地獄をはじめて認識したの一冊の本

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-地獄大図鑑 2013.08.13


『地獄大図鑑』 木谷恭介 著 ジャガーバックス 立風書房 発行

今から30年以上前ですから、小学生のころ買った本(親に買ってもらった本かも??)。当時の価格で600円ですから、かなり高価な本だったと記憶しています。現在は絶版のため、古本市場で9,000から25,000円ぐらいで取引されているようです。

表紙からして強烈ですが、中身はさらに強烈です。子供が見たらトラウマは必定!!大人が見ても夢に出てくるかもしれません!!

ご覧になりたい方がいらっしゃいましたらいつでもご一報ください。火の車に乗せて、鬼たちに持って行かせます。

 

そして、もう一冊

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-鬼太郎の天国地獄入門 2013.08.13


小学館入門百科シリーズ・171『鬼太郎の天国・地獄入門』 水木しげる 著 小学館 発行

 

1985(昭和六〇)年発刊ですから、ずいぶんと大きくなってから読んだ本です。ちなみにこちらは復刻されておりますので、お近くの書店などで入手可能です。

 

さて、地獄とはどこに存在するものでしょう?

 

日本神話においては、

神々の坐す国=高天原(天上)

人間が住まう地上=葦原中国(地上)

死者の国=黄泉国(地下)

というように考えられています。

これに倣ったわけではないのでしょうが、

 

極楽=天上

 

地獄=地下

 

地獄へ堕ちる」というぐらいですから、深い深い地の底奥深くにあると考えるのが妥当でしょう。


西洋に於いては、イタリアの詩人ダンテ叙事詩『神曲』で、中世ヨーロッパ人の考えていた地獄の様子を旅行した形式でまとめており、面積や距離が正確に計算できるほど緻密に書かれています。それによると、ダンテの地獄は、ちょうど円錐を逆さまにしたような形状で、9層にわたって地球の北半球の地下に広がっています。

 

あたかも巨大な漏斗のように、だんだん地の底に近づくにしたがって、狭く暗くなり一番底に地獄の帝王ルチフェロがいます。この地獄の底は、ちょうど地球の中心部にあたることから、地獄全体の高さは地球の半球と同じ高さになると考えられます。

 

「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」の銘文でよく知られる、事詩『神曲』地獄篇第3歌の冒頭に登場する「地獄の門

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-地獄の門 2010.01.23

これは彫刻の父と呼ばれるロダンの作品で、東京上野の国立西洋美術館・前庭に展示されています。
 
山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-地獄の門 2010.01.17

ロダンの代表作として誰もが知る「考える人」は、この「地獄の門」を構成する群像のひとつとして製作されたものです。

東洋の我々になじみ深いのは仏教ですが、あまり耳なじみのない数を表す恒河沙(こうがしゃ)阿僧祇(あそうぎ)那由多(なゆた)不可思議無量大数などの単位はその仏教に由来するものです。通常生活するうえでは縁がない途方もない数字であり、仏教の数感覚の大きさを知ることができます。

 

仏教の考える地獄はここまで大きな数字ではありませんが、やはり途方もない数字の塊!?でもあります。それはのちほど・・・

日本(仏教)の地獄八大地獄といわれ、八層にわたって地の底奥深くに広がっています。

八大地獄を上から順に

等活(とうかつ)地獄→殺生をの罪を犯したものが堕ちる。
黒縄(こくじょう)地獄→殺生+偸盗【ちゅうとう】(※盗みを重ねたもの)の罪を犯したものが堕ちる。
衆合(しゅうごう)地獄→殺生+偸盗+邪淫(※不倫)の罪を犯したものが堕ちる。
叫喚(きょうかん)地獄→衆合地獄までの罪に加え、飲酒の罪を犯したものが堕ちる。
大叫喚(だいきょうかん)地獄→叫喚地獄までの罪に加え、妄語(※ウソをつく)の罪を犯したものが堕ちる。「ウソをつくと舌を抜かれるよ!!」といわれる地獄はココです。
焦熱(しょうねつ)地獄→大叫喚地獄までの罪に加え、邪見(※仏教徒とは相容れない考えを説き、実践すること)の罪を犯した者が堕ちる。
大焦熱地獄→焦熱地獄までの罪に加え、犯持戒人【はんじかいじん】といわれる、童女や比丘尼など清く聖なるものを犯したものが堕ちる。これはいわゆる“ロリコン”や“酒を飲ませて女を犯した者”などという、随分と現代的な気もしますが、逆に考えると人間は千数百年の昔からあまり変わっていないということですね。
阿鼻(あび)地獄→五逆罪(殺父・殺母・殺阿羅漢[聖者を殺すこと]・出仏身血【すいぶつしんけつ】[仏の身体を傷つけること]・破和合僧【はわごうそう】[教団を乱すこと]に加え、誹謗正法【ひぼうしょうほう】[自宗に対する積極的な批判や攻撃、弾圧など、他宗の本尊を拝むこと] の罪を犯したものが堕ちる。

