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2010年1月18日 (月)


通常国会開会にあたって


 石破 茂 です。

 石川議員も含め自身の元秘書が三人も逮捕されながら、小沢氏は検察と徹底的に「戦う」姿勢を崩さず、鳩山首相も「戦ってください」と述べたことを「不適切とは思わない」と発言し、何ら間違っていたとの認識を持っていないようです。
 一体何を相手に戦うのか。「小沢幹事長の(潔白を)信じている」との前段の発言からすれば、検察を相手とした発言としか思われない。
 検察も行政の一部であり、行政の長たる総理大臣がそんな発言をしていいはずがありません。民主党内からも何の批判の声も挙がらないようですが、一体これはどうしたことでしょうか。リクルート事件の時には、自民党内からも強い批判が起こったものでしたが、小選挙区制における幹事長の権威の前にただひれ伏すばかりの人たちに、国政を担う資格などあるのでしょうか。

 本日から通常国会。国会は裁判所ではないのですし、我々が検察以上の資料を持ち合わせているわけではないのですから、この問題はむしろ「政治のあり方」として論じるべきなのかもしれません。
 小沢氏は「いろいろ問題があっても、それを承知の上で国民は民主党を選択してくれた」と述べていますが、それは明らかに間違いです。昨年、現職公設秘書の大久保某が逮捕された昨年の時点と今とでは全く状況が異なることぐらい、本人も十分に知っているはずで、完全に論理が破綻しています。昨年は「自民党が民主党を陥れるために仕組んだ国策捜査だ!」などと言っていましたが、政権党となった今は「検察権力との戦いだ!」と微妙に話をすりかえている。
 そもそもこの人は「国民主権」を自らの都合のよいものに解釈し、選挙に勝ちさえすればすべて許されると固く信じ込んでいるようです。だから天皇陛下のご活動にしても、自衛隊の活動にしても、滅茶苦茶な憲法解釈を振り回すのです。
 政治とカネの問題をできるだけ少なくするために公的助成・政党助成金を導入したのに、政党の解党・変遷に伴い国民の税金が原資であるその金を結果的に自らのものとするような行為も、法の網を巧みにかいくぐり、たとえ形式的には合法であったとしても断じて許されるべきではありません。

 ロッキード事件の際も、検察は一部から強く批判されました。
 いつかもこのブログに書きましたが、当時田中派参院議員であった私の亡父は「田中を信じる」とだけ言い、それに徹しておりました。それはそれで一つの生き様であり、田中角栄元総理を心から信頼し、尊敬していた父を否定するつもりもありません。しかし、幾多の事件を教訓にその後政治資金規正法は何度も改正され、「どこから資金が入ったか、そしてそれはどのように使われたか」を明確にすることこそ政治の信頼確保のために重要であり、その違反は単なる形式犯ではないということになったはずなのです。
 報道で伝えられる「忙しくて記載を忘れた」「小沢先生が潤沢に資金を持っていることを隠したかった」などという動機はにわかには信じがたいものですし、動機の如何を問わず、虚偽記載の責任は厳しく問われるべきなのではないでしょうか。

 内政・外交に課題が山積する中、補正予算・本予算の審議は極めて重要です。
 我々は問題点を的確に指摘し、反対する理由を明らかにしなくてはなりません。しかしそれに入る条件として、所謂「政治とカネ」(これに代わるもう少しきれいな言葉はないものかといつも思うのですが)についての集中審議を求めることは最低限必要でしょう。検察の聴取にも応じず、マスコミにも答えない、そして総理までが「戦ってください」という異様な有り様では、国会がその責務を果たす他はありません。それが実現すれば、予算の審議を徹底的にやりましょう。夜に日を継いで、土曜・日曜もやってもよいのです。

 思い上がってはなりません。自分だけが正しいのではありません。世の中の真理とは、もっと崇高なもので、我々は強い怖れを持って臨まなくてはならない。ましてや、選挙で票目当ての嘘出鱈目の公約を掲げ、自民党の失態に乗じて獲得した議席などに何の重みがあろうか。
 民主主義を弄んだ者は、民主主義によってその報いを受けることを知るべきです。
 しかし我々も、この敵失に過度に乗じてはなりません。自民党がよくなったわけでは決してない。内閣支持率も民主党支持率も下がっているが、自民党支持率が上がらないことこそ問題なのです。24日の党大会でどこまで毅然とした姿勢を示せるかが問われており、ここで自民党がそれを示せなければ、国民に残るのはただ絶望の闇だけであることを肝に銘じなくてはなりません。

 「外国人地方参政権」について多くのご意見を頂いております。中には「政調会長が賛成している」などとするご批判もありますが、そのようなことはありません。
 これは私の手法なのですが、賛成論を徹底的に分析し、如何なる論点にも明確に答えられるようにしなくては論戦には勝てません。ましてや相手は圧倒的多数を持ってこれに臨もうとしているのですから、尚更のことです。精神論や不十分な準備では決して戦には勝てないからこそ、世論の圧倒的な支持を頂くためにも周到な準備を持ってあたります。時間的な制約もよく認識しておりますことを申し添えます。