真相は「藪の中」 なのでしょうが、マスコミ報道を通して、私たちがどう受け止めるか? その「受け止め方」を「世論」として何が動こうとしているのか、動かそうとしているのか? がはたまた何なのか?になっているような気がします。
民事訴訟案件なので、「原告」と「被告」 間の問題なのですが、それとはまったく違う「藪の中」を感じるのは、私だけでしょうか?
被告には妻子がいた、原告はおそらくそれは知っていた。もし今回の件が合意の上だったとしたら、原告は被告になる可能性もある(被告の妻の判断ですが)。ひとつの事実には色々な側面があるということか?
ちなみに「藪の中」の語源はこちら(以下ダ・ヴィンチ ニュースより)
3人が殺害を自白。真犯人は誰なのか――芥川龍之介「藪の中」
藪の中で起こった殺人事件に関して、尋問を受けた7人の証言を並べた話。それぞれの証言は微妙に食い違い、真相はますます見えなくなっていく。「藪の中」という言葉の語源になった物語。以下あらすじ。
・木樵り(きこり)の証言
第一発見者。藪の中で男が仰向けに倒れており、胸元に傷があった。縄と櫛が落ちていた。
・旅法師の証言
事件の前日、男は馬に乗った女と一緒にいた。女の顔は見えなかった。男は太刀と弓矢を所持していた。
・容疑者・多襄丸を捕まえた男の証言
橋の上で唸っていたところを捕縛した。多襄丸は太刀と弓矢を持っていた。近くに男の妻のものと思われる馬がいた。
・殺された男の妻の母親の証言
男は金沢武弘という26歳の若狭の侍。娘(男の妻)の名前は真砂で、19歳。現在行方不明。
・多襄丸の白状
男は殺したが、娘は殺していない。昨日の昼過ぎに夫婦とすれ違った際に娘の顔に惹かれ、彼女を奪うことを決意した。
財宝があると嘘をつき、夫婦を誘導。藪の中にて男を縄で縛り、娘を強姦した。娘はそのまま立ち去ろうとした自分を止め、「二人の男に恥を見られては生きていけない。夫か、あなたか、どちらか生き残った方についていく」と言った。自分は男の縄をほどき、決闘の末に殺害した。しかしその隙に娘は逃げてしまった。
・真砂の懺悔(ざんげ)
男に強姦された後、夫に駆け寄ろうとしたが男に蹴られ、転んだ。夫の瞳には、蔑みの色が浮かんでいた。あまりのショックで気絶し、目覚めたときには男は消えていた。
私は夫と一緒に死のうと思い、足元に落ちていた小刀で夫を殺害した。そして夫の縄を切り、自分も死のうとしたが、死に切れなかった。
・霊媒による、男の死霊の証言
盗人は妻を犯した後、彼女を慰めながら「自分の妻になれ」と言った。妻は承諾し、藪の中から2人で出て行った。その際妻は、「夫を殺してくれ」と盗人に言った。
すると盗人は妻を蹴り飛ばし、自分に向かって「あの女を殺すか、助けるか、お前が決めろ」と言う。答えに迷っているうちに妻は逃走し、盗人も縄を切るなり逃げていった。
その後自分は、落ちていた小刀で自害した。意識を失う直前に誰かが来て、胸の小刀を抜いて逃げ去った。
文=K(稲)ダ・ヴィンチ ニュースより
ジャーナリスト 伊藤詩織さんが勝訴 元TBS記者に賠償命令
ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之氏に性的暴行を受けたと訴えた裁判で、東京地方裁判所は山口氏に330万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
![](https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191218/K10012219011_1912181109_1912181216_01_04.jpg)
ジャーナリストの伊藤詩織さんは4年前、元TBS記者の山口敬之氏との食事で酒に酔って意識を失い、性的暴行を受けたとして1100万円の賠償を求めました。
伊藤さんが記者会見を開いたり、著書を出したりして被害を訴えたのに対し、山口氏は、性行為は同意していて名誉やプライバシーを傷つけられたとして、逆に1億3000万円の賠償を求めました。
18日の判決で東京地方裁判所の鈴木昭洋裁判長は「伊藤さんは、友人や警察に被害を相談していて、性行為が意思に反して行われたことを裏付けるものといえる。一方、山口氏の供述は、当時送信したメールと内容が矛盾し、核心部分について不合理に変遷していて信用性には重大な疑いがある」と指摘して、合意が無かったと判断し、山口氏に慰謝料など330万円の賠償を命じました。
また、山口氏の訴えについては「伊藤さんが性犯罪の被害者をめぐる状況を改善しようと被害を公表した行為には、公共性や公益目的があり、内容は真実だと認められる」として退けました。
伊藤さんは、性的暴行を受けたとして警視庁に告訴しましたが不起訴処分になっていて、刑事手続きと民事裁判で判断が分かれました。
