「いや、世の中の全部の人の話し方には、このようにややこしく、
どこか朦朧として、逃げ腰とでもいったみたいな微妙な複雑さ
があり、そのほとんど無益と思われるくらいの厳重な警戒と、
無数といっていいくらいの小うるさい駆引きとには、いつも自分
は当惑し、どうでもいいやという気分になって、・・・」
太宰 治 『人間失格』 より
太宰の作品には、どれをテーマとすべきか困りはてるほどのキーワードが
含まれます。
ここでは、普通の人であれば周囲の人に知られたくないような「本心」を、
作家としての表現法に磨きをかけて開示している部分をとりあげました。
太宰を知らずに「人間失格」をいきなり読んだ人は、その表現法に驚く
ことと思います。私の場合は、驚くと同時に、なぜかサリンジャーの作品
を思い起こしました(The Catcher in the Rey)。
両方の作品を読まれた方、どう思われますか?
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