有馬英子その生い立ちと俳句
第13章
大喧嘩することもなく、6畳1間に2人で暮らしを続けていたいという気がしま
したが、Mやんはどう思っていたかは判りません。が、どうしても軋みが出てきま
す。私はひとりで静かに(痛い)いたいのです。Mやんはそれを見ているだけ。どち
らも、ひとりっこ、です。ひとりっこは我が儘なんで、我が儘を言えたら苦労はな
いです。そう、察してほしいのです、Mやんより私の方が厄介だったと思います。
そして私に首の痛み、脳性麻痺という障害には生まれつきの障害とは別の障害が
出てきたのです。五味先生に診察を受けると、「早かったな、これからが長いよ。
まず温めなさい」 。 先生の短い言葉に押されながら、大変長い道のりを感じていま
した。
拠点を東京に置き、授業をなるべく絞って、東京の家で静養しなさいという両親
の提案も、1人でやってみたいと意地を張り通しました。
Mやんは出ていくことに‥‥。喧嘩別れではないのですが、1人になると心が伸
び伸びしました。Mやんも同じだと思います。彼もいたので、すっきりしたかも。
そしてまだまだ難関が。
卒業するためには卒論を書かねばなりません。原稿用紙50枚に字を埋めましょう。
「社会福祉の中の障害者」でした。卒論担当の先生からは広すぎますねの一言。
自分でもそう思いながら、なんとか原稿用紙を埋める努力をしておりました。首の
痛みとも闘いながら!
<9月号につづく>
photo: y. asuka
鉛筆の回し上手が卒業す 有馬英子