスト上原ひろみのオリジナルである。これはアニメでしか味わえない「音付き」のマンガだ!

 ストーリーは、4歳からピアノを習っていた技巧派で作曲も出来る沢辺雪祈(さわべ ゆきのり)、我流ではあるがジャズにかける情熱だけは人一倍のテナー(サックス)の宮本大(みやもと だい)、そして、全くの素人ドラマーの玉田俊二(たまだ しゅんじ)の3人が、有名ジャズクラブ「So Blue」の舞台に立つまでの物語だ(勿論、その舞台は「Blue Note東京」で有る事は明らかだ)。兎に角、「真っ直ぐな映画」である。「ジャズへの愛情と情熱だけに支えられた純粋な青春物語である」と言うことだ。確かに、ドラマとしての紆余曲折はあるが、全くドロドロした足の引っ張り合いとか、裏切りとか、更には恋愛とかも無しに物語は進む。無条件で気持ちが良い!更に、秀逸なのは音楽だ。上原ひろみは凄い!この映画の作り方・・・、演奏シーンは先ず楽曲があってそれに合わせて画を作ってゆく・・・、先ずは始めに音有りきで作っていると言う。だから、楽曲に画が全く外れない。気持ちよくマッチしている。勿論、楽曲自体も素晴らしい!おそらく、マンガの読者にとっても、想像を超えた世界観が現れた事だろう。

 その昔・・・、学生時代・・・、歌舞伎町に「木馬」というジャズ喫茶があった。学校帰り、新宿で乗り換える友人と時々そこに行って、珈琲一杯で自分達のリクエストが掛かるまで粘った。もっとも、リクエストした曲は、デオダートやジョージ・ベンソンと言った、フュージョンやブラコンに分類される楽曲で、今思うと背筋が寒くなる思いがする。昔は、「私語禁止」などと言っていたクラブだったそうだが、この時期にはかなり緩やかになっていたようで良かった。東京に多くのジャズ喫茶があり、若者もジャズに嵌まっていた時代が有った。私は、その最後の時代の人間かも知れない。映画で登場人物が言っていたが、「今、ジャズは瀕死の状況」の様だ。願わくば、この映画を切っ掛けに、ジャズの凄さが若い人に広まれば良いと思う。(アマプラでは有料で、WOWOWでは3月に2回放送がある)