いつもありがとうございます。


今年は2022年、鉄道開業から150年です。様々なPRがなされていますし、明治の列車にご興味を持たれた方もいると思います。

しかし、そんなに昔のことだとなかなかイメージが湧かない、そう思うかもしれません。


鉄道車両で明治世代ですと、開業前年の1871年(明治4年)から大正時代に変わる1912年(明治45年)まで、およそ40年間となります。

2022年で鉄道開業から150年、明治の終わりからでさえ110年です。そんなに前の車両が残っているか?というと、残っています。


私はIORI工房さんのペーパーキットで明治の列車を作っています。

「普通のプラの鉄道模型は結構やってるし、そろそろ自分で作ってもみたい」という方におすすめです。某緑のプラキットより簡単かもしれません。(私は緑のキットはやったことないですが)




あと私の作例はあまり拡大しない方が吉です…。(粗が目立つので)


博物館明治村  愛知県犬山市


2020.1.4(以下、明治村での画像は全て同日)


IORI工房 ハフ11

青梅鉄道 メ4

1908年 天野工場(東京・墨田)製 メ4

1924年 譲渡 高畠鉄道(山形) ハ2

1936年 譲渡 雄勝鉄道(秋田) ハフ11

1943年 横荘鉄道に合併

1944年 羽後鉄道に社名変更

1952年 羽後交通に社名変更

1971年 廃車

1973年 譲渡 博物館明治村


付属デカール

・明治村仕様

車番 ハフ11(縦書き) 4枚

等級 等三 8枚

       Ⅲ 10枚

・羽後交通仕様

車番 ◯ハフ11(社章+縦書き) 4枚

       ハフ11(台枠用横書き) 4枚

社名 羽後交通 4枚

・院省仕様(国有化歴が無いため使用しない)

所属 院道鐡 省道鐡 各4枚

旧等級 等下 12枚

          THIRD CLASS 3枚


別途購入品

車輪 よくあるピボット式(長軸)

         どのメーカーでも可(作例ではGM)

連結器 IORIねじ式(2軸用orボギー用)

             もしくはカプラーポケット+アーノルド

バッファー IORI工房明治中期型


IORI工房 ハフ13・ハフ14(それぞれ単品販売)

新宮鉄道 ハフ13・14

1912年 新宮鉄道工場製

              新宮~勝浦 他路線との接続がない鉄道

1934年 国有化 鉄道省紀勢中線

1940年 延伸により紀勢西線に接続、統合

1942年 譲渡 雄勝鉄道(秋田) ハフ13・14

1943年 横荘鉄道に合併

1944年 羽後鉄道に社名変更

1952年 羽後交通に社名変更

1971年 廃車

1973年 譲渡 博物館明治村

2014年12月 ハフ13 新宮駅前で展示


付属デカール ハフ13・14共通

・明治村仕様

車番 ハフ13・14(縦書き) 各4枚

等級 等三 8枚

       Ⅲ 10枚

・羽後交通仕様

車番 ◯ハフ13・14(社章+縦書き) 各4枚

       ハフ13・14(台枠用横書き) 各6枚

社名 羽後交通 4枚

・院省仕様

所属 院道鐡 省道鐡 各4枚

旧等級 等下 12枚

          THIRD CLASS 3枚

※旧等級は1897以前、当形式には使用しない


別途購入品

車輪 よくあるピボット式(長軸)

         どのメーカーでも可(作例ではGM)

連結器 IORIねじ式(2軸用orボギー用)

             もしくはカプラーポケット+アーノルド

バッファー IORI工房明治中期型



尾西鉄道12号機(鉄道院160形23号機)、日本鋼管9号機(富士身延2号機)の動態復元に合わせ、羽後交通から購入されました。

尾西12号と同型の鉄道院160形21号機はワールド工芸、日本鋼管9号はトーマモデルワークスより3Dプリントのキットがあります。


160形21号機について


明治村では、ねじ式連結器を今も使い続けるという偉業を成し遂げています。ここに行けば明治の列車に乗ることができますよ。

(笑顔で複式連結を行う明治村の職員さん)

(無断転載禁止です念のため)

ねじ式…下にかかっている方  連環…持っている方


こういった連結器は、ねじ式連結器と連環連結器(くさり)の2種類があります。日本では画像のように、ねじ式で締めた上に連環を重ねた複式連結を基本としました。


そのため客車貨車は進行方向前寄りに連環、後寄りにねじ式というように揃え、機関車(前後ともねじ式)に連結されます。しかし最後尾までもがねじ式だと、折り返すときに交換する羽目になります。

(1916年調べ、連結できなくて交換したケースが月9万件以上)




