風刺画を眺めるがごとく、読み手のWitを試す『悪魔の辞典』 | 上質なことばで名作を楽しもう

上質なことばで名作を楽しもう

様々なキーワードから導かれる上質なことば・文章と、それらを含む書籍などを紹介していきます。

3つほど紹介しましょう。

 

CONSOLATION n.【慰め】自分より能力のあるものが、実は自分よりももっと不幸だと

            理解すること。

 

CONVENT    n.【女子修道院】閑居して不善をなすことをゆっくり考える余暇をもち

            たいと願う女のための隠居所。

 

ECCENTRICITY n.【奇行】とても安あがりな有名になる方法。そのため頓馬な輩がそ

            の無能さをひきたてるために、この方法を用いることしきりとか…

 

             A.ビアス 作 奥田俊介・倉本護・猪狩博 訳 『悪魔の辞典』

 

 

ニヒリズムの極致ともいえる著名な作品です。日本の時代に当てはめればちょうど

幕末から明治期を通してのころ活躍した人物ですが、この作品以外に日本で一般的

に紹介・販売されている書籍は『死の診断』ぐらいです。

 

作家というより、ジャーナリストというべきでしょうか。この人の人生はこの『悪魔の辞典』

を制作する意思と才能を十分担保するだけの、大いに波乱に富むものでありました。

そういう側面からこの作品を評価するのも興味が尽きることのない楽しみであります。

 

とにかく、一度は読むべき本と、素直に思います。年齢の老若を問わず、ここに書かれて

いることを、読んで素早く理解し、ニヤリと笑えるような素養を身に着けるべきです。

何となく、本の影響を受けているような言葉になってしまいましたが・・・

 

あわせて、芥川の『侏儒の言葉』『西方の人』などもおすすめです。