妊娠12週以降の流産を後期流産といいます。後期流産の原因は先に解説しました早期流産の原因とは大きく異なってきます。特徴としては胎児側の因子よりも母体側の因子の割合が増加します。
まずは胎児側の要因です。早期流産に比べてその割合は減少するものの、後期流産の30~40%において染色体異常が認められます。これに染色体が正常な胎児異常を加えると約50%が胎児側の要因と考えられます。染色体異常の種類については早期流産と同じですのでそちらを参考にしてください。
母体側の要因としては、感染・子宮頚管無力症・子宮奇形・子宮筋腫・多胎妊娠などがあげられます。これらの原因は切迫早産や早産の原因とおおむね同じです。
感染と後期流産との関連においては細菌性腟症と絨毛羊膜炎が重要視されています。細菌性腟症とは、膣内に複数の細菌がいて膣内の常在細菌のバランスを崩している状態で、膣炎といえるほど炎症所見が強くない状態です。細菌性腟症の治療を行わなかった妊婦さんでは後期流産のリスクが約3倍になるといわれています。しかし、妊娠初期にすべての妊婦さんに対して細菌性膣症のスクリーニングを行うことの意義は疑問視されています。絨毛羊膜炎は赤ちゃんを包む羊膜・絨毛膜に炎症が起こっている状態です。膣や子宮頚管からの細菌感染が原因となります。
子宮頚管無力症とは妊娠中期(14週)以降に無症状(子宮収縮によらない)で子宮頚管の開大を起こし、胎胞脱出・前期破水・流産へと進行する疾患です。全妊娠の0.1~1%におこります。後期流産の原因の15~20%を占めます。
子宮奇形は双角子宮など子宮の解剖学的形態異常のことです。習慣流産の原因になりうるといわれています。この習慣流産についてはいずれ改めて触れたいと思います。
子宮筋腫については子宮筋腫合併妊娠についての項目を参考にしてください。追加の情報としては、子宮筋腫があり流産歴のある女性では子宮筋腫核出術を行うことで妊娠継続率が向上し、流産率が下がることが分かっています。
多胎妊娠についても多胎妊娠の連載を参考にしてください。
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