関根瞬泡さんご紹介
三木句会の特別会員として投句も選句もなさっている関根瞬泡さん。有冨光英氏の
ご友人で俳人宇咲冬男に紹介され、「白」にも参加されたということですから、
「白」とも随分長く関わっていらっしゃいます。十数年前から鑑賞文が『白』誌に
掲載されていましたが、句会には出席されず、一度もお目にかかったことはなく、
交信はメール。お声を聞いたことさえありません。ふと、瞬泡さんについてもっと
知りたい!という気持ちが湧きました。
瞬泡さんのご著書の一つに、2010年に上梓された『芥川ー鑑賞文・俳句』(そ
うぶん社)があります。2005年から2010年までの約5年間に『白』誌のために書
かれた鑑賞文、その他エッセイ、ご自身の俳句などが掲載されています。鑑賞文の
ページを辿ってゆくと、「白」に連座された古いお仲間や亡くなられた会員の俳句
が並び、加藤光樹氏の捌きで和やかななかにも緊張感があり、ドキドキしながら参
加した活気ある句会が昨日のことのようです。15年余の歳月を重く感じるととも
に、懐かしく思い出されます。
瞬泡さんは1937年、茨城県生まれ。早稲田大学卒業後、会社勤めを経て、「白」
の同人になられ、随筆集『筑波単身日記』『一沙鷗』を上梓されています。
ここでは、数々の俳句大会で入選された句のうちから、数句をご紹介します。
(第8回「草枕」国際俳句大会・倉田絋文入選)
秋蝶のひとさし舞いておさめけり
(第15回「草枕」国際俳句大会・鍵和田秞子特選)
天草やいくたび過ぎし野分雲
(三重県第18回全国俳句募集東北応援部門佳作)
よみがえる祭り太鼓や父祖の海
(NHK学園鎌倉俳句大会2019・5 秀作)
若鮎の飛沫を上げて焼かれけり
雁首を回し切れない木偶人形
漱石の菫残して草千里
春灯を掲げて水の豊かなる
寒の月ヤソもアラーも寄せつけず
俳句などと言うてはみれど虚栗
(入選英文俳句)
Cherry-blossoms are totally neglected.
in the midst of a funeral and a noisy street. (1999)
Space-shuttle swims.
Snow dances, in the vast heaven of Pegasus! (1999)
Giant rocks stand
with frozen stream of tears. (1999)
俳句の評価は長い時間が決めるもの。あの小林一茶の句もその当時は余り評価され
てはいなかった。また、その名も殆ど知られていなかった、逆に、当時の有名俳人
達の句は今や殆ど忘れられ、全く残っていない、と云ってもよいくらいだ。このこ
とは私達、俳句をやっている者はよくこころしなければならないことだ。しかし、
だからといって諦めることはない。誰にでもチャンスは与えられている。そのチャ
ンスをいかすためには、日頃他人の言うことに 耳を傾けながらも確固たる自分の
ものを作り上げるべく努力することが求められているのではないでしょうか?
関根瞬泡
photo: y.asuka