三木句会ゆかりの仲間たちの会:樹 水流さんの旅の記録 | sanmokukukai2020のブログ

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   三木句会ゆかりの仲間たちの会:樹 水流さんの旅の記録

 

 

   神戸へ


    念願だった神戸にある『竹中大工道具館』へ出かけました。
    神戸市中山手にあった大工道具館が現在の新神戸駅に程近い場所へ移転し、新たな

   建物とともに歩み始めてもう10年だそうです。ボランティアによる館内案内とともに

   鑑賞する好機に恵まれ、各エリアを十分堪能することができました。
    案内人のお話で興味深かったのは、良い道具ほど消耗して無くなる運命であるとい

   うこと。確かに、刃物は研いてなんぼ‥‥。いくら名工が作ろうともいずれは姿を消し

   ます。長い歴史のある竹中工務店はそれを民族遺産として収集し、大工道具館で公開し

   ています。    

    地上1階地下2階の建物は細部までとても贅沢な素材、大工の技が美しく反映され、設計、

   施工は竹中の力技とも感じました。 来場者が一息つける休憩場所もゆったりとした空間

   で、茶室なども眺めながら余韻を楽しめます。

    展示は様々な道具、その歴史、また素材などありますが、目を引いたのは地下の1・

   2階を吹き抜けにしたフロアに立つ、唐招提寺の斗栱(ときょう)と呼ばれる柱の実物

   大です。1部とはいえその巨大な柱の姿は悠々とし、木組の美しさがありました。クロー

   ズアップして見せることで、そこに関わった人々の迫力まで感じられるようです。数寄

   屋造りを紹介するエリアでも実際に茶室が建てられていました。土壁のないスケルトン

   で、職人技が披露されています。
    様々な仕事を見るにつけ、細分化されたゆえのレベルの高さを感じます。ちょうど

   展覧会「鉋台を作る」が開催されていました。鉋の刃をすげた台に注目です。誰が作っ

   たなどという名があるわけではありませんが、それがなければ道具として成り立ちません。

   道具1つの完成にいったいどれだけの職人が関わっているのか。一途に自分の仕事と向き

   合い、次の人に渡すバトンの確かさ。唐招提寺のような巨大な寺院でさえ、当時は人の

   力で完成したのですから、見事な伝統的技の結晶と言えるでしょう。何事も機械化され

   ていく時代の中で、このような民族遺産を次の時代に繋げる大工道具館を見学でき、

   充実した1日でした。曜日は限られているようですが、案内人の解説とともに見学するこ

   とをお勧めします。

                                     樹 水流

 

  

 

 

 

                                                       

                                                                photo: m. hazuki

                                          鉋かけ香に立つ俎始かな    飴山實