現役Jリーガー鄭大世が語るお金の使い方(毎日新聞記事より) | かっちんブログ 「朝鮮学校情報・在日同胞情報・在日サッカー速報情報など発信」

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インタビューに答えるFC町田ゼルビアの鄭大世選手=東京都町田市で2022年5月19日、宮本明登撮影

 

「高級車、ブランド品は幻想」現役Jリーガーが語るお金の使い方

 

 

 
 
 
↑引用元:毎日新聞より

 

 

――なぜ投資を始めたのですか?

 

 周囲の選手の影響などから、Jリーガーになって2年目くらい(川崎フロンターレ時代)にFX(外国為替証拠金取引)を始めました。他の選手は「やり方によっては勝てるよ」と言うのですが、誰も分かっていなかった(笑い)。

 始めてから2~3週間で300万円もの損失を出しました。ありえないですよね。その頃は知識もなく、感情だけでやっていたので勝てるわけがないんです。24時間、365日取引できるので、練習中も寝ている時も気になってしまい、精神衛生上も良くなかった。

 その後も銀行に勧められるがままに投資信託をやり、海外で5年プレーして帰国後に確認したら全然増えていなかった。個別株も10銘柄ぐらい持っていましたが、証券会社の担当者に任せきりで全然上がりませんでした。

 

 ――その後、本格的に勉強を始めたのですか?

 

 2020年に新型コロナウイルス禍でJリーグが長く中断しました。普段は興味のない分野の動画をYouTubeでいろいろ見るようになり、その中の一つに投資がありました。

 

投資だけでなく、税金のことや老後2000万円問題(※金融庁の審議会で、老後30年間で約2000万円の資金が必要になるとの試算が発表されて話題になった)など多くのことを学びました。僕らのような個人事業主だと、厚生年金のあるサラリーマンと違って2000万円じゃ足りないな、とか。

 こればっかりはYouTubeに感謝ですね。僕の人生を変えてくれました。

 

――結局、どんな投資方法が良いと思いますか。

 

 YouTubeの他にも、投資の入門書やウォーレン・バフェット(米国の著名投資家)、マーク・ミネルビニ(同)など20冊ぐらいは読んで勉強しました。やっぱり、インデックスファンド(株式指数に連動した運用を目指す投資信託)をドルコスト平均法(常に一定金額を定期的に購入する方法)で積み立てで買うのが一番良いんですよね。

 インデックスだったら、(長期運用で利益を上げるのが目的のため)一時的にいくら下がっても全く気にしない。一喜一憂しなくていいので精神衛生上もいいんですよ。最初からインデックスをやっていれば良かったと思います。それでも、今のところ資産はプラスですけどね。

 

ただ、インデックスの難点は、コツコツと長期的に積み立てるだけなので退屈ってこと。個別株の方が興味深いし、面白いんですよね。「これが買いだ」なんて言われたら、買いたくなってしまうので、あえて今はYouTubeを見ないようにしています(笑い)。

 個別株も持っていますが、自分の中で「8%の損切りルール」を設定しています。買値より8%下落したら淡々と売るんです。以前、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(オンライン会議システム「Zoom」を提供する米国企業)の株を「乗り遅れまい」と買ったら、最初だけ上がったけど下がり続けて。なのに、ズルズルと持ち続けて100万円以上の損失を出しました。

 ――日本人は「投資は危ない」というイメージを持つ人が多いかもしれません。

 

親の世代からは「貯金をしなさい」と言われ続けてきたので、僕らの世代も投資という言葉を聞いただけで、態度を硬化させますよね。アルビレックス新潟にいた時は、チームメートに投資の話をしすぎて「投資詐欺のおっさん」って思われていたくらい(笑い)。

 でも、円安になって円の価値が下がっているし、日本は輸入に頼っているから電気代や燃料代がどんどん値上がりしていく。こんな時代、貯金だけの方がリスクじゃないのかって思います。

貯金だけって、日本円の現金に一括投資しているのと同じことです。円安になって、ドルやユーロにも資産を分散していて良かったなと思いました。他にも不動産投資や低酸素ジムの経営といった事業投資もしています。分散投資が大切だと思います。

 ――これから投資を始めたい人には、どんなアドバイスを?

