2020年 3月句会報 つづき | sanmokukukai2020のブログ

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     通信句会となった3月句会のトップランナーは水流さん。特選4つの12点句

   「卒業式素数となって旅に出よ」。”素数”という措辞が卒業して旅に出る状況にぴっ

   たり。現代俳句では科学用語、医学用語などが好んで用いられたり、裏返ったり蹲っ

   たり、と昔から好まれてきた表現があるようです。もう一つの6点句「潤みゆく今

   日の輪郭花の夜」の、”今日の輪郭”という表現はオリジナリティがあります。潤ん

   で滲む輪郭は花の夜ならではの情感が醸しだされていますね。11点で遊子の「息

   とめて抱擁春のレントゲン」が続きました。実はこれは10年前の「抱擁の冷え冷

   えとしてレントゲン」の焼き直しです。季語の使い方が絶妙との瞬泡さんの賛をい

   ただいていました。一つのテーマを様々に詠んでみるのも一興。もう一つの8点句

   「花吹雪吹き込むメトロC出口」もありました。9点句の一つ美都子さんの「花の

   枝ゆるり触れ行く路線バス」は、シーンが目に浮かびます。ゆきえさんも9点句を

   ゲット!「鞦韆を繰りて子等空に入る」も明るい春の空とブランコを漕ぐ子供の様

   子を巧みに詠まれました。中7の字足らずが気になるところです。ゆきえさんは5

   点句「垣根からぬっと一枝濃山吹」もあって健闘です。この調子で!もう一つの9

   点句「しじみ汁振り返らずに子は発ちぬ」と7点句「噛み合わぬ二人の会話桜餅」、

   6点句の「啓蟄や布団の中でストレッチ」は相変わらず快走中の朗子さん。「牡丹

   の芽シルクのドレス仮縫中」は英子さんの7点句。毎年、大輪の牡丹がお庭に咲く

   そうです。”仮縫中”が縫いあがったドレスの素晴らしさを予感させて、うまい!!

   5点句の「春なのに誰も乗せない観覧車」はコロナ関連でしょうか。水玉さんの6

   点句は「汝が揺れて私が揺れて菜花かな」。これはもう忘我の境地のよう。「よこ

   雲の腹夕焼けて涅槃の日」はきょう子さんの6点句。釈迦入寂の日のたなびく雲の

   見事な夕焼けを詠まれました。スケールが大きくていいですね~。きょう子さんに

   は6点句の「古りし家の戸の節穴や春来たる」もあります。ふと目を惹かれた何気

   ないシーンを切り取る句はなかなか成功しませんが、この路線で頑張ってほしいです。

   「こもり居に季の香りの桜餅」は、いつも良い句ができないとお嘆きの汐さんの6

   点句。季は俳句では「とき」と読むことは俳句をする人なら知っていること。ルビ

   はふらなくても大丈夫。最後の2句は梓さんの5点句。「鳥のいぬ鳥籠に在る春の

   闇」きれいですね~。「騙し絵の妖しくみえて朧の夜」は、すべての言葉が近すぎ

   るというか、つき過ぎ、の感なきにしもあらず。一つの言葉が連想を引き出し、似

   た雰囲気の単語を並べると句が平たくなる恨みがあります。意外な顛末に持ち込む、

   とか、真逆の発想を結びつけると、パンチの効いた句になることが多いようです。

   言うは易し、成すは難し(汗)。

   句会の現場で議論したいようなことを記しましたが、異論反論ウエルカムです。

   侃侃諤諤ができる句会になりましょう!(遊子・報)

 

 

   ここからは、瞬泡さんによる添削です。

   説明的であったり、リズムを整えることに留意するべし、との句が多いようです。

   感動を込める俳句的手法をもっと工夫するべし、ですね。

 

   花の枝ゆるり触れ行く路線バス →    花の枝に触れて行くかな路線バス

 

   花吹雪吹き込むメトロC出口  →     花吹雪吹き込んでくるメトロ口

 

   鞦韆を繰りて子等空に入る   →    鞦韆を漕いで童は空に入る

 

   しじみ汁振り返らずに子は発ちぬ  →     朝帰り子は振り向かぬしじみ汁

 

 

 

 

                                                                                                        photo: y.asuka