「あいうえお」は母音。その他の文字は「子音」。

母音そのものは、日本語だけにあるものではなく、様々の言語にあります。

 

*「母音」は発声する際、喉を通った空気が舌や気門などによってを閉ざされることなく発される音

*「子音」は発声する際、喉を通った空気を舌・歯・唇などによって抑えて発される音

 

ローマ字であらわすと、これはよく分かります。

a-i-u-e-o(あいうえお)が母音です。

か行でいうと ka-ki-ku-ke-ko のkの部分が子音です。

 

ぼくは「あいうえお語」の不思議として学びました。1年生だと、「あいうえお」のそれぞれの文字を学んだあとです。

 

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ゴリラ先生の教室だより<48>あいうえお語のなぞ

ひらがな学習は「文字が読めて、書ければいい」だけにとじこめないというのが、1年生担任を続けているうちに到達したぼくの結論です。「ことばを文字にとじこめない」ということばあそびの実践がそこから生れました。

 

        ピンクハートハートピンクハートハートピンクハートハートピンクハート

 

「あいうえお」は日本語学習の中でもとりわけ大事な文字です。「ボイン」なんて子どもたちの前で言うと、ニヤッとする子どももいたりして…。いないか。(オジサン、考えすぎデス)

漢字で書いておきましょう。

 

「あいうえおは 

 母音(ぼいん)といって

 日本のことばの母さんです」(あらいたけこ『あいうえお』より)

 

その「あいうえお」を使って遊びましょう。

 

 

 

あいうえお語のなぞ 

 

 「おえあいうお」

 

 黒板にこう書き、「これはクラスの子の名前です。さて誰でしょうか」と尋ねました。子どもたち、みんな「?」です。そこでヒントを出します。

 

 〈ヒント①〉男の子 

 〈ヒント②〉6文字

 

 子どもたちは男の子の名前をかたっぱしから言いました。もちろん「そえだりくと」という正解も出たものの、なぜそうなるのか、釈然としない表情です。

 

 そ~お、え~え、だ~あ、り~い、く~う、と~お。

 

 それぞれの文字を長くのばして発音すると母音〔ぼいん〕があらわれます。

 

 説明を続けました。

 「この母音だけで話すのは〈あいうえお語〉とよびます。では、<ああああい>、これは誰かな?」

 

 子どもたちは「5文字の子か…」「や~あ、ま~あ、だ~あ…、やまだなみちゃんだ!」とすぐに気づきました。

 

   バナナ      バナナ      バナナ

 

 〈あいうえお語〉というのは、日本語の特徴である母音を楽しく学ぶためにぼくが名づけたものです。これによって母音と子音を意識づけ、発音もはっきりしてきます。

 

 この時間、教室では8人のS玉大学生が授業参観をしていました。交流のある大学の先生がゼミ生を連れて来ていたからです。

 

 ここでまた名前を書きました。 

 「いおうああ◯い」

 

 子どもたちは首をひねるばかりで全くわからないようです。「男の子なの? 女の子?」「ヒント出してよ」の声があがりますが、ぼくはニヤニヤしているだけです。

 

 大学生の吉沢君がサッと手を挙げました。でも当てないでいると、子どもたちは吉沢君に「お兄さん、教えて」とつめよりました。困った吉沢君がつぶやきました。「よ~く見てごらん、目の前に…」「あっ! わかった! しもむらさんに、だ」。数人が同時に声をあげます。「なあんだ、子どもかと思っちゃった」

  〇は、くちびるを閉じたまま出す音=「ん」です。

 このあと子どもたちはノートに自分の名前を〈あいうえお語〉で書きました。その名前を大学生のお兄さん、お姉さんがかわいい花まるで飾ってくれました。 

 

子どもたちと楽しく遊んだ(学んだ)思い出はずっとぼくの胸に残っています。

いま≪2019年のこと≫、ぼくは、S短期大学の保育科の学生に対して「言語」という授業をしています。

学生たちは、子どもたちのことばについて学びます。

 

ここでも日本語における「母音」の意味について考えましたが、その際に「イケメン6人組」という教材ネタで遊びました。

そのときの大学での授業通信『らぶれたあ』より

 

まずは<あいうえお語>から。(母音を使ったことばあそび)

 

これはだあれ?イケメンです。わかるかな?

