ある日、遊子さんに教えていただきました。
「泣き寄る子喉の奥まで春日さす」 加藤楸邨
実はこれ、私が昨年7月に投句した「君笑う喉の奥まで梅雨晴間」と瓜二つです。
あらぁ、こんなこともあるのね!でした。
私の句の主人公、笑う君は肺癌ステージ4の友だちです。ちょうど去年の5月、
検査が始まって今頃は抗がん剤を飲み始めた頃でした。彼女自身ステージ4でも気
が付かなかったくらいですから元気ではあったのですが、ずっと一緒にお婆さんに
なると思っていたその人がそうなのだと聞いて、「どうしてくれるのよ、ワタシの
老後!」となんだか腹立たしいような悲しいような気持ちでした。そんな時でもい
つものように2人で話すと大笑いになって、その時の様子を句にしました。
きっと治る、だって今だってあんなに笑っているじゃない?
そんな証拠写真のような句です。あまりにも同じような句なので取り下げとなった
としても、あの大笑いする私たちの時間は記憶にしっかり刻まれています。
放射線治療も、もちろん抗がん剤もよく効いていて、今も元気にしています。彼
女が言うには、今まで通りのことをやっている時間は癌のことを忘れるそうです。
だから、なるべく普通にしていたいと。
一緒にお婆さんになれるよう、私もこれまで通りに接しています。 樹 水流
新しいお仲間から、自己紹介のメールをいただきました。こちらまでフレッシュな
気分になれますね!ご一緒に楽しく長く俳句を続けてまいりましょう。
はじめまして。6月からお仲間に入れていただくことになりました小泉真樹と申
します。5月に梓さんのサロンで企画展のお手伝いをさせていただいたご縁からの
入会なのですが、全くの初心者なうえ、仕事以外では日本語を使わない毎日ゆえ、
色々教えていただかねばならないことだらけと思います。どうぞ宜しくご指導下さ
い。
1993年からイタリアのフィレンツェで暮らしております。最初は留学、その後
は通訳やコーディネートなどの仕事の他、フィレンツェは日本の京都のような観光
地でもありますので公認ガイドのライセンスも取って、美術館などの案内もしてお
ります。ここ数年は年に何度か日本に行っておりました。今後、旅が穏やかにでき
るようになれば、又、同じようなペースで帰国したいと思っております。
いつか皆様に直接お会いできる日を楽しみにしております。 小泉真樹
蝉の彫刻 wish ⓒ ryoho Otake
蝉時雨一分の狂ひなきノギス 辻田克己