明治村では機関車は前後にねじ式連結器を、ハフ13・14のブレーキ側(編成端)に連環、他方にねじ式を装備します。ここまでは一般的な連結器の装備です。

ハフ11は両側が連環を装備します。これにより客車編成の両端が連環となり、機関車の付け替えが容易です。「プラレールで稀にある両側フックの車両」みたいなものです。

日本でねじ式が主流だった頃にこのような車両はあったのでしょうか?(明治村が固定編成だからこそ成り立っている気はする)

ハフ11が入っていれば客車を2両にしても連結できます。極端に言えば単独でもなんとかなります。


新宮鉄道(紀勢中線)はしばらく飛び地路線だったため、ねじ式連結器が他所より若干長く使われました。そのため国有化後にC11が導入された際も、この路線向け3両はねじ式連結器とバッファーを付けていました。うち1両は新宮市内に静態保存されています。


明治村ではこのほか、購入したものの劣化が著しく泣く泣く解体された車両が存在します。

1970年代前半、名鉄の岐阜と大江に保管されていました。

現在は3両の台車・車輪が、明治村内の新橋工場南側にありますが、特に案内はありません。


留萠鉄道 ホハフ2854

1909年3月 日本鉄道大宮工場 は387

1911年1月 ホハフ7546 

1911年8月 ホハフ2854

1952年12月 譲渡 留萠鉄道ホハフ2854


留萠鉄道 ホハニ201

1902年 日本鉄道大宮工場 いろ61 一等寝台二等

1906年 国有化 

1911年? イネロ5050

不明 ロネロ5080 寝台格下げ

1924年? ホイネロ250 寝台格上げ

1929年 病客車化 ホロへ6580

1942年 三等化ホハ2213

1952年 譲渡 留萠鉄道 ホハフ201

1954年 荷物室追加 ホハニ201

台車のみ保管


大分交通耶馬渓ホハ1

1899年 九州鉄道ハ30

1906年 国有化

1911年? 改番 ホハ6789

1911年? 改番 ホハ2356

1932年 譲渡 耶馬渓ホハ1

台車のみ保管


大分交通耶馬渓ハフ26

九州鉄道チブ1形何番?

1906年 国有化

1911年? 改番 ハフ4763

1929年 譲渡 耶馬渓ハフ2

不明(合併時?)大分交通ハフ26


1979全車解体


4両目に紹介したハフ26ですが、同型車が現存します。それについては後ほど。



加悦鉄道資料館  京都府与謝郡与謝野町


2020.3.15 (画像は今は無き加悦SL広場)



鉄道作業局 ロ558

1893年 作業局新橋工場製

1914年3月 三等車格下げ ハ4995

1928年8月 譲渡 加悦鉄道

1935年11月 車体更新 ハ21 北丹鉄道製新車体

                       旧車体は加悦駅倉庫に

1970年10月 旧車体とハ4999(ハ20)の下回りを

                       用い復元

1977年 加悦SLの広場(加悦駅構内) 開業

              静態保存

1985年 加悦鉄道 廃線

1996年 加悦SL広場(大江山鉱山駅跡)に移設

2003年12月 町指定文化財認定

2020年3月31日 加悦SL広場 閉業

2022年4月 加悦鉄道資料館(加悦駅跡)に移設

              

付属デカール

・加悦鉄道仕様

車番 ◯ハ4995(社章+2段) 4枚

       ハ4995(台枠用1段) 3枚

等級 等三 8枚

社名 加悦鉄道 3枚

・院省仕様

車番 ハ4975 ハ4978(2段) 3枚

       ハ4975 ハ4978(台枠用1段) 3枚

※ハ4995も社章を切り離せば院省仕様に使用可

旧車番バラ文字 い ろ は 一〜〇 各10枚

等級 Ⅲ 10枚

所属 院道鐡 省道鐡 各4枚

旧等級 等下 12枚

          THIRD CLASS 3枚

非客室標記 長車 掌車 物荷 各4枚

※非客室標記は使用しない


別途購入品

車輪 よくあるピボット式(長軸)

         どのメーカーでも可(作例ではGM)

連結器 IORIねじ式(2軸用orボギー用)

             もしくはカプラーポケット+アーノルド

バッファー IORI工房明治前期型

※加悦鉄道仕様ではねじ式&バッファーは時代が合わないと思われます。



讃岐鉄道2325

1890年 ドイツ ファン・デル・チーベン製

1904年12月 山陽鉄道に合併 山陽2325

1906年12月 国有化 鉄道院ユニ3907

1918年9月 譲渡 伊賀鉄道ハブ2

1927年 譲渡 加悦鉄道ハブ3

1977年 加悦SLの広場(加悦駅構内) 開業

              静態保存

1985年 加悦鉄道 廃線

1996年 加悦SL広場(大江山鉱山駅跡)に移設

2000年 日本産業考古学会 産業遺産認定

2003年12月 町指定文化財認定

2020年3月31日 加悦SL広場 閉業

2022年4月 加悦鉄道資料館(加悦駅跡)に移設


※加悦SL広場時代の案内板は誤りです。この車両は九州ではなく讃岐の車両です。


付属デカール

・加悦鉄道譲渡時・復元仕様

車番 ◯ハブ3(社章+2段) 4枚

等級 等三 8枚

非客室標記 荷物 車掌 各8枚

社名 加悦鉄道 4枚

・加悦鉄道(1939年以降)仕様

車番 ∞ハブ3(日本冶金社章+2段) 4枚

       ハフ3(1段) 6枚

※車番以外は上記加悦仕様を使用

・院省仕様

等級 Ⅲ 10枚

所属 院道鐡 省道鐡 各4枚

旧等級 等下 6枚

          THIRD CLASS 3枚

(讃岐・山陽・院省の車番は付属しない)


