三木句会のゆかりの仲間たちの会:有馬英子第一句集『深海魚』より
寒星や君も加わる聖歌隊
マネキンの首すげかえる春一番
窓際の水槽で飼う春の月
月おぼろ唇動く如来像
雪解川母の重荷を捨てに行く
ひとりよりふたり静の静かなり
ものの芽の笛吹きながら生まれけり
花冷えの段差で止まる車いす
溜息を着込む少女の花衣
仲春の日向の飴となりにけり
鉄棒に杖かけてあり春の暮
ひらひらと銀鱗こぼす新樹光
肩書を綺麗にはがす五月晴れ
機嫌よく手の鳴る方へ浮いてこい
薫風にふくらむ河馬の鼻の穴
万緑や迷いなく行く盲導犬
哲学の三頁なり梅雨に入る
百合花粉つけて男の帰りたる
梅雨寒の鏡の裏におのれかな
水無くて溺れてしまう水中花
photo: y. asuka
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