三木句会ゆかりの仲間たちの会:有馬英子第一句集『深海魚』より
有冨光英氏による『序』より(つづき)
冬の夜の読み解く父のものがたり (P73)
ごきぶりを親の仇と追い詰める (P90)
陽炎に分身の術教われり (P113)
雪解川は葉の重荷を捨てに行く (P146)
肩書きを綺麗にはがす五月晴れ (P150)
ここまで引用した句は緊張感のある重厚な作品が多かったが、彼女の持味はこれだけ
ではない。現代的な俳味のある句も多い。
HARU食べるアルファベットのビスケット (P44)
黄落や魔女がほしがる竹箒 (P98)
深海の様子見てくる夜長かな (P122)
冬うららピエロの鼻の忘れ物 (P123)
短日の檻から猿の手が伸びる (P139)
英子さんには洋々たる前途が開けている。持って生まれた感性を発揮して存分に活躍
して貰いたい。句集掉尾の作品、
霧を追う命の限り霧を追う (P157)
に将来への決意が表明されていて誠に頼母しい。大成を祈って止まない。
平成十三年二月
白主宰 有冨光英
<これにて、有馬英子さんの第一句集『深海魚』からの268句のすべてと、終生、
英子さんが師事した有冨光英氏の「序」の掲載が終わりました。
作句に行きづまったとき、英子さんの句を読み返してみると、きっと閃きをもらえる
ような気がします。 飛鳥遊子>
photo: y. asuka
むきだしの魂抱え冬日落つ 有馬英子
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