 

まず大事なのは稼ぐこと。お金に余裕がない状態で投資を考えるのは順番が違うと思う。自己投資してスキルを磨いて、資格を取るなどして収入を上げた方がいい。収入が増え、ある程度預金ができて初めて投資に回すことができます。

 そして、お金を守る、つまり支出を減らすことが大切です。携帯電話料金や光熱費など固定支出をなるべく減らして、家賃も稼ぐまでは上げないようにした方がいい。僕はコンビニエンスストアでペットボトルは絶対に買いません。家の水でボトルを作って持ち歩いています。

若い人は、コンビニで1日1000~2000円を平気で使いますよね。衝動で使う1万円を我慢して、投資に回した方がいい。購買意欲を刺激されるから、僕はテレビも持っていないし、ショッピングモールにも行かないようにしています。

 

 ――今の若い選手たちに伝えたいことは?

 

 僕たちはずっと「お金は天下の回り物」「経済を回せ」と言われ続けてきました。同世代のサラリーマンよりは年収があるから、高い車やブランドものを買ったり、飲みに行ったらおごったり……。使うか貯金の2択しかなくて、投資という概念がなかった。

高級車もブランド物も良いものだと思い込まされている。原価に価格が上乗せされている。そんなのは幻想で、「本当に価値があるものにお金を払った方がいい」と伝えたいです。

 交際費やプレゼントなど人とのつながりのためや、海外旅行で刺激を受けるなど経験のためにお金を使うのは良いことだと思います。

 それに、小規模企業共済(個人事業主などを対象とした共済制度)、中小企業倒産防止共済(同)、専従者給与(個人事業主が家族への給与を経費として計上する節税の仕組み)、iDeCo(個人型確定拠出年金)など、個人事業主として節税するやり方はたくさんあります。僕も若い時に、もっと早く知りたかった。若手の選手には、新人研修で金融リテラシーを教えた方がいいんじゃないかと思います。

 

 ――清水エスパルスとの契約満了時(20年)には引退を覚悟したそうですね。

 

 契約満了となって、どこからもオファーが来なかった。家族とも話し合い、「ここでやめるのが一番きれいなんじゃないか」と。引退後は韓国で芸能活動でもしようかと思い、成田空港に車で向かっている時に、代理人から「オファーが(町田含め)複数来ている」と電話があったんです。

 どうやって引退するかについては、34歳くらいからずっと考えています。今は幸せなことに体は動くし、体力的な衰えを感じない。「悔しさを感じなくなったら終わり」というけど、めっちゃ悔しい思いもする。自分が納得できなくなったらやめようと思っていますが、今は引退する理由がありませんね。

 

 ――資産運用による経済的自立と早期リタイアを実現する「FIRE」(Financial Independence,Retire Early=ファイア)に憧れる若者も多いですが、どう考えますか。

 

僕も最初はFIREと思っていたんですけど、FIREって、めっちゃ暇らしいんですよ(笑い)。だからセミリタイアくらいがいいのかな。

 副業(としていた仕事)だけで稼ぐとか、やりたくないことはやらないとか、人生の余裕や選択肢が広がるのはFIREの良いところだと思います。僕は今はとりあえず稼いで、入金力(投資に回す金額)を上げていくことにこだわっていきたいですね。

 

鄭大世

 
1984年、愛知県生まれ。朝鮮大学校卒業後、2006年に川崎フロンターレに入団。10年の南アフリカW杯に、北朝鮮代表として出場。ドイツの1FCケルン、韓国の水原三星などでプレーし、15年にJリーグの清水エスパルスに復帰。アルビレックス新潟への期限付き移籍を経て、21年からFC町田ゼルビアに所属。直近のホームゲーム(町田GIONスタジアム)は8月27日(土)午後7時キックオフの横浜FC戦。