むかしびとが懐古する昔 『日本唱歌集』の鑑賞 | 上質なことばで名作を楽しもう

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    『あした浜辺を さまよえば、

     昔のことぞ しのばるる。

     風の音よ、雲のさまよ、

     よする波も、かいの色も。』

                        『浜辺の歌』 大正7年10月

 

 

いつの時代でも、人には昔を懐かしむ気持ちがあります。

そして、当然のことですが、年齢によって昔の定義は違うはずです。

 

『浜辺の歌』の作者、林古渓にとり、大正7年においての昔は、

どのような姿で、脳裏に浮かぶものだったでしょうか。

 

日本人として、元号は時代を定義する重要な要素でありましょう。

それが、いままさに移り変わろうとする、いわばミレニアムの時に、

私にとっての懐古は、昭和という時代です。