（金 日宇氏のFBより ６月２７日アップ分）
保育士育成奨学金スタート
【６月25日・火曜日】
第二研究棟での「ＮＰＯ法人ウリハッキョ 第一期在日同胞保育士育成事業奨学金伝達の集い」に。教育学部保育科の学生一七名が席に着いた。
「青商会から来た」と、ＮＰＯ法人ウリハッキョの五人の理事が紹介され、理事長が「同胞の幼児教育に理想と夢を…学生たちに激励の拍手を送ります」と準備してきた短い書面を読み上げると、後は学生たちに諭すように話し始めた。
「ＮＰＯ法人ウリハッキョ、知っている人？」、「聞いたことがあるトンム？」。手が上がらない。
理事長は「……」。
法人は一〇年前に発足した。その一〇年前から若き法律の専門家を養成しようとの声が上がっていた。
…司法試験というのは非常に難しい国家試験の一つ…大学四年、大学院二年、一二～一四時間勉強しても、アルバイトを…それで朝大生だけではなく、在日コリアンを対象に奨学金を…
理事長はこの一〇年間に二一人の弁護士を輩出することができた、時代が要求する人材の育成をというので今回、保育士資格を持った同胞専門家をと、同胞保育士養成支援への抱負を語った。
…(法律家育成事業を始めた)あの時も一〇年後を描いたが、今日も一〇年後、二〇年後の同胞社会を見越してのスタートだ。
現場では国家資格を持った多くの幼稚班の先生を求めている。祖国講習、教育実習など忙しいと思うが、在学中に資格を取ってほしい。この事業には、全国の青商会員とＯＢ、同胞、日本人の気持ちが込められている…。
法律家につづき保育士の国家資格取得への支援は、ＮＰＯ法人ウリハッキョが目指す、同胞社会と民族教育を守っていく若手専門家育成の第二弾だ。
「遠くから来た」と、群馬と長野出身の理事からも一言あった。
…私の子どもも保育園に行っている。親の次になつくのが保育士、たくさんの影響を受ける。それほどやりがいのある仕事だと思う。同胞社会だけではなく、日本の社会に貢献することによって、それが同胞社会に戻ってくる…(群馬)
…同胞たちによって、若い世代が（子どもを）入れやすいように今年から幼稚班を無料に…日本でも幼稚園の無償化がはじまるが、朝鮮の幼稚園がその対象になるためには資格を持った保育士が…。資格取得が容易でない、現場で働く先生たちからは在学中に取っておけばよかったという話を聞いている。挑戦できる機会を逃してほしくない…(長野)
法人から「受験料の全額と関連費用」の目録が学生代表に手渡された。
「保育士になることが夢だ」と、口火を切った学生代表。「幼児教育の専門家」、「民族教育の先鋒」というフレーズに熱い決意と感謝の気持ちが読み取れた。
東京第一出身の彼女は、初級部に三八人が入学したが、中級部に進学したのは二四人で高級部には一八人、朝大には五人が…。幼稚班が児童・生徒の減少に歯止めになればと、民族教育の第一歩を担う幼児教育の専門家をめざしている、と。
…幼児教育の関心が高まっている、資格を持った先生がいることで保護者を安心させことができるという高い使命感を持ち…同胞たちが求める幼児教育の場を…
一〇月の国家試験では必ず期待に応えようとの、彼女の言葉に六人の理事は大きな拍手を送っていた。
理事たちもウリハッキョ出身者だ。民族教育はこうした頼もしい若者を育て、十年後、二十年後の同胞社会と民族教育をみすえて、学生たちの夢の実現に手を差し伸ばす。在校生だけではなく、広島、大阪、名古屋と関東地方で同胞幼児教育に携わる七～八人の先生への支援も決まっている。
朝大の学食で、保育科の学生への奨学金伝達式があると聞いて、写真でもと、軽い気持ちで会場をのぞいたが、先見性をもってより専門性の高い人材を育成することに着目して活動する青商会の頼もしい姿に脱帽だ。
＊不快な表現、事実誤認などお知らせください。加筆して『朝鮮学校のある風景』５６号に載せます。