いつもありがとうございます。


鉄道開業まであと150日となりましたね。


これまで古典車両としてご紹介した車両が全車ねじ式連結器のため、ちょっとハードル高いナァと思われたりするかと思います。

また、実車が片手で数える両数しか存在しないので汎用性が低い、というのも事実です。


そこで今回は、「汎用性の高い車両」としてB6形と、「安価で手に入る車両」としてトーマモデルワークス様のキットを集めてみました。



河合商会 KP-150 B6蒸気機関車 2157タイプ 1994年発売


サンドドーム前方1基 筒型煙突
※実際の製品に白や赤の装飾はありません。炭庫の菱形プレートはダブス製の特徴であり、この車両には無いため裏返しています。


2021.2.20  青梅鉄道公園


付属ナンバー(黒地)
2120 2221 2157 各5枚

2120形2221号機
1905年 ノース・ブリティッシュ・ロコモティブ
              ハイドパーク工場製(旧ニールソン社)
              製造番号16739
              陸軍野戦鉄道堤理部 470号機
              満州等の狭軌路線で使用
1906年9月 所有者変更 官設鉄道470
1907年4月1日 所有者変更 南満州鉄道470
1908年 改軌終了のため日本本土に移動
              所有者変更 官設鉄道470
1909年10月1日 規程改正 2120形2221号機
                             所属不明
1931年1月現在 一時休車 熊本
1931年4月 転属 鹿児島
1933年6月現在 早岐所属
1943年3月 転属 青森
1945年7月27日 転属 東能代
1955年8月2日 転属 土崎工場
1960年5月7日 廃車
1962年10月1日 静態保存 青梅鉄道公園


河合商会 KP-151 B6蒸気機関車 2286タイプ 1995年発売

サンドドーム前後2基 飾り煙突
※2120形製品のため、2100形とは一部異なります。

2017.11.14  日本工業大学


付属ナンバー(赤地)
2109 2272 2286 各5枚

2100形2109号機
1891年 ダブス製 製造番号2774
              官設鉄道172
1892年4月1日 譲渡 日本鉄道172
1894年1月1日 改番 D3/4-63
                           (D:ダブス 3:動軸数 4:総軸数
                            63:導入順通し番号)
1906年11月1日 鉄道国有法 官設鉄道へ
                             B6-63 上野所属
1909年10月1日 規程改正 2100形2109号機
                             所属不明
時期不明 転属 名古屋
1927年12月 転属 松本
1929年7月12日 譲渡 西濃鉄道 4422円
                             (執筆時点の物価で約780万円)
1949年 空気制動化
1966年5月16日 運用終了 美濃赤坂駅にて保管
1970年8月 譲渡 大井川鉄道 動態保存
                    (社名変更前のため“鐵”道ではない)
1975年 ボイラー検査を受けず静態保存化
1992年5月31日 産業考古学会推薦遺産指定
                           日本工業大学との動態化検討

1992年8月21日 大鉄での修理開始

1993年8月25日 試運転

1993年9月4日 新金谷駅より搬出

1993年9月6日 日本工業大学 動態保存

2006年 煙管交換など実施


・日本工業大学には箱根登山鉄道の車両もあります。



河合商会 KP-152 B6蒸気機関車 2120タイプ 1995年発売

サンドドーム後方1基 筒型煙突

付属ナンバー(黒地)
2120 2221 2157 各5枚

※実際の模型を用意できませんでした。そのうち某オクで落札するかもしれません。



河合商会 KP-153 B6蒸気機関車 2272タイプ 2001年発売
サンドドーム後方1基 飾り煙突

付属ナンバー(黒地)
2120 2221 2157 各5枚
付属ナンバー(赤地)
2109 2272 2286 各5枚

2120形2272号機
1905年 ノース・ブリティッシュ・ロコモティブ
              アトラス工場製
              (旧シャープ・スチュアート社)
              製造番号16805
              陸軍野戦鉄道堤理部 788号機
              満州等の狭軌路線で使用
1906年9月 所有者変更 官設鉄道788
1907年4月1日 所有者変更 南満州鉄道788
1908年 改軌終了のため日本本土に移動
              所有者変更 官設鉄道788
1909年10月1日 規程改正 2120形2272号機
                             所属不明(中部局?)
1931年現在 田端所属
1955年6月10日 転属 門司
1955年7月20日 転属 下関工事事務所
1955年8月現在 岐阜工事事務所
1961年7月7日 廃車
1961年10月14日 静態保存 松任工場
1973年8月~10月 日本海博覧会金沢に展示
1997年3月22日 金沢総合車両所発足


B6と呼ばれる、1890年から1906年の間に533両が製造された形式です。英日独米の4カ国で製造され、仕様により複数の形式に分かれます。現在は上記3両を含む6両が保存されています。

万能機なので1両くらい買ってみようか、という方へ。落ち着いて読んでください。
まずこの製品を出した河合商会は今は亡き会社です。
次に、初期に生産された個体ではダイキャスト変形しているおそれがあります。店頭で買うときはなるべく試運転をしてから、ネットやフリマアプリの場合は相手方が車両に付けた評価で判断しましょう。また以下のような見分け方があります。
「車両裏からギアが3つ見える」のは初期、
「車両裏の穴が1つ塞がれ、見えるギアは2つ」は改良品です。
※初期製品でも無事な個体があるようです。流石に今更崩壊することもないでしょうし、走るなら買っても大丈夫でしょう。
 豊沢様が詳しく解説しております。↓


トーマモデルワークス様にもB6がありますが、とっくに品切れしていました。
安佚堂模型様が代用動力を製造する、という話が出ていましたが、その後どうなったのでしょう。
河合商会の貨車はポポンデッタが引き継ぎ製造していますが、機関車は継がなかったのでしょうか。最近のポポンデッタの新製品は他社と被りがちですが、B6なら勝てるかもしれません。

ブレーキシリンダーが片方しか入っていない個体があります。上記サイトの豊沢様の2両、私の2109号機は右用が2つ入っていました。逆に左用が2つだった方もいるのでしょうか?


