岸田衿子さんの詩、「もじさがしのうた」。

 

「もじさがしのうた」

    岸田衿子

 

あかさたなはまやらわ

はなさがす

わらべきた

さわやかな

やまのあさ

 

いきしちにひみいりい

みんなして

ひまなときに

いぎりすの

ちずをみる

 

うくすつぬふむゆるう

ふゆもすぐ

むつかるこ

うるさくて

いぬふるえ

 

えけせてねへめえれえ

めがさめて

せんねんめ

えれきひけ

へいのうえ

 

おこそとのほもよろお

このごろの

ほしのよる

こそどろも

おとそのむ

 

詩の題名の「もじさがし」ってどういうこと?―そう思って読みます。

 

あ段、い段、う段、え段、お段の文字―これらがどう使われているかをさがすんだね。

 

便宜的に、分かりやすいように文字に網掛けをしてみました。

あ行い行う行え行お行

 

「もじさがしのうた」

    岸田衿子

 

あかさたなはまやらわ

 

はなさが

わらべき

さわやかな

やまあさ

16/20)

 

いきしちにひみいりい

 

んな

まなときに

いぎりすの

ずを

10/21)

 

うくすつぬふむゆるう

 

ふゆすぐ

むつ

うる

ぬふる

13/20)

 

えけせてねへめえれえ

 

がさめて

えれきひ

いのう

11/20)

 

おこそとのほもよろお

 

このごろの

のよ

こそどろも

おとその

17/20)

 

よくできています。

「もじさがし」をしたあとは、音声表現です。この詩を読むときには母音に気をつけて読みましょう。

 

・はァなァさァがァすゥー  というように。

・みィんなァさァがァすゥ

・ふゥゆゥもォすゥぐゥ

・めェがァさァめェてェ

・こォのォごォろォのォ

 

母音法

音読、発声の時、母音を意識して発音する練習法があります。「母音法」と言われるものです。

これを採用しているので有名な劇団四季。そのことについて紹介した記事がありました。

 

発声方法と言えばやはりこの「母音法」です。日本語は基本的に「子音+母音」で成り立っています。


母音・・・あ(a) い(i)  う(u)  え(e) お(o) 

子音・・・か(ka)き(ki)く(ku)け(ke)こ(ko)の "K" などの音


例)さ行の子音⇒ Sa などの "S"

例)た行の子音⇒ Ta などの "T"

 

で、この母音法とは、子音と母音の一音一音を分離させて子音を取り除き、母音だけで話す、という発声方法です。

例えば、リトルマーメイドのパートオブユアワールドの冒頭だと、

 

「ほらみて いいでしょう? たいせつな たからもの」

 

これを母音法に変えると

 

「おあいえ いいえおう? あいえうあ あああおお」

 

こんな風になります。

このとき注意するのが


「大切な宝物」

 ⇒「たいせつなたからもの」

  ⇒「あいえうああああおお」


この「あ」が4つ連続で並んでいますが、「あいえうあーーーおー」といった感じに、ただの延ばした音にならないように気を付けなくてはいけません。

 

必ず1音ずつハッキリと「あ あ あ あ お お」ということが滑舌の良さを生み、自分のセリフや歌を確実にお客さんに届けることが出来るのです。

 

これを意識して、セリフを全て母音法で読んだり、歌を母音法で歌うこと。


なお、声を出すときは必ず背筋を伸ばし、顎を引いて、口角を上げ(上の歯だけを見せる感じ)、しっかりと口を大きく動かして発声するようにしてください。

 

また、可能であれば前傾姿勢で行うことが理想です。

やや高い机の上に手を置いたり、鉄棒のようなバーを掴んでそこに自分の体重を少し預けるくらいがちょうどいいです。

 

正しい姿勢と口の形で発声しないと、音がきれいに響きません。口を大きく動かし、声が通る空間を広く作ることでようやく意味のあるトレーニングが出来ているということになります。

 

なるほどね。

まあ、これは参考にするくらいでいいかもしれません。教室では、劇団四季の俳優を育てているわけではありませんから。

しかし、母音を意識すれば、発音や活舌が段違いによくなります。

 

今日の「もじさがし」の詩は、これらを「ことばあそび」として考える時の教材の一つでしょうか。

あらいたけこさんの『あいうえお』などもつなげて遊ぶといいかな。神沢利子さんの『あいうえお』や、ぼくが教室であそんだ『あいうえお語のなぞ』もね。

 

先日、N区の小学校で、子どもたちに「あいうえお」詩を紹介しました。その時、「母音」「子音」の話をしました。来週、再度この学校の子どもたちとことばで遊びます。先生方に、上のぼくの3つの記事もデータとして紹介しておこうと思います。

 

それらの記事もどうぞぜひお読みください。≪1年生の文字学習、他の学年でのことばあそびの「デザート学習」としても面白いですよ。