胎児体重の妊娠週数ごとの基準値 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

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 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

 前回の記事で、FGRは出生時体重基準曲線ではなく胎児体重基準値を用いて、-1.5SD値以下を目安に診断します、と記載しました。


 そこで今回は胎児体重の妊娠週数ごとの基準値を示しておきます。
産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ-胎児体重の基準値

 1週間ごとに表で示すと上記のような感じになります。

産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ-胎児体重の妊娠週数ごとのグラフ

 グラフで表すと上記のようになります。


 注意点です。どこかに基準を設ける必要があるために胎児の推定体重が-1.5SD値以下を目安にFGR診断するわけですが、FGRイコールすなわち胎児の異常と言うことにはなりません。あくまでもハイリスク胎児の目安ということになるだけです。基準より体重が少なくても超音波検査や染色体検査で異常所見が見られなければ正常児の可能性が高くなります。逆に基準より体重が多い場合でも同様のことが言えます。


 ところで児の体重が標準より小さい場合に用いられる用語にlight for gestational ageまたはlight for dates (LFD)があります。そこで、FGRとLFDの関係を示しておきます。

 FGRはあくまでも子宮内環境における概念です。つまり生まれるまでのみ使用される用語です。これに対してLFDは出生後の児の体重における概念です。つまり出生時の体重が在胎週数に応じた標準体重の-1.5SD値以下の場合と定義されます。

 ちなみに出生後ですから体重のみではなく身長も評価が可能です。そして、出生時の身長・体重がともに在胎週数に応じた標準身長・体重の-1.5SD値以下の場合をsmall for dates (SFD)と定義しています。


 最後に、FGR・LFD・SFDと紛らわしい用語が多くあります。簡単に確認しておきます。

FGR:子宮内環境での胎児の推定体重が-1.5SD値以下の場合

LFD:出生時の体重が在胎週数に応じた標準体重の-1.5SD値以下の場合

SFD:出生時の身長・体重がともに在胎週数に応じた標準身長・体重の-1.5SD値以下の場合


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