私見「無条件で日朝首脳会談」とはどういうことか? | かっちんブログ 「朝鮮学校情報・在日同胞情報・在日サッカー速報情報など発信」

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私見「無条件で日朝首脳会談」とはどういうことか?

 
 
 
 
 
↑こちらのサイトより
 
 
私見「無条件で日朝首脳会談」とはどういうことか?

連日、安倍総理の「無条件で日朝首脳会談を」という話が、
繰り返し報道されています。
そして大手マスコミは、拉致問題解決に一歩前進したような、
楽観的なイメージを広めようとしています。

ところで「無条件で行われる日朝首脳会談」というのは、
具体的にどういうことか、について語っている人は、ほとんどいません。
それによる、拉致問題解決を期待する人々がいますが、
「無条件で行われる日朝首脳会談で、
全拉致被害者の即時一括帰国を実現する」
そのプロセスを具体的に示している話を、
残念ながら私は聞いたことがありません。
 ※救う会副会長島田洋一氏が
「北朝鮮への「無条件」会談呼び掛けの意味」なる文章を書いていますが、
「無条件など「言葉のアヤ」だ」の意のことを言って、
従来の主張を繰り返しているだけです。
https://jinf.jp/weekly/archives/24785

誰も書いていないので、当ブログで私見として述べてみたいと思います。

平壌宣言
フォトジャーナリスト伊藤孝司氏は2017年4月と2018年3月に、
宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使と
各3時間の単独インタビューをしたそうです。
kodawarijournalist.blog.fc2.com/blog-entry-202.html
その際大使は
「平壌宣言は首脳会談によるものなので非常に大切にしており、
関係改善の里程標となっている」と言いました。

北朝鮮の大使の言う事になど、聞く耳をもたない、
という人は大勢いることでしょう。
一方日本の総理大臣はどうでしょうか?

参議院の質問主意書と答弁書で、このようなやりとりがありました。
Q:この決議の採択後、北朝鮮は核・ミサイル開発を続行する旨を
ジュネーブ軍縮会議ほかで繰り返し表明しています。
これにより、日朝間における日朝平壌宣言、
ストックホルム合意は北朝鮮によって破棄されたと
受け止めるべきではないですか。
あるいは日本から日朝平壌宣言及びストックホルム合意を
破棄する考えはありませんか。
www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/194/syuh/s194001.htm 
A:政府としては、日朝平壌宣言において確認された事項が
誠実に実施されることが重要であると考えており、
北朝鮮に対し、引き続き、日朝双方の首脳の議論の結果として
日朝関係の今後の在り方を記した同宣言を
遵守するよう求めていく考えである。
また、政府として御指摘のいわゆる
「ストックホルム合意」を破棄する考えはなく、
同合意に基づき、
拉致問題を含む日本人に関する全ての問題の解決を目指す考えである。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/194/touh/t194001.htm

答弁書の日付は2017年10月6日。
名義は内閣総理大臣安倍晋三になっています。

日朝双方、首脳会談は平壌宣言を踏まえて行われることを、
当然の前提としています。
それはそうです。
「平壌宣言は首脳会談によるもの」であり、
「日本国総理大臣 小泉純一郎」と
「朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長 金正日」との間で
2002年9月17日にピョンヤンで正式に調印されたものなのです。

正式に破棄されない限り北朝鮮からの申し出がない限り、
これからの日朝首脳会談は、
平壌宣言が出発点になります。
「無条件で日朝首脳会談を」というのであれば、
「平壌宣言を破棄し、白紙に戻した上での」というような条件など、
付けられるはずはありません。
逆に「平壌宣言を破棄し、白紙に戻した上での」日朝首脳会談を求めるなら、
それは条件付どころか、
これから気の遠くなるような事務レベルの交渉を重ねた上での話になります。
というより、「平壌宣言を破棄したい」と言った時点で、
交渉のための糸口は全て失われることは、まず間違いありません。

