いよいよ新首席指就任就任による、待ちに待ったオープニングコンサートへ行ってきました
今回も川端通商店街
家人の所望で味噌ラーメン
アクロスへ
雨がポツポツ
入館
到着
2024年4月11日
アクロス福岡シンフォニーホール
九州交響楽団
第420回定期演奏会
首席指揮者就任記念公演
Cond:太田弦
Pf:亀井聖矢
ConM:扇谷泰朋
【第1部】
祝典序曲イ長調 Op.96
(D.ショスタコーヴィチ)
ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11
(F.ショパン)
第1楽章 Allegro maestoso
第2楽章 Romanze, Larghetto
第3楽章 Rondo, Vivace
【ソリストアンコール】
英雄ポロネーズ(F.ショパン)
【第2部】
交響曲第5番ニ短調 Op.47
(D.ショスタコーヴィチ)
第1楽章 Moderato - Allegro non troppo
第2楽章 Allegretto Scherzo
第3楽章 Largo
第4楽章 Allegro non troppo
祝典配置~上手奥にバンダ隊(自席2F会員席から)
オープニングは祝祭的に新指揮者就任&新シーズン開幕を華々しく飾るショスタコの祝典序曲~Tb奏者として演奏したことも、指揮者としてタクトを振ったこともある思い出深い曲
初めて聴いたのは高校生のとき、ワンパターンの全日本吹奏楽コンクール全国大会ライブ盤で、冒頭のTpのファンファーレから引き込まれたお初のショスタコ体験でした
その後LPのジャケ買いでショスタコ7番レニングラード、それからこれまた全国ライブ盤でショスタコ5番という順番で、その他はコンサートで実演を聴いたのが先になりました
九響の演奏は華やかで聴衆の就任を言祝ぐ雰囲気とマッチして、最後のファンファーレで編成通りTp3・Tb3・Hr4のバンダ隊が加わり、華々しく堂々としたフィナーレが出現
16型で祝典を聴くのは始めてで、もともとボリショイ劇場の委嘱作品なので、ストリングスなどは弱いポイントをいくつか感じますが、そこを強化する狙いもあったのかなあ
マケラ/オスロPOで聴いたおしゃれで洗練された祝典とはまた違った、華々しいけど九響の方がロシアンテイストでこれはこれでGOODでした
ちょっと変えて吹奏楽で
開演まえに太田くんと亀井くんのプレトークがあり、超絶技巧系が得意な彼としてはショパンPf協1を弾くのはチャレンジのようなコメントがありましたが実演では~
昨年6月以来の亀井くん
Pf協1も超有名曲というかショパンコンクールで決勝にすすむとコンチェルト勝負となることは皆さんご存じのとおり、そして優勝者のほどんどがこの1番をチョイス
まだ22歳の彼はもしかしたらショパコンに挑むこともあるかもしれませんが、今回のような演奏(決して悪い演奏ではない)では、ことコンクールではまだまだという印象でした
傑出したテクニックとダイナミズム、確固たる曲想の表現、打鍵の堅確性どれをとっても一級品の彼ですが、ショパンはまた別世界のニュアンスを求められるという意味では、プレトークを聴いた限りでは彼自身も自覚しているよう
これはアンコールの英雄ポロネーズ(これまた超有名曲)にも共通して感じたところで、ダイナミックな演奏と華々しさのなかに、かすかなニュアンスと毒のようにジワジワと締め付けてくる憂いを秘めた切ない心情を含ませることはこれからの課題ですかね
それにしても毎回彼の出演で目撃するのですが、終演のあと即スタオベで猛烈な拍手をするご婦人方が多数出現個人的には自分の前を長々とスタオベで塞がれるのはご勘弁です
タコ5は以外と少ない
後半のオケ配置
ショスタコーヴィチの生きた時代はイデオロギーの対立、東西冷戦、そしてスターリンの恐怖の独裁が支配してたなかで彼は生き抜くことを強いられました
今の北朝鮮のように真相は闇の中ですが、プーチンのように大人しく毒殺などしてくれない、いつ秘密警察に拉致されて銃殺されるか判らない日々は本当に恐怖だったでしょう
