苦境続く朝鮮学校「知ってほしい 私たちのこと」無償化施策から除外 | かっちんブログ 「朝鮮学校情報・在日同胞情報・在日サッカー速報情報など発信」

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「知ってほしい 私たちのこと」 無償化施策から除外、苦境続く朝鮮学校 /兵庫

 

 

 

 

 




 

 


 

↑引用元:毎日新聞2月16日分より

 

 

 

「身近にある朝鮮学校を、まず知ることから始めてみませんか?」。兵庫県ユニセフ協会が呼びかけるセミナーが1月下旬、神戸市内で開かれた。在日コリアンの子どもたちが、ルーツである民族の言葉や文化を学ぶ朝鮮学校は、県内に6校ある。幼稚園から高校世代の約660人が通うが、高校の授業料や幼児教育・保育の無償化施策から除外されるなど、苦境が続く。「私たちのことをわかってもらい、民族は違っても皆さんと手を取り合って明るい未来を生きていきたい」。会場で、女子生徒の一人は強く静かに語った。その声に応えたい。県内の朝鮮学校をまとめる学校法人兵庫朝鮮学園理事長の金錫孝さん(53)に聞いた。【木田智佳子】

 ◆兵庫朝鮮学園・金理事長に聞く

複雑な少年時代成長し自己肯定

 ――ご自身は神戸出身の在日コリアン3世。県内の朝鮮学校に通い、朝鮮大学校(東京)を経て、郷里で教員に。

 ◆祖父母は朝鮮半島南部(現在の韓国)から軍需工場の働き手として日本に連れてこられたと聞いています。両親は日本生まれで、会話は日本語でした。私は、朝鮮学校の幼稚班(幼稚園)に入って初めて韓国朝鮮語を習いました。

 ――どんな少年時代でしたか。

 ◆小中学生時代は、校庭に石を投げられるようなことは普通でした。怖かったり、腹が立ったり、コリアンであることを隠したかったり、アピールしたかったり……。複雑でしたね。通名と本名を使い分けていました。当時は常に「意識的な差別」にさらされていましたが、成長するにつれ、アイデンティティーを肯定的にとらえることができるようになりました。

 ――朝鮮学校では一般の教科の学習以外に、民族教育が大切にされているそうですね。

 ◆兵庫朝鮮学園は、朝鮮半島にルーツがある子どもを受け入れ、学校内ではウリマル(韓国朝鮮語)を使います。教科書は、日本の教科書を基に書き換えたものが中心で、それに朝鮮の歴史や地理などの民族科目が加わります。2020年5月の在籍者の国籍は、70・9%が韓国、22・7%が朝鮮、6・3%は日本です。教育理念は「民族の文化と伝統に誇りを持ち、アイデンティティーを確立させながら日本の地域社会や国際社会の中で豊かな共生関係を築く」と掲げています。

地域と交流深め開かれた学校へ

 ――阪神大震災の際、神戸市中央区の東神戸朝鮮初中級学校(現・神戸朝鮮初中級学校)は地域住民の避難所になりました。

 ◆その経験を機に、地域の方々とのイベント開催など交流が始まりました。開かれた学校への取り組みが続いています。

 ――拉致問題などを理由に国の高校無償化から除外され、幼児教育・保育無償化でも、各種学校である朝鮮学校は対象外です。

 ◆学ぶ権利や健やかな成長は「全ての子ども」に保障されるべきでしょう。なのに除外されている、その現実を知ってほしい。高校無償化については街頭署名活動(コロナ禍で休止中)などに神戸朝鮮高級学校の生徒たちも参加しています。また、宝塚市と伊丹市では幼保無償化の請願が採択されました。国籍や民族を超えて、子どもたちが等しく学び共に歩める世の中へ。その願いが私の原動力です。


生徒たちの声に耳傾けて 神戸でセミナー

 セミナー当日、金理事長は、朝鮮半島にルーツを持つ人々がなぜ今も日本に多く住むのか、朝鮮学校がどんな経緯で生まれたのかなどを語った。神戸朝鮮高級学校吹奏楽部の生徒たちも演奏やコーラスを披露した。

 登壇した3年の金世熹(キムセフィ)さんは「外国人学校の中でも唯一、高校無償化の対象から除外されたり、県からの補助金も大幅に削減されたりするなど、私たちを取り巻く環境は決していいとはいえません」と報告。偏見や差別などつらいこともあるけれど、そんな中で多くの日本人との温かな交流があることにふれ、涙を浮かべて「人の心の痛みが分かる人になって社会のために貢献したい。そんな大切なことをウリハッキョ(私たちの学校)で学びました」と話した。

 「祖国統一への願い」を込めた「イムジン河」、朝鮮と日本でそれぞれ歌い継がれる「アリラン」と「赤とんぼ」が演奏されると、来場者からは温かい拍手が送られた。

 全国の研究者らと共に声明(19年)を出し、県に対して朝鮮学校への補助金削減撤回などを求めている杉山精一・神戸市外国語大学准教授は話す。「多文化共生社会を掲げる兵庫の地で、地域とつながっている朝鮮学校のことを多くの人に知ってもらい、そこで学ぶ生徒たちの生の声に耳を傾けてほしい」。セミナーを主催した兵庫県ユニセフ協会の福井康代さんは「全ての子どもたちが健やかに成長できる社会への道は、私たち一人一人が意識を変えることから始まるのかもしれない。出会いや交流の場をこれからも重ねていきたい」としている。


 ■ことば

朝鮮学校

 1945年の終戦直後から、朝鮮半島出身者がそれまで禁止されていた母国の言葉を取り戻そうと各地で始めた「国語講習所」がルーツ。県内では46年3月までに84カ所あったとされる。48年、政府が出した朝鮮人学校閉鎖令に反発が湧き起こり、中でも死者まで出た大阪と神戸での闘いは「阪神教育闘争」と呼ばれる。県内では統廃合を経て現在、神戸市垂水区、中央区、長田区、尼崎市、伊丹市、姫路市に計6校があり、創立は45~49年といずれも長い歴史を持つ。朝鮮学校の日常や70年を経た教育闘争を伝えるドキュメンタリー映画「ニジノキセキ」が2019年に公開された。


 ■人物略歴

キム・ソッキョ

 1967年生まれ。英語教師となり神戸朝鮮高級学校、神戸朝鮮初中級学校で教える。2017年より、兵庫朝鮮学園の理事長。