ここで日朝平壌宣言の具体的な内容を見てみましょう。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html 
そんなに長い内容ではありません。

拉致問題について触れられている箇所を引用します。
「3.双方は、国際法を遵守し、
互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。
また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、
朝鮮民主主義人民共和国側は、
日朝が不正常な関係にある中で生じた
このような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう
適切な措置をとることを確認した。」
「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」
というのが拉致問題のことです。

よく北朝鮮から「拉致問題は解決済み」という話が出てくると、
激昂する人々がいます。
実は上の文章を読む限り、平壌宣言に基づいて見れば、
「拉致問題は解決済み」というのは、
決してとんでもないことを言っている訳ではありません。

「互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認し」
「今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した」
のであれば、「解決した」と見なすことも十分可能です。
(再度拉致が行われない限り)
日本人拉致被害者を「帰国させる、あるいは原状復帰させる」とは
一言も書かれていないのです。

日本政府ですら、北朝鮮の「拉致問題は解決済み」
という姿勢への見解を問われて、否定はしていないのです。
参議院の質問主意書(2018/11/2)と答弁書でこのようなやりとりもありました。
Q:米朝首脳会談以降においても、
北朝鮮が「拉致問題は解決済み」
との姿勢を崩していないことに対する政府の見解をお訊ねします。
www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/197/syuh/s197004.htm 
A:北朝鮮の意図については、政府としてお答えする立場にないが、
政府としては、御指摘のいわゆる「ストックホルム合意」に基づき、
拉致問題を始めとする日本人に関する全ての問題の解決に向け
全力を尽くしている。
例えば、平成三十年二月九日に、安倍内閣総理大臣から
北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長に対して、
全ての拉致被害者の帰国を含め、拉致問題の解決を強く申し入れたほか、
在中華人民共和国日本国大使館を通じて、
北朝鮮に対し、拉致問題の解決を強く申し入れてきているところである。
www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/197/touh/t197004.htm 

北朝鮮の「拉致問題は解決済み」との意図にお答えする立場にない方々が、
なぜ北朝鮮に拉致問題の解決を強く申し入れるのか、不思議でなりなせん。

更に言えば、「拉致問題の解決」の定義すら決定していないのです。
「全ての拉致被害者の帰国を含め、拉致問題の解決」とあるのですから
全拉致被害者の帰国以上の事柄をもって拉致問題の解決と
日本政府は考えているようですが、その具体的内容は明らかにされていません。
そもそも「全拉致被害者」とは何人なのか?すら
明らかにされていません。
*このことについては、当ブログでは何度も取り上げております。
 「新しい視点」にも書いております。

また、「拉致問題解決がなければ、日本からの支援はありえない。」
と言う人たちがいますが、
平壌宣言には「国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を
誠実に協議することとした。」と記載されており、
拉致問題が「未解決」でありながら、国交正常化交渉が行われた場合、
(無条件でと言っているのですから、北朝鮮側から国交正常化交渉をしたい
と言われる可能性がないとはいえないでしょう)
「拉致問題解決がなければ」という条件はつけられていないので、
一蹴されても、文句が言える筋合いではないのです。

それでは「無条件で日朝首脳会談を」行う際、
「拉致問題は解決済み」と言われたら、
すごすごと引き下がるしかないのでしょうか?
拉致問題について触れることはできないのでしょうか?

私たちの見解として、「無条件で日朝首脳会談を」行った上で、
拉致問題についても改めて討議する方法が一つだけあります。

認定拉致被害者 田中実氏
拉致問題についても改めて討議する唯一の方法は、
政府認定拉致被害者、田中実氏について取り上げることです。
かつて平壌宣言が調印された時、
北朝鮮側は田中実氏の入境(北朝鮮入国)を否定していました。

しかしストックホルム同意に基づいて作成された報告書では、
田中実氏が平壌に在住していることを認めていることになっています。
つまり、2002年の時点での調査は完全なものではなかったことを、
北朝鮮側は認めているのです。

「拉致問題は解決済み」という言葉を挟んで互いに反目し合うよりも、
「2002年発見できなかった拉致被害者が、
その後の再調査で発見できるのならば、
まだ新たな拉致被害者を探し出す可能性は決してゼロではないはずだ。
2002年の調査方法・その後の再調査の方法を踏まえた上で、
より精緻な調査を共同で行えるように要請する」方が、
遥かに拉致問題解決に役立つとは思えませんか?