1936年の「プラウダ批判」で作品が反体制と批判され、いつスターリンの大粛正の犠牲者となるかもしれない状況下、作曲済みの第4番は伏せて古典的手法に回帰したような交響曲第5番を革命20周年の年に発表
「第1回ソビエト音楽旬間」にレニングラードフィル大ホールにてムラヴィンスキーの指揮で初演、終楽章が終わる前にスタンディング・オベーションが起こったと言われる聴衆の熱狂を受けて、「社会主義リアリズム」の模範との評価でとりあえず虎口を脱したわけですね
その後もいろいろな解釈や批評を受けつつもこの5番は依然として一環した人気作品に
プラウダ紙
グルジアの怪物スターリン
ソロモン・ヴォルコフ「ショスタコーヴィチの証言」が発表になり、インタヴューを受けたショスタコが自分の死後まで発表をしない条件で応諾したということは、やはり本音はこのなかの内容のように反体制というか表現の自由を求める大作曲者の真実がそこにあるということか
さて演奏ですが前半が終わって休憩時間の常連さんとの意見交換では、最終楽章の速度予想はレニーのような快速テンポが主流で、私も金管のスタミナを考慮する優しい指揮者であればw早いのではと勝手に思っていました
この交響曲第5番のコーダの部分のテンポ指示は、1939年初版譜「♩=188」でその後の1947年版では「♪=184」と、ほぼ倍の速度表記の違いが生じて指揮者によってバラバラになる原因になりました
若きムラヴィンスキー(レニングラードフィル指揮者に就任直前)がショスタコ本人とリハを重ねて初演を迎えた時の、ムラヴィンスキーのスコアメモは「♩=88」と遅い(この後に演奏をリンクしています)
彼はソビエト内外で100回以上の演奏を行い、この曲のスタンダードを創った指揮者なのでそこは尊重されるべきものかな
この5番で好きなのはスヴェトラーノフ旧ソビエト国立交響楽団のモノラルながら明瞭で超速の快演(怪演)や、レニー/NYP(1959年)の名演、インバル/ウィーン響によるショスタコ全集に収録の5番(1990年)、そして本家ムラヴィンスキー/レニングラードフィルによる驚異の演奏とか、人気に比例して多種多彩な演奏がありますね
肝心の九響の演奏は素晴らしかった
ただ私的名演の基準からいけば、もう一歩がんばりましょうでした
当然小泉さんのように永年コンビを組んでいるわけではありません、相性はいいはずなのでこれからというところももちろん有るわけですが、いち聴衆としては1回1回の演奏の出来がすべてという点においては花丸はお預けです
太田さんはかなりダイナミックスの差を意識していて、押さえるところは極限まで絞り、鳴らすところは思い切って鳴らしている印象
そして最終楽章は予想より遅かった
しかし堂々としたフィナーレを、アマチュアでは酸欠で倒れるくらいのたっぷりとしたテンポで吹ききる姿は感涙ものでした
また強力な奏者の力を引き出して、各楽章ででてくるソロもなかなか秀逸な出来
やはりFl首席の大村さんの演奏はすごかったし、木管陣は相変わらず堅牢でCl首席宇根さんのソロもGood、扇谷さんのVnソロもよかった
あれこれ背景は置いといて、ショスタコの精緻な曲づくりは凄みさえあり、逆にそこを活かしきる構築もある意味至難の業かも~各論最適でも全体最適とはなかなか行かない
初日の印象としては太田くんもよくスコアを読み込んでおり、各楽章も深い洞察を元にオリジナリティの発露も見受けられましたが、ショスタコの壮絶な絶望の表現を訴える境地までは至らずということろかな
2日目の課題としては、Hrがかなり改善されたもののショスタコ交としてはまだまだ物足りず倍管でもいいくらいと感じました
それにしても自分がTb族だからというわけではなく、相変わらずTb&Tubaは今回も見事にロシアンテイストに爆発しておりサスガでした~ぶらぼぉぉぉ~~~
さて2日目やいかに各楽章の演奏コメントは2日間の総合評価でね