加藤光樹の俳句 加藤光樹の俳句 『句集 風韻』より 花火果て夜の厚さを負いにけり 溶岩(らば)の径色なき風の身を透す 炎帝や狂女の声の蒸発す 羅(うすもの)や尼僧の胸にたたみしは 夏果ての船に片膝抱く女 饒舌の後の虚しさダリアの緋 八月や忘れ得ざるは飢餓の空 目高追う瞳はいつまでも幼なの目 山の日の昏るる早さに秋立ちぬ 咲き乱れなれど哀しき秋桜 photo: y. asuka 乾草匂う夜目にも愛の自転車立て 鈴木六林男