切手の中の病-8.内臓リーシュマニア症(カラアザール)- | 血液の鉄人の医学と切手のサイト

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リーシュマニア症とはトリパノソーマ科の原虫リーシュマニアの感染を原因とする人獣共通感染症のことを言います。

この感染症は、サシチョウバエ類によって媒介さ、原虫の種によって症状にかなりの差があり、ヒトでは主に内臓リーシュマニア症(カラアザール・黒熱病・ダムダム熱)と皮膚リーシュマニア症(東洋瘤腫・エスプンディア・チクレロ潰瘍)とに分類されます。

WHOによれば、88ヶ国1200万人がリーシュマニアに感染しており、リーシュマニア症は緊急に対策を要する6つの感染症のひとつとされています。

リーシュマニア症には大きく分けて内臓型と皮膚型があり、皮膚型にはさらに散在性のものや粘膜へ拡大するものがあります。

内臓リーシュマニア症は、感染後数ヶ月から数年たってから、発熱、肝臓や脾臓の腫大と貧血といった症状が出て、放置すればほぼ死に至る恐ろしい感染症です。

この感染症は、マラリアなどとは異なり、地域的に限定された病気のため研究が不十分で、「顧みられない病気」とも呼ばています。

世界的に見れば、日本にない恐ろしい感染症は多く存在します。

切手は1985年ケニア発行の『第7回原生動物学会記念切手』で、左にリシューマニア小体、上にサンチョウバエ、右にリシュマニア原虫と中央に内臓リシューマニア症の少年が描かれています。