有馬英子その生い立ちと俳句 | sanmokukukai2020のブログ

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   今月は英子さんの自分史はお休みです。

   そのかわり、『瓏玲』(今野龍二主宰)の俳句同人誌8号の巻頭で紹介された英子

   さんの特別作品21句を掲載します。

 

 

      ピンヒール

 

      牡丹の脱ぎ散らかしてオペレッタ

      牡丹の枕カバーが濡れている

      見掛けより逃げ足速い紅牡丹

      牡丹に贈る真っ赤なピンヒール

      牡丹は文系に見え真は理系女

      ネギ切った調理鋏で白牡丹

      生きている辛さ愚かさ牡丹の芽

      お日さま掌に乗る紅椿

      欠伸して何も残らぬシャボン玉

      ほろほろとどこかで花がちっている

      葉桜の男と女ならマンボ

      マスクから噂話がほろ苦い

      桜見た歩道橋から富士も見た

      惜春の金平糖を踏ん付けた

      枕木を数えて春の尽きており

      初雷やペットボトルを絞め殺す

      足元に波がひたひた立夏かな

      母の日の擂り粉木にある指の跡

      ベランダに影置いてゆく青蜥蜴

      チューリップ束になってかかって来い

      投げ上げるコインの表裏聖五月

 

 

                                                                                        photo: y. asuka

                おんおんと氷河を辷る乳母車   中村苑子