この阿鼻とは、サンスクリット語で絶え間なく苦しみを受けることという意味を持っています。また、何処も彼処も火でいっぱいで隙間がないので、中国語に訳す時に無間(むけん)地獄になりました。四字熟語の阿鼻叫喚は、「悲惨な状況に陥り、混乱して泣き叫ぶこと」という意味ですが、これはこの地獄の名が元になっているわけです。

地上から一番近いところにある一番上の等活(とうかつ)地獄までの距離は、一千由旬(ゆじゅん)一由旬が7.2kmなので、実に地7.200km!!日本とバンクーバー間が、およそ7,564kmですから、どれだけ深い場所にあるかがお分かりいただけるでしょう。広さも想像を絶するほどのもので、等活地獄から大焦熱地獄までは、同じ大きさのものが1万9千由旬=136,800kmの間に、縦に七層連なっています。その広さは縦横一万由旬ですから72,000km四方、ちなみに地球の円周は約4万kmです。ざっと表面積を計算すると51億8,400万キロ平方メートル、地球の表面積が5億1,000万平方キロメートルですから、ひとつの地獄の表面積はおよそ地球の10倍!!それが地下7階建てになっているわけです。

その地下7階建ての下にあるのが地下8階の阿鼻地獄で、地上からの距離は2万由旬=144,400km、頭を下に足を上に落下すること2千年で到達するといわれています。そして阿鼻地獄の広さは、これら七つの地獄を遙かに上回る大きさで、縦横二万由旬ですから144,000km四方、それから算出すると表面積は207億3,600万平方キロメートル、実に地球の表面積の40倍!!でも、それだけではありません!!高さも二万由旬あるとされることから、144,000kmの3乗その体積は約2,985兆9840億立方メートルよく分からない例えの代表例ですが、東京ドームで個数換算すると・・・東京ドームの体積が124万立方メートルなので・・・!!!!!!実に東京ドーム約2京1,661兆2,903個分になります。少なくとも地球の内部には実存しません。

さらに途方もない数字に目まいがしそうになるのがその刑期です。地獄の刑期は天の暦を基準としているので、人間の暦とはちがう計算になります。

一番刑期の短い等活地獄500年ですが、四天王天の暦が適応されます。人間世界の一昼夜(24時間)の50年が、四天王天の一昼夜にあたります。四天王天の500年等活地獄の一昼夜となるので、それに365を掛けたものが等活地獄1年、さらに500を掛けたものが等活地獄の刑期になります。この計算式で導き出された刑期は1兆6,653億年、目まいどころか、寝込んでしまいそうな数字です。当然下に行くほど刑期が重くなり、計算式も莫大という言葉では足りないくらいのものになりますので、刑期だけ羅列してみます。

黒縄地獄 刑期1,000年 13兆年
衆合地獄
 刑期2,000年 106兆5,800億年
叫喚地獄 刑期4,000年 852兆1,200億年
大叫喚地獄
 刑期8,000年 6,821兆1,200億年
焦熱地獄 刑期16,000年 5京4,568兆9,600億年
大焦熱地獄 
刑期32,000年 半中劫(はんちゅうごう)とも云われます。計算式で導き出された刑期は、43京6,551兆6,800億年 
阿鼻地獄 刑期80,000年 一中劫いっちゅうごう)とも云われ、一辺一由旬の巨大な正方形の石を、100年に一度柔らかな綿で軽く払い、その繰り返しで石が摩耗、消滅するよりもさらに長い刑期と云われています。計算してみると、8,000×365×80,000×365×80,000となり、それから導き出された刑期は、682京1,120兆年!!これでは、人類で最初に地獄に堕ちた人の刑期が終わるまでに人類の歴史、いや宇宙の歴史が終わりそうです・・・。

しかも、年に一度のお盆には「地獄の釜の蓋が開く」と云われ、亡者たちの休憩タイムで地上へと戻ってきます。天の暦と人間の暦のギャップを考えないとすると、休憩だらけになるような気がします。

言葉だけでは分かり難いので、図したものを一枚貼っておきます。
 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-地獄の概要 2012.08.15

ひとつのモデルケースを図に落とし込んだものです。地獄と地獄の間の距離が10万kmや80万kmの表記もありますが、文献などによってまちまちだったりしますので、参考数字として入れているものです。