切手の中の病-7.結核- | 血液の鉄人の医学と切手のサイト

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結核は、マイコバクテリウム属の細菌、主に結核菌 Mycobacterium tuberculosis により引き起こされる伝染性の感染症です。

結核菌は、1882年にドイツの細菌学者ロベルト・コッホ(1843~1910)によって発見されました。

日本では、明治初期まで肺結核は労咳(ろうがい)と呼ばれていました。

切手は1982年ウガンダ発行の「結核菌発見100年記念切手」で、顕微鏡をのぞくコッホと共に顕微鏡下の結核菌が描かれています。

 

 

 

 


全世界で2004年には、死亡率および罹患率は慢性活動性の患者が1460万人、890万人の患者が発症し、160万人が死亡しています。

患者発生の大部分は、、発展途上国ですが、先進国においては、免疫抑制剤を使用している患者やエイズの患者、薬物乱用などに増大傾向にあることから、感染対策には万全を期する必要が叫ばれています。

日本に置いても、一時期は撲滅されたかに思われましたが、学校・病院など多くの人が集まる場所での結核の集団発生が報告されています。

その為に結核予防を呼びかける切手は、全世界から多く発行されています。



切手は2001年カザフスタン発行の「結核予防切手」で、結核に冒された肺が描かれています。

 

 



結核菌は空気感染により感染し、肺などの呼吸器官に結核菌が感染し発症することが多いですが、中枢神経(髄膜炎)、リンパ組織、血流(粟粒結核)、泌尿生殖器、骨、関節などにも感染し、発症する器官も全身に及ぶことがあります。

感染者の大部分は、症状が出る事は少なく、無症候性、潜伏感染が一般的で、潜伏感染の約10分の1が最終的に症状が発生し、治療を行わない場合感染者の半分が死亡する恐ろしい感染症です。



切手は1946年フィンランド発行の「付加金付き結核予防切手」で、結核予防の複十字章と共に幼児を診察する医師の姿を描き、結核予防を呼びかけています。