16世紀から18世紀の始めまでヨーロッパ(主にスペイン)を統治していたハプスブルク家の王や王妃には、特徴的な顔の変形がある者が多く存在していました。
後にこの特徴を「ハプスブルクの顎(あご)」と呼ばれるようになり、長くしゃくれた顎をしていたことからハプスブルグ家は、顎の特徴で知られる家系としても有名です。
彼らの顎の特徴は、下顎が前方に強く突き出していることすから"ハプスブルグ下顎"とも呼ばれ、ヨーロッパの貴族や王族の間で見られる独特な容貌として知られています。
※ハプスブルク家の顎は、下顎が上顎より前に出ている「下顎前突症」のことを指します※
ハプスブルグ家の顎は、家族内の近親婚が長期間にわたって行われたことに起因していると考えられています。
当時は近親婚は王族や貴族の間で一般的であり、血縁関係を保つために行われましたが、遺伝的に近親婚が長く続くと特定の特徴が顕著に現れることがあります。
ハプスブルグ家の顎の特徴も、このような遺伝的な影響があると考えられています。
ハプスブルグ家の代表的な顎の特徴を持つ人物としては、カール5世(1500~1558)、フェリペ2世(1527~1598)、フェリペ3世(1578~1621)、フェリペ4世(1605~1665)、カルロス2世などが挙げられます。
彼らの顎の特徴は多くの肖像画に描かれ、その容貌は広く知られるようになりましたが、近親婚による遺伝的な問題は、身体的な特徴だけでなく健康上の問題を引き起こしていました。
カール5世は、両親の血を引いて生まれつき顎の筋力が弱く、下顎前突症であり、また幼少期の病気により鼻腔が閉塞気味であったため、多くの肖像画でも見られる通り、一見すると非常に下顎が突出しているように見え、常に口の開いた状態だったと言われています。
カルロス2世は誰より顕著な『ハプスブルク家のあご』をもっており、幼いころは口をきくこともできず、彼は一生のうち話すことは稀で顎に問題があったためにあまり食べることもしなかったと伝えられています。
最新の研究によって、この特徴は長きに渡る近親交配の影響が大きいらしいということが解明されています。
近親婚によるリスクを低減するために、近年では血縁関係の遠い相手との結婚が一般的となっています。
切手は2017年オーストリア発行の「マリア・テレジア生誕300年小型シート」で、マリア・テレジアが描かれています。
切手は1979年スペイン発行の「ハプスブルク家のスペイン王たち切手」の中の一枚で、カルロス2世が描かれています。
切手は2019年オーストリア発行の「カール5世小型シート」で、カール5世が描かれています。
切手は2001年スペイン発行の「2000年紀記念ミレニアム切手」の中の一枚で、フェリペ2世の風刺画が描かれています。
切手は1979年スペイン発行の「ハプスブルク家のスペイン王たち切手」の中の一枚で、フェリペ3世が描かれています。