別途購入品

車輪 よくあるピボット式(長軸)

         どのメーカーでも可(作例ではGM)

連結器 IORIねじ式(2軸用orボギー用)

             もしくはカプラーポケット+アーノルド

バッファー IORI工房明治前期型

※加悦鉄道仕様ではねじ式&バッファーは時代が合わないと思われます。


京都府与謝野、加悦鉄道資料館に保存されています。

加悦SL広場には27両の保存車がありましたが、蒸気機関車123号機とこの客車2両が与謝野町内に残留、5両が里帰りや新たな所有者へ譲渡されました。その他は保存先を募集しています。


※機関車は代理

現在加悦鉄道資料館では、国の重要文化財に指定された123号機との3両編成で保存されています。

120形123号機(初期番号は鉄道院16号機)は阪神間の鉄道開業にあわせ、ロバート・スティーブンソン社が製造しました。あの「ロケット号」のメーカーです。

阪神間鉄道の最初の車両5000形は失われているため、この123号機が現存最古となります。


なお2022年現在、Nゲージでの製品化は未定です。



九州鉄道記念館  福岡県北九州市


2018.3.25



鉄道院 チブ37

(九州鉄道は1907年に国有化されたが、客車は引き続き同型を製造していた)

1909年 ファン・デル・チーベン・鉄道院小倉工場製

              (どこまでドイツ、どこから国産か不明)

1911年1月 改番 フハ3362

1911年8月 改番 フハ4780

1929年 譲渡 耶馬渓鉄道(大分)ハフ5

1945年4月 県内6事業者合併 大分交通発足

時期不明 改番 ハフ25(合併時?)

1971年 廃車 中津市内「民宿 汽車ポッポ」にて

                       大分交通の数両と静態保存

2003年8月 九州鉄道記念館に移設 静態保存


付属デカール

・九州鉄道記念館仕様

車番 チブ37(1段) 4枚

・大分交通仕様

車番 ◯ハフ25(社章+2段) 4枚

       ハフ25(台枠用1段) 4枚

社名 大分交通 4枚

・院省仕様

車番 ハフ4780(2段) 4枚

        ハフ4780(台枠用1段) 4枚

等級 等三 8枚

       Ⅲ 10枚

所属 院道鐡 省道鐡 各4枚

旧等級 下等 6枚

          THIRD CLASS 3枚

(旧等級標記は使用しない)

・九州鉄道仕様(製造前のため使用しない)

車番 ◯チブ37(社章+2段)4枚

社名 道鉄州九 4枚


別途購入品

車輪 よくあるピボット式(長軸)

         どのメーカーでも可(作例ではTOMIX)

連結器 IORIねじ式(2軸用orボギー用)

             もしくはカプラーポケット+アーノルド

バッファー IORI工房明治前期型(中期型?)


本州は英国、北海道は米国から技術を輸入し鉄道を開業しましたが、九州と四国(伊予・讃岐両者とも)はドイツでした。

博多~千歳川(久留米)に始まり、自社での延伸や後発の他社との併合を繰り返し、1907年に国有化され鉄道院の一部となりました。

その辺の歴史を知らないのがこの車両です。私鉄の頃発注したものが落成したら国有化後だった、なんて車両はたくさんあります。


現在、この九州鉄道の客車は他にハニフ22が現存します。チブ37もかつて保存されていた大分県中津の「汽車ポッポ」です。ハニフは末期の姿で、車端の屋根が丸く下がっています。



このほかにも明治の客車は現存しています。主なもののみ挙げます。

北海道 小樽市総合博物館

北海道炭鉱鉄道い1

埼玉県 鉄道博物館

初代1号御料車、九州鉄道初代2号御料車、幌内鉄道開拓使号客車

東京都 東京総合車両センター(非公開)

3号御料車(13号御料車)

愛知県 明治村

5号御料車、6号御料車

高知県佐川町 さかわ観光協会(土讃線佐川駅より徒歩6分)

ロ481




鉄道開業150周年、10月まではまだ時間があります。

実車に会いに行ってもよし、模型を作ってもよし、様々な楽しみ方があります。この記念日を、皆さんそれぞれのやり方で祝うのはいかがでしょうか。


明治リンク