今回は佐藤花子さんが自己紹介をお寄せくださいました。
穂高さんの「私の生い立ちと俳句について」の冒頭に品川区立延山小学校出身と
あり、私の兄と同じと、思わぬご縁に何だか嬉しくなりました。(私は引越しで別
の小学校に入学しました)
そんな矢先でした。兄が転倒し頚椎の緊急手術を受けると連絡が入り、私は慌て
て病院に駆けつけました。
兄は1人暮らしで、私の月1回の訪問をとても楽しみにしています。それは私が
持っていく俳句の詠草表を見るのが待ち遠しいからです。兄なりの句評があり、私
の句には厳しい助言が多いのですが、たまに褒めてくれることもあり、点数が入る
と我がことのように喜んでくれます。句作りの励みになっています。
兄と私は2つ違いで、幼い頃は後をついて回り、兄が泣いていると「親分にやら
れたの?」と心配そうに覗き込んでいたそうです。母が目を細めて話してくれまし
た。小学生の頃は、夏休みになると父の郷里に2人して遣られ、野山を駆け回り川
遊びして過ごしました。兄とは喧嘩もよくしました。
手術が終わり、無事に出てきた兄を見て涙が出ました。同胞と言う言葉が浮かび
ました。ああ同胞なのだ、と。兄がいつだったか「子供の頃のことを思い出すと、
いつもお前がいるんだよな」と私が忘れてしまったことも兄は覚えていて、懐かし
そうに話します。これからリハビリです。早く元気になって又俳句談義をしたいで
す。
佐藤花子
今月の写真俳句は飛鳥遊子の4句です。
ドリンク剤なめてたちさる恋の猫
SDGs 瀬戸際にいる青蛙
四回転ジャンプ成功カマドウマ
パパラッチさがす着膨れ老女優
photo: y. asuka
鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる 加藤楸邨