「拉致被害者は全員生きているはずだ!この嘘つきめ!」
と罵るよりも、ずっと建設的なように感じますが、如何でしょう?

そうするためにも、圧力・制裁一辺倒ではなく、
対話をしようとしている現在の安倍総理の言葉には
期待をしたいものです。
支援者の声や日本会議系の「保守」のお仲間の声に惑わされることなく
現実路線として、田中実氏の存在を切り口にして
再調査依頼をする、平壌に連絡事務所を設置し共同調査をする等の
提案をすることができれば、即時全員一括は無理としても
何人かの「被害者」を取り戻すことは可能なのではないでしょうか。

と言いたいところですが、
「無条件での日朝首脳会談」と全く相反することを、
アメリカで言って回っている人々がいます。

拉致被害者家族です。

拉致被害者家族
家族会の横田拓也氏(横田めぐみさん弟)と
飯塚耕一郎氏(田口八重子さん長男)が、
4月25日~5月5日の日程でワシントンに
そして5月10日~12日の日程でニューヨークに行っています。
ワシントンでの横田拓也氏の話の全文はこちら。
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6936.html
飯塚耕一郎氏の話の全文はこちらです。
http://www.sukuukai.jp/mailnews/item_6935.html

日本の総理大臣が「無条件での日朝首脳会談」を訴えているのであれば、
日本と北朝鮮の交渉がスムーズになるように、
仲介をお願いするのが、ごく普通の行動です。
いや、それ以外の行動はありえないはずです。
なにしろ、現在アメリカと北朝鮮は、
基本的には平和的に交渉をしている関係なのですから。

しかし彼らの言動は全く異なっています。

部分的に引用します。
横田拓也氏。
「拉致事件と言うのは言うまでも無く重大な人権侵害問題です。
同時に、北朝鮮による拉致事件は主権侵害や領海侵犯をも含む
犯罪行為である事を忘れてはなりません。
この意味から、北朝鮮を利する立場にある国家や個人は
非難されなければなりません。」

「私達拉致被害者家族が何度も国際社会に訴えた事も奏功し、
多くの国が北朝鮮の暴力性や平気で嘘をつく国家である事を知りました。」

「日本の立場は一貫しており全拉致被害者の即時一括帰国が果たされない限り
経済支援をする事はありません。
部分的な解決や段階的な解決では納得しません。
拉致被害者達を帰国させず、
双方の国に事件究明の為と称する連絡事務所の設置や
調査委員会の立ち上げと言う「聞こえの良い隠蔽工作」には
絶対反対する立場を私達は貫きます。」

飯塚耕一郎氏。
「我々被害者家族及び日本政府は、一切の妥協はせず、
全拉致被害者の即時一括帰国へ向けて鋭意努力しております。
北朝鮮は一方的かつ都合のよい報告書の受領や
一部の被害者のみを帰国させるなど安易な解決を図るための画策を
行ってきておりますが、これに応じるような愚鈍な考えを
日本は持ち合わせておりません。」

言っているのは、アメリカが現在平和的に対話を進めている相手である、
北朝鮮に対する憎しみと、「全拉致被害者の即時一括帰国」という
実現不可能な条件です。
これを聞いて、言葉通りの意味での
「無条件での日朝首脳会談」が行われるだろう、と思える人間は、
少なくとも、北朝鮮には一人もいないでしょう。

