放課後 | sanmokukukai2020のブログ

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    放課後

 

   快挙のお知らせです!!!!

   太田酔子さんが、関西現代俳句協会主催の『令和5年第10回関西現代俳句大会』で、最

   優秀賞である大会賞(1名)と秀逸賞(若干名)をダブル受賞されました! 選者は宇多

   喜代子氏をはじめとする20名。受賞の言葉をお寄せいただきました。

 

    大会賞   静寂が聞こえる母の初電話

 

    秀逸賞    父と子の目線の角度いわし雲

 

 

   大会賞を受賞して          太田酔子

 

   「入賞の通知及び表彰式のご案内」が届いて仰天した。大会賞が太田酔子だったからであ

   る。2021年に現代俳句協会の会員になった。同時に、自動的に居住地の地区会員にもな

   る。私の場合は、関西現代俳句協会会員ということにもなった。

    会員でなくても俳句大会に応募できる。入会しないまま2018年から現代俳句全国大会に

   応募してきた。そして2021年、22年と関西現代俳句大会にも応募した。「応募しなければ

   始まらない」と励ましてくれた先輩の句友がいたからである。俳句を続けるには表現する

   ことが好きであることと、身近に目標とする先輩の句友がいること、この2つは外せない。

    句会は思いが届かず点が入らないことが多いものだ。くさることも多い。そんな時、1点

   しか入らなくても気持ちを立て直すことができる良薬がある。自分の句が他者には理解さ

   れなくても「これは私が詠みたかったことだ」という執着と、1人の人の共感を勝ち得たこ

   とを喜べる素直さの2つである。執着はより良い表現へと句を練り直す原動力だし、素直さ

   は結果を真っ直ぐ受け入れて、まあいいかと思えるナイーヴさに通じる。

    句誌『白』の主張「俳句は抒情詩である~~象徴性のある俳句を目指す」を胸に刻み、

   先輩句友の「想像の余地を残した“飛んでいる”句」に近づこうという気持ちを忘れたこと

   はない。しかし、今回の受賞作は必ずしも“飛んで”はいない。私はまだ飛べず、飛ぼうと

   すると独りよがりの句になりがちである。でも続けているとたまさかの僥倖に出会うもの

   だと実感している。1歩踏み出さなければ何も始まらないというのは全く真理である。

 

 

 

    ”三徳好み”と言っていいほど、三徳さんのお作りになる句も、選ばれる句も、ユーモ

   アに溢れ、意表を突いていて、心根優しく、ほのぼのするような、時には辛辣が砂糖に包

   まれているような句ばかり。おん年91歳になられますます意気軒昂な三徳さんのお目が

   ねに適った句をお寄せいただきました。

    作句において、自分のスタイルを獲得するまでには長い長い試行錯誤、真似の時代が続

   くのが普通です。自他共に認める”その人らしさ”が出せるようになれば、もう”おめでと

   う!”です。

 

 

    私は60歳の定年を迎えた時に、光樹さんから俳句の会に誘われて白俳句会(主宰・有冨

   光英)に入会させて頂きました。そのときは俳句というのは、五・七・五と季語という単

   純な理解しかありませんでした。それから30年近く句を作り続けてきて、ようやく俳句と

   いうのは単純ではなく、複雑で奥深いものだということが判ってきました。とにかく句会

   に出席して、句友と色々議論して、他の人の意見を聞くことによって理解が深まるという

   ことです。

    私の出会った多くの人たちの作品で私の好みにあって、俳句勉強に役立つと感じて書き

   留めておいたものから、20句を皆様に見て頂きたいと存じます。ご参考になれば幸いです。

                                      國分三徳

 

       わたくしの鬱からころり枇杷の種      菊池京子

       目黒にはさして用なし初秋刀魚       池田和人

       うららかやここで休めと石がある      小林雪枝

       狐の子使いこなせぬ二枚舌         岩尾可見

       行き先はどこでもいいの春帽子       保坂末子

       じゃがいもに芽が出てひどい肩こり     岡田淑子

       悪妻に時効などなしけむり茸        山中葛子

       母の日の母がだんだん重くなる       泉志眞子

       記念写真まんなかはいつも金魚       飛鳥遊子

       先師いわく陽炎を追ってはならぬ      横須賀洋子

       神様にぶつかりそうに稲雀         宮森 碧

       冬日向小石裏返してやりぬ         岡本久一

       立入禁止青大将の住居です         金子 嵩

       席つめてください山はすでに雪       鹿又英一

       花野までもしどこまでと聞かれたら     石川裕子

       わたしという乗りにくい馬に今日も乗る   久米良一

       着ぶくれてざんげのような脱衣籠      上田たかし

       送り火やそろそろ妻を帰さむか       名久井清流

       玉の輿倦きて箒に乗り替える        小倉班女

       大根が笑い出すまで洗ってやる       秋山貞彦

 

 

 

                                                                                       photo: y. asuka

                                                      河骨や一人ひとりの持ち時間   樹 水流