伊藤さん「1つのピリオドだが傷はなくならない」
![伊藤さん「1つのピリオドだが傷はなくならない」](https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191218/K10012219011_1912181145_1912181216_01_05.jpg)
判決のあと伊藤詩織さんは裁判所前での取材に対し、「たくさんの方に支えられて来たからこそここまで来られました。今回の判決で、1つのピリオドをつけられたと思います。しかし、勝訴したからといって私が受けた傷はなかったことにはなりません」と涙ながらに話しました。
また、「刑事事件では不起訴となり、何が起きているのか知ることができませんでしたが、民事訴訟を起こすことで公の法廷で証拠なども出すことができ、少しでもオープンになったと思います。今でも1人で不安な思いを持ちながら性的暴行の被害と向き合っている人もいると思うので、少しでも負担がなくなるよう制度が改善すればよいです」と話しました。
そして、東京 千代田区で改めて記者会見を開いた伊藤詩織さんは、「私は顔や名前を出して性被害を訴え続けてきたが、山口氏の名誉を傷つけたと判断される可能性もあったので、緊張しながら判決を迎えました。判決で私の行動について『公益性がある』と判断され、とても勇気づけられました」と話しました。
また、「被害者はなかなか声を上げられないので、性暴力を許さない社会にしていくために、周りの人たちも傍観者にならないで支えてほしいです」と述べました。
山口氏「法に触れる行為は一切していない」
![山口氏「法に触れる行為は一切していない」](https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191218/K10012219011_1912181722_1912181725_01_06.jpg)
判決のあと、元TBS記者の山口敬之氏は、東京 千代田区で記者会見を開き、「まず申し上げたいのは、私は法に触れる行為は一切していないということです。判決は、私たちの主張を無視して客観的な検証もせずに伊藤さん側の主張を認めていて非常に残念です」と述べ、控訴することを明らかにしました。
また「伊藤さんが受診した病院のカルテでは、伊藤さんは性被害の場面について記憶がないと説明しているのに、裁判では暴力を振るわれたと主張し、矛盾しています。警視庁による捜査の結果、私は不起訴になったうえ、検察審査会でも不起訴相当という結論が出ているにもかかわらず、今回の判決ではそうした捜査の結果についても一切触れられておらず不服です」と述べました。
TBS「元社員の在職中の事案 誠に遺憾」
![TBS「元社員の在職中の事案 誠に遺憾」](https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191218/K10012219011_1912181724_1912181725_01_07.jpg)
判決についてTBSテレビは「元社員の在職中の事案であり、誠に遺憾です」というコメントを出しました。
菅官房長官「コメントするのは差し控えたい」
菅官房長官は、臨時閣議のあとの記者会見で、「個別の民事訴訟について、政府としてコメントするのは差し控えたい」と述べました。
そのうえで「性犯罪や性暴力は、性別を問わず人権を著しく踏みにじる決して許されない行為だ。性犯罪や性暴力被害のためのワンストップ支援センターがすべての都道府県に設置されるなど、政府として支援の充実を図ってきている。今後とも被害者に寄り添いながら、被害者支援の充実にしっかりと取り組んでいきたい」と述べました。
伊藤詩織さん 訴えまでの経緯
訴えや判決によりますと、伊藤さんは4年前の平成27年、就職先を紹介してもらおうと、当時、TBSのワシントン支局長だった山口氏と食事に行き、飲酒をしました。
伊藤さんは酒に酔って意識を失い、山口氏が泊まっていたホテルの部屋で性行為をされてから意識を取り戻したとして、合意が無かったと主張しました。
ホテルから出た伊藤さんは産婦人科でアフターピルの処方を受け、友人に被害を相談し、警察にも相談のうえ、性的暴行を受けたとして告訴したということです。
刑事事件については警視庁が捜査しましたが、東京地方検察庁は平成28年、山口氏について、嫌疑不十分で不起訴処分にしました。
平成29年、伊藤さんは顔や名前を出して記者会見を開き、性被害にあったと訴えました。
伊藤さんの会見は「自分も被害者だ」という意味の「#MeToo」という動きが世界で広がる中で注目を集め、日本での性被害をめぐる議論のきっかけにもなりました。