トーマモデルワークス 0961 5形蒸気機関車 3DPキット

付属ナンバー 15・16 (画像は15)


1898年3月 ボールドウィン製 製造番号15813

                    北海道炭鉱鉄道 D(ハ)-15

                    新製配置 岩見沢

1906年11月1日 国有化 改番 15
1909年10月1日 規程改正 5形5号機
1914年 従輪追加
1916年10月 5号機譲渡 簸上(ひじょう)鉄道B2-3
1923年8月 日本車輌名古屋へ譲渡?詳細不明

このブログでは珍しいアメリカンの機関車です。弁慶号、義経号、しづか号で有名な鉄道に所属しました。
国有化後の形式称号改定の際、“5形”という珍しい1桁形式になりました。これは小さい順に最小5刻みで付番したためで、新橋のバグナル1号に次ぐ2番目に小さな機関車だということが読み取れます。
ボールドウィンの設計ミスなのでしょうか、全長7.8mに対して第2動輪~車端が3mあり、かなり不安になる形状です。実車は後に従輪を追加しています。

動力は組立済、車体はいくつかのパーツを接着して組み立てるもので、あとは車体の塗装さえできればほぼほぼ作れます。走りはロースピードで安定的です。
ライトレンズはWAVEの「H・アイズ3ミニクリア」が使用できます。(大きさがぴったりすぎて一発勝負になりますが)


トーマモデルワークス 1181 南薩6号機 3DPキット 2022年7月発売

付属ナンバー 6


1898年3月 ボールドウィン製 製造番号15814

                    北海道炭鉱鉄道 D(ハ)-16

                    新製配置 岩見沢

1906年11月1日 国有化 改番 16 
1909年10月1日 規程改正 5形6号機
1914年 従輪追加
1918年4月 6号機譲渡 薩南中央鉄道6
1939年 薩南中央鉄道6廃車
1940年6月 譲渡 日本軽金属
1943年7月 廃車

上の5形の譲渡後の姿です。従輪が追加され安定しました。前部端梁のカウキャッチャーは撤去され自動連結器に変わっています。


トーマモデルワークス 1191 クラウス1号機(現役)M無し 3DPキット 2022年7月発売

付属ナンバー 1•2


1888年5月 バイエルン王国 クラウス製

                    製造番号1774•1775 伊豫鉄道1•2号機

1900年5月1日 改称 甲1形1•2号機

1930年 1号機 改軌(762mm→1067mm)

1932年 2号機 改軌(762mm→1067mm)

1953年 1号機 廃車 道後公園に静態保存

                         改軌(1067mm→762mm)

1954年 2号機 廃車 解体

1965年 1号機修繕 梅津寺パークに移設

1967年 鉄道記念物指定

1968年 愛媛県指定有形文化財指定


四国最初の鉄道、伊豫鉄道松山〜三津開業に合わせて輸入された機関車です。車両の輸入は普通ある程度分解した半完成キット状態ですが、この機関車はあまりにも小さいため分解されず箱詰めされました。

一番古いものの状態はとても良好で、合併した南予鉄道・道後鉄道の両社の機関車を差し置いて伊予鉄メンバーが無煙化まで残りました。


1号機は道後公園に保存されたものの、部品の盗難が相次ぎ悲惨な状態になりました。そこで愛媛大学に寄贈されていた3号機を返還してもらい、1号機は修復を受けた上で梅津寺パーク(入場料有料)に移設されました。3号機にはレプリカ部品を製作し、伊予鉄本社ビルのスターバックスにて展示されています。(ナンバーは1号機)


このほか愛媛県総合科学博物館にレプリカ、米山工業製の走行レプリカ、そして伊予鉄道の内燃式「坊っちゃん列車」D1・D2形が存在します。(米山工業製はしばらく消息不明なのですが)

客車も古町車庫と松山市駅近くの子規堂に実車が、梅津寺と科学博物館にレプリカ、米山工業製の走行レプリカ2両、「坊っちゃん列車」の3両が存在しています。総勢15両、坊っちゃん列車フルコンプ目指して頑張ってください。


模型の方ですが、ナンバーが選べるほかに煙突の火の粉止めの有無が選べます。

動力はありません。客車や貨車を動力車にした「ユーレイ」の必要があります。

なおアルナイン製の坊っちゃん客車がかつて販売されていましたが、あの客車は大きめに作られているようです。


このほかNナロー(軌間6.5mmのZゲージ線路を使う縮尺1/150の模型)の製品も存在します。



トーマモデルワークス 1091 雨宮Bタンクキット


今回唯一大正生まれの機関車です。雨宮製作所の様々な蒸機のミックスのため、具体的なモデルはありません。

画像の原型タイプのほか、機関室扉が変わった密閉キャブ仕様、原型タイプにB6のようなタンクや配管を追加した空制化仕様が販売されています。

2022年ロットより、従来よりさらに低速に特化した動力を装備します。上記5形とも重連できます。

最高に簡単で走りも素晴らしいキットですから、入門に最適です。

詳しくは「トーマモデルワークス」で検索。



皆さんもぜひ、これだ!と心に決めた機関車を手に入れてみましょう。

そして色々牽かせてあげましょう。きっと楽しいですから。


明治リンク