コザラミノシメジ | 三十九さんの部屋

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コザラミノシメジ(小粗面胞子占地) Melanoleuca polioleuca

担子菌門ハラタケ亜門ハラタケ綱ハラタケ亜綱ハラタケ目所属科未確定ザラミノシメジ属
melanoleuca メラノレウカ(ギリシャ語「melas」(黒い)+「leukos」(白い)傘、黒っぽくヒダ白いコザラミノシメジを表す)
polioleuca ポリオレウカ(灰色の+白の)

春~秋、人里の地上に発生。中型きのこ。
カサは中高の平らに開き、表面平滑、淡灰褐色~暗褐色。
柄は円柱状、表面にややねじれた繊維状条線がある。
ハタケシメジなどに似ているが、肉がより薄く、
胞子がアミロイドで、ヒダには特異なシスチジアをもつのが区別点。

これは今月19日の御苑観察会であったもの。
広葉樹林地上に発生していた。
すぐ横にゴミ置き場兼倉庫が建つのでわりと開かれた、造成されたような場所。

区別点として書かれた「胞子がアミロイド」とか「ヒダのシスチジア」とはいったいなんだと思われるかもしれないが、きのこの種の同定には顕微鏡での観察結果が重要な場合がある。
「アミロイド」とは、胞子に「メルツァー試薬」というヨードを含んだ液体を浸すと、化学反応で色が変化する場合がある。この試薬につけて、胞子が紫色っぽくなることを「アミロイド」という。
変色が赤褐色の場合は「偽アミロイド」、変色しないのを「非アミロイド」という。
きのこの種類によって、またはグループによってこの反応がちがうため、同定の手がかりのひとつとなる。
「シスチジア」とは、きのこ(子実体)の表面に飛び出た細胞で、カサやヒダ、柄の表面などに出ている場合がある。種によってその有無や形状が異なり、それを観察することで同定の手がかりとする。

この日の観察会では午後から顕微鏡による観察会が実施され、このコザラミノシメジもサンプルを採取し、顕微鏡で観察した。
きのこの胞子やシスチジアを顕微鏡で観察するには、きのこのヒダなどの一部を非常薄く切り取り、スライドグラスに載せて、液体を垂らしてカバーグラスを載せて顕微鏡でのぞく。

2013年9月23日修正
科を所属科未確定に、種小名を「増補改訂新版日本のきのこ」に従い修正

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コザラミノシメジのヒダの断面を顕微鏡でのぞいたところ。目盛りより左側がヒダの細胞。40のあたりで右側に飛び出たものがあるが、これがヒダのシスチジア。いくつか色の濃い楕円形のものが見えるのが胞子。
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中央のほうにある、ボウリングのピンのようなのがシスチジア。左側が先端部。
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コザラミノシメジ胞子。「コザラミノシメジ」とは、「表面がざらざらしている実(胞子)のシメジ」という意味の「ザラミノシメジ」の小型版ということ。
この写真では表面のようすまではわかりにくいが、色が紫色っぽくなっている。つまり、アミロイドということ。
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組織をフロキシンという染料でピンクに染めてみたところ。「担子菌」は「担子器」という器官(ヒダ表面にある棍棒状の胞子)の上についた「ステリグマ」という2~4本の角の先端に胞子が作られる菌類。
ちょっとぼやけた写真だが、中央付近、丸っこい細胞の上に2本のカタツムリの角みたいなのが出ているのが胞子が分離した跡の担子器。
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上の写真はこれのアップ。細胞の塊がこの字型に曲がっているところの角、ひとつトトロみたいなシルエットが見えるのが担子器。右上から迫っているのは空気。