*①「うあああい」(        )          

*②「あああいえ◯お」(         )

*③「うういおうあ」(        )

*④「ああういえ◯あおう」(           )

*⑤「あえういいおうあ」(         )

*「いおうああ◯い」(        )

 

  <①菅田将暉  ②山﨑賢人  ③福士蒼汰  ④坂口健太郎  ⑤竹内涼真  じゃあ?⑥は誰でしょう?わっはっは!>

 

母音だけで示す「あいいえお語」で表した6人のイケメン探し。

学生のコメントから。

《最初に体験した「あいうえお語」では、あいうえおだけをつかった音だけの状態で誰の名前かを当てるのはとても楽しかった。自分の名前をあいうえお語で書くと、とても面白くなります。(いあいああいあ)》

 

問題に出した最後のイケメンの一人が誰か、笑っちゃいましたね。「いおうああ◯い」=「しもむらさんに」。どこがイケメンじゃい、なんていわずに。大目にみてね。イケメンかどうかは主観ですから。

 

小学1年生でも、女子大学生でも「学びは遊び」です。

目の前の人たちとどう遊ぶか、デス。

 

     ブルーハーツラブラブグリーンハーツラブラブイエローハーツ

 

 

ぼくは、ことばの学びにおいて、母音を意識して取り上げてきました。その時に大事にしたのが50音図です。1年生の教室には、黒板上にはこの表が貼ってありますね。でも、実際の学びではあまり使われていませんね。

 

「あいうえお」を使った詩で有名な北原白秋の「五十音」。これは演劇教育の場、劇団での発声練習に使われていました。

 

「五十音」北原白秋

あめんぼ あかいな あいうえお
(水馬 赤いな あいうえお)
うきもに こえびも およいでる
(浮藻に 小蝦も 泳いでる)

かきのき くりのき かきくけこ
(柿の木 栗の木 かきくけこ)
きつつき こつこつ かれけやき
(啄木鳥 こつこつ 枯れ欅)

ささげに すをかけ さしすせそ
(大角豆に 酢をかけ さしすせそ)
そのうお あさせで さしました
(その魚 浅瀬で 刺しました)

たちましょ らっぱで たちつてと
(立ちましょ 喇叭で たちつてと)
とてとて たったと とびたった
(トテトテ タッタと 飛び立った)

なめくじ のろのろ なにぬねの
(蛞蝓 のろのろ なにぬねの)
なんどに ぬめって なにねばる
(納戸に ぬめって なにねばる)

はとぽっぽ ほろほろ はひふへほ
(鳩ポッポ ほろほろ はひふへほ)
ひなたの おへやにゃ ふえをふく
(日向の お部屋にゃ 笛を吹く)

まいまい ねじまき まみむめも
(蝸牛 ネジ巻 まみむめも)
うめのみ おちても みもしまい
(梅の実 落ちても 見もしまい)

やきぐり ゆでぐり やいゆえよ
(焼栗 ゆで栗 やいゆえよ)
やまだに ひのつく よいのいえ
(山田に 灯のつく よいの家)

らいちょうは さむかろ らりるれろ
(雷鳥は 寒かろ らりるれろ)
れんげが さいたら るりのとり
(蓮花が 咲いたら 瑠璃の鳥)

わいわい わっしょい わいうえを
(わいわい わっしょい わゐうゑを)
うえきや いどがえ おまつりだ
(植木屋 井戸換へ お祭りだ)

 

 

この間、小学校の特別支援教室で、ことばあそびをあそんでいます。

そこでは、母音を使ったあそびを紹介しています。

そのデータなど、これからまとめて紹介していきます。すでにブログで紹介したものも含めて。