山頭火と戦争 この不釣り合いなもの | 上質なことばで名作を楽しもう

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『天われを殺さずして詩を作らしむ

 われ生きて詩を作らむ

 われみずからのまことなる詩を』

               種田山頭火 「銃後」

 

 

手元にある山頭火の「銃後」の句は、わずか25首です。

 

もっとたくさん作っていたかどうか、不明ではありますが、いずれの句に

おいても当時の国家に対する翼賛的な雰囲気は、微塵も感じられません。

 

かといって、強烈な厭戦気分でもありませんが、言葉を意識して抑えた

作品がほとんどです。

 

詩人というものは、規律、規則、責任、義務などといった、戦争から派生

する属性とはおよそかけ離れた、しかも全く無力・無能と言ってもよい

存在なのでしょう。

 

彼らの使命とは、自身の感動を、時と場所と手段を異にして、周囲の

人々に上質の言葉で伝達することにほかならないと思います。

 

   『馬も召されておぢいさんおばあさん』