加藤光樹の俳句 加藤光樹句集 『句集 風韻』より 母失いし妻の瞳にある寒の星 人葬りし胸の奥処の虎落笛(もがりぶえ) 凩の夜はけものめく樹々の影 継がれきし灯を守る闇の冷まじく 冬日和窓いっぱいの空吸いたし いざり機(はた)とんとろとんと春を待つ 寒桜海に育ちて海の詩 室の花季感失うことかなし 耐えて咲く芯は炎の色寒牡丹 早春や志功の裸婦の固き笑み photo: k. jingumae いっせいに柱の燃ゆる都かな 三橋敏雄