法治国家になれぬ中国 | 産経新聞を応援する会

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北京・山本勲  中国次世代指導者の一人と目されていた薄煕来(はく・きらい)・重慶市党委書記兼党中央政治局員を失脚に追い込んだ「重慶事件」を機に、中国政界の驚くべき権力乱用や腐敗の実態が暴露されつつある。一方、盲目の人権活動家、陳光誠氏は米中の際どい折衝の末、ようやく出国を認められた。だが国内ではあまたの活動家が当局の人権抑圧に苦しんでいる。

 共産党独裁下、法の運用は党の裁量次第で、それを国民が監視する言論・報道の自由もないから党幹部の悪行や人権抑圧がやむことはない。これを機に真の法治社会構築に向けた政治・司法改革を求める声が聞かれるが、掛け声倒れに終わるとの見方も多い。

 「重慶の暴力団撲滅運動は決して市単独で行ったのではない。党中央政法委員会(書記・周永康党政治局常務委員)と連携し、公安(警察)、司法、検察、国家安全部などが参加した共同事業なのだ!」--薄氏は3月の内外記者会見で、こう“すごみ”をきかせた。

 薄氏が展開したこの運動はあまたの「民営企業家を証拠不十分のまま暴力団と断罪、膨大な資産を没収し極刑に処した」と非難が集中していた。

 これに対し薄氏は共に江沢民前国家主席に近く、緊密な関係の周永康氏が牛耳る政法委員会を“後ろ盾”に、自らの行為を正当化した。

 西側民主主義国家では法治原則のもと立法、行政、司法の三権が分立、国民の言論・報道の自由を保障して権力の運用を監視する仕組みが定着している。ところが中国では共産党がすべての国家機関を背後で支配、党外からの権力のチェックが働かない。

 その“元締め”が政法委員会だ。共産党の独裁体制を堅持するため「情報、公安、検察、司法」を取り仕切る権限と、人民武装警察部隊を含む国内向けの治安機関をほぼ一手に握っている。
 警察から裁判所まですべてが政法委の傘下にあるから、犯罪の有無や刑の軽重も同委の意向、政治判断に大きく左右される。

 「社会安定維持」の名目で政治や人権活動を厳しく取り締まるのも重要任務としている。これでは真の法治は到底望めない。政法委トップの周書記が胡錦濤主席に次ぐほどの実権を握っているのもこのためだ。

 だから薄氏は周書記の強権を突破口に難局を乗り切ろうとしたが、今回は胡主席・温家宝首相の連合体制にたたきのめされた。

 その理由は(1)最大の治安機関でもある人民解放軍が胡主席支持でほぼ一本化した(2)秋の党大会で党総書記就任が内定している習近平副主席が胡温支持を明確にした-などによるとみられている。

 こうして2月中旬から激化した胡温体制と江沢民派の権力闘争が沈静化し始めたところで、陳光誠氏が自宅軟禁を逃れ、先月末に米国大使館に保護された。

 今月3、4日に行われた米中戦略・経済対話を控え、当初は「対話前に決着」との観測が多かったが、そうならなかった一因として再び政法委の“暗躍”が取り沙汰されている。

 そこで政法委の存在が問われている。「法のもとでの万人の平等を貫くために(政法委を)廃棄、司法の独立を確立せよ」と内外の民主派勢力は主張。「温首相もこれに近い考え」と期待を寄せる。

 一方、改革に慎重な胡主席サイドからは、党大会で政法委書記の地位を自派系で押さえる動きも出ている。しかしそれでは中国はこれまでの「人治(人による統治)」を繰り返すだけだ。

 

引用元:http://sankei.jp.msn.com/world/news/120505/chn12050507430001-n1.htm