加藤光樹の俳句 加藤光樹の俳句 『句集 風韻』より 短夜や明日は捨つべき旅の情 ただの石積みてケルンとなしにけり 籠蛍実らぬ恋を灯しいる それぞれの生きる術(わざ)あり落し文 天牛やむさぼることを性(さが)として 病葉(わくらば)よせめて羅漢の膝元に 山蚕(やまこ)飼うひたむきな瞳に遇いにけり 熱帯魚灯せば聞こゆ潮の音 朝市の女に夏の匂いけり 一句吐き炎天の塵とはなりぬ photo: s. negishi 睡蓮の花びらの先苦しくも少し尖れりわが心ほど 与謝野晶子