なにしろ、この二人は勝手にアメリカに行って、
日本政府の立場とは無関係に、自由な立場で意見を語っているのではありません。
ワシントン行きでは「政府からは左藤章拉致問題担当副大臣が同行し、
政府拉致問題対策本部と在米日本大使館が全面的にサポートして」います。
(費用は税金からの支出です)
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6933.htmlニューヨーク行きでは、
なんと菅官房長官兼拉致問題担当大臣が同行しています。
そして菅官房長官も2人と、ほぼ同じような話をしています。

彼らの意見は、安倍政権の意向を踏まえたものである、
と考えない訳にはいきません。
というより、安倍政権の意向そのものです。

なぜか?
全く逆のことを言っているのに?
そう思われるでしょう。
そう。
逆のことを、敢えて言っているのです。

そうすれば北朝鮮に、
「無条件での日朝首脳会談を行う、と約束したな」
「あれは嘘だ」
という某映画のようなメッセージが伝わります。
当然北朝鮮は相手にしません。

つまりこの日本とアメリカで二方向で行われた作戦のポイントは、
・「無条件で日朝首脳会談を行いたい」と言って、
 「やってる感」だけは出しておく。
・アメリカで拉致被害者家族に「全拉致被害者の即時一括帰国」
 という条件を連呼させ、北朝鮮への憎しみを煽ることで、
 絶対に相手が乗ってこれない状況を作り出す。
 にあると言えるでしょう。

なかなか巧妙な作戦と言えます。
龍谷大学の李相哲教授は、『フライデー』(5月24日号)で、
「北朝鮮は、安倍首相が選挙前の支持率アップを狙っていることも
見透かしています。」
と言っていますが、
安倍総理としては、「やってる感」を出すことで、
選挙前の支持率アップのみを手に入れ、
日朝首脳会談が実際に行われる可能性を丹念に潰すことで、
支持率ダウンのリスクを負う必要をなくしていく。
非は北朝鮮側にあるとの印象付けも可能となるのです。
そうすれば、一方的に利益を得ることができるぞ、と考えているのでしょう。

当然、安倍政権の関係者は、拉致被害者救出のことなど全く考えていません。
以前当ブログで書いたところの、
「安倍総理を救う会」・「安倍総理の家族会」の方々も同様です。

哀れなのは、政治利用されるだけの、拉致被害者の方々です。
私達国民は、彼らの救出のみを願っていたはずなのに。

拉致被害者を、一人ずつからでも取り返していくために
このような状況下で、拉致被害者を、一人ずつからでも取り返していくために、
私達にできることは何でしょうか?

署名ではありません。
現在の救う会の署名用紙には、
「全拉致被害者の即時一括帰国」と書いてあります。
www.sukuukai.jp/img/shomei2018.pdf
救う会の署名をすることは、
拉致被害者救出を妨げる行為だと言ってよいと思います。

ではどうすればよいのか?

「やってる感」にだまされなければいいのです。
「なんだ口だけじゃないか!」と支持率がダウンするようにすればいいのです。
「ちゃんと言葉通りの無条件の日朝首脳会談をしろ!
そしてその前提で、ちゃんと拉致被害者救出のための交渉を行え!」と
日本政府に圧力をかければいいのです。

その上で安倍総理がすべきことは?・・・②で言ったことを繰り返します。
「そうするためにも、圧力・制裁一辺倒ではなく、
対話をしようとしている現在の安倍総理の言葉には
期待をしたいものです。
支援者の声や日本会議系の「保守」のお仲間の声に惑わされることなく
現実路線として、田中実氏の存在を切り口にして
再調査依頼をする、平壌に連絡事務所を設置し共同調査をする等の
提案をすることができれば、即時全員一括は無理としても
何人かの「被害者」を取り戻すことは可能なのではないでしょうか。」

安倍総理は以前から「圧力!」「圧力!」と言っていましたが、
最近全く言わなくなりました。
これからは私達が安倍総理に「圧力」をかけなければなりません。

民主主義国家において、これこそが「圧力」の正しい使い方なのですから。