近所で犬を飼ってる人が、多い。そして、犬の散歩をしてる人も多い。
外に出て土いじりをしていたら、斜め向かいのおじさんが犬の散歩中で、私に声をかけてくれた。
犬は、かなりの高齢で、ヨロヨロしながら歩いていた。人間でいうと、90歳は越えているそうだ。毛並みが綺麗で、愛情をもってこまめに手をかけているのが分かる。
おじさんは、高齢の犬の歩調に合わせながら、ゆっくりと歩いていた。
犬の話しをしていたら。
近所の80歳過ぎのお爺さんが車を運転していて、私達の前でピタッと止まった。
そして、ヨロヨロして歩く犬を見て、
「俺は犬が好きだけど、こういうふうになるのが可哀想だから、飼わないんだ。」
と、犬を指差して言った。
………。
おじさんと私は、沈黙してしまった。
車が去ってから、
「そんな事を言ったって……ね。」
としか言いようがなかった。おじさんは不快なお顔をしていた。
「犬だって人間だって、歳とるのは当たり前なのに……。」
と。
歳とって衰えるのは自然な事で、可哀想なのだろうか。少なくとも飼い主は、元気な頃と変わらぬ愛情をもって大事にしている。ご家族の方も散歩に連れ出している。皆に大事にされている犬。
何故おじさんは、不快なのか。
車を運転していたお爺さんは、正直な気持ちを言ったのだろう。でも、散歩させている犬を指さし、可哀想だと飼い主に言うのは、違う気がする。言わなくてもよかったのに。
「気にしない気にしない。何も可哀想な事ないです。聞き流しましょ。」
と、慰めにもならない言葉が出た。
正直、ひやひやした。
「可哀想」という言葉は、本当に使い方が難しい。
やれやれ…。
なんてね。