2月12日にはアクロスで福岡公演を楽しみましたが、20日は佐賀公演へ参上しました
福岡公演はコチラ
佐賀文化会館に到着
2024年2月20日
佐賀文化会館大ホール
日本フィルハーモニー交響楽団
第49回九州公演
in Kyushu 2024 佐賀
Cond:下野竜也
Vn:服部百音(Guarneri del Gesù)
ConM:田野倉雅秋
【第1部】
歌劇《皇帝ティートの慈悲》序曲 K.621
(W.A.モーツァルト)
ヴァイオリン協奏曲ホ短調 Op.64
(F.メンデルスゾーン)
第1楽章 Allegro molto appassionato
第2楽章 Andante
第3楽章 Allegretto non troppo
【ソリストアンコール】
無窮動(N.パガニーニ)
レチタティーヴォとカプリスより(F.クライスラー)
【第2部】
幻想交響曲Op.14(L.H.ベルリオーズ)
~ある芸術家の生活のエピソード
(Episode de la vie d'un artiste)
第1楽章「夢、情熱」 (Rêveries, Passions)
自席(1C21列29番)から
佐賀公演は毎回この文化会館で開催されますが、今回は実行委員会メンバーさんと故知を得てチケットを入手できました、ありがとうございました
いつも早めに到着しては徘徊するのですが終演後の楽団員との懇親会受付のスタッフの方と少しオシャベリ~元定期会員としては懇親会へ心動きかけましたが、車で来場していたのでグッと我慢の子でした
それにしても毎年佐賀の入りは良くないそうで、一重に福岡からの来客数にかかっているとのこと佐賀ファイト
彼女とは7年ぶり
もう記憶の彼方ですが、当時タコVn協1をリリースしてレコード芸術でも推奨盤となり、注目を集めていた彼女の実演を聴こうとオーチャードへお出かけしたようですね
本当は他を(できればタコ協)聴きたかったものの贅沢は敵だ~家人にはちょうどよいメンコンもまた楽し6月にはミッキー井上さん&N響でタコ協1&2を演るようですね
この曲の好みはハイフェッツのシナヤカで軽やかな演奏ですが、今回の彼女の演奏は濃厚で踏み込みが深い(使用楽器も影響)日フィルも割とダイナミックレンジの広めな伴奏でした
出だしはやや慎重にも感じましたが、肩もほぐれたのか(スポーツじぁないよね)赤いドレスを翻し体も前後左右に動き始め、オケが経過主題を奏すると超絶技巧が爆発~スゴッ
2017年の演奏もしっかりしたものでしたが、今回かなりの年数を重ねての再会だけに、有無を言わせぬ存在感で堂々たるカデンツァを披露
第1楽章冒頭の哀愁帯びた名主題
竜ちゃんのプレトークで「クラシックを聴いて、どこで拍手すればよいか判らない人も安心して下さい。この曲は全楽章続けて演奏されます(笑)」と話したとおり、あれよあれよと言う間にアタッカで第2楽章へ
第2楽章Vn主題
Fgの通奏低音で楽章間をつなぎ、優しく美しいVnの主題が登場し、ゆったりとした6/8の主題を美音で朗々と表情豊かに歌い継いでいきます
これに応えるようにオケが短調的な曲想でたっぷりと鳴らすと、これを合図に独奏Vnが重音を絡めだし、オケが更にやや重いメロを奏した後に冒頭の独奏Vnへと回帰して、瑞々しいソロで締めくくって第3楽章への繋ぎのソロへ
第3楽章主題
Timpと金管のファンファーレ風の合図で、独奏Vnが主題を提示し変奏から展開していきます
軽やかに独奏Vnが飛び回るとオケの第2主題と絡み合い、再現部を経て独奏も最高潮となり華々しいコーダへと突入し超高速パッセージを駆け抜けてフィニッシュブラヴァ
まあどの曲にも人それぞれの好みの演奏があるものですが、構えは大きいものの細部にも弱音のもこだわりを感じさせ、歌うところは濃厚なテイストの演奏もオツなものでしたGoodJob
お疲れ様
一息ついて休憩したら(休憩時間はXで毎回速報を送信するのでご多忙な私)いよいよ幻想のスタートです
福岡公演では切れ味たっぷりのドヴォ8を聴かせてくれましたが、ダイナミックレンジは大きくとってはいたものの、以外とppを丁寧に仕上げた印象の演奏でした
前回の幻想はコチラ
超有名曲なのでその背景etc.の説明は全く不要と思いますが、本人が「idée fixe」と称した恋人の固定楽想はやはりポイントで、執拗に繰り返されるところは私的には嫌いじゃない
まずは第1楽章がスタート~標題交響曲のとおり夢見るような柔らな序奏で現わすと、この「イデー・フィクス」が登場します
遠くから愛しい彼女を見つけて激しく動揺したり、片思いが成就するのかと焦燥感にかられたりと曲想はめまぐるしく変化していきますが、序奏のVnセクションの何と美しいことか
第2楽章は華やかな舞踏会で彼女を見つけてまたまた激しく動揺するストーカーもとい主人公、あやしい低弦の動きとVnのトレモロからHarpが入り曲が始まると一転して場面転換
Vnがメロを奏でるワルツのなんと気品のあることか、これに印象的なHarpが華やかさを添えます~ritとa tempoが効いています
木管が奏でる「イデー・フィクス」で再び彼女が暗示され姿を追う主人公ですが、対旋律的に絡みつくワルツが展開され、やがて彼女は舞踏のなかに消えてしまします
ちょっと神経質そう
第3楽章は彼女の影を追って野原を彷徨う主人公、遠くから聞こえる羊飼いの Ranz des vachesがより一層静寂のなかの孤独感を強調します~なにやら雷鳴も聞こえ始めます
ステージ上のコールアングレと上手袖の裏で奏されるObのソロによる交換(楽譜に指定あり)があり、一聴するとのどかな原風景ですがやがて木管陣による「イデー・フィクス」が登場すると弦部による激しいTuttiが湧き上がりますがやがて静寂へ
弦部のピチカートのあと最初のコールアングレに回帰すると、なにやらTimpによる雷鳴が主人公の行く末を暗示してEND
いよいよ幻想も佳境にはいり第4楽章の断頭台(いかにもフランス)が演奏されます~Timpの刻みとHrのゲシュトップ奏法が始まるとおお来た来たという感じですね
主人公はアヘンを吸引して見た夢の中で愛しい彼女を殺し、死刑判決を受けた彼は断頭台へと行進させられると、民衆の熱狂のなかギロチンの一撃で殺されます
まさに断頭台へと向かう彼の行進を華々しく金管陣がファンファーレ風の主題を吹奏して表現します~私は大学生のときにTbでこの曲を演奏しましたが吹いても高揚感がありますね
そして処刑台で跪きその首を差し出すと、彼の脳裏に浮かぶ彼女の幻影がClのソロによる「イデー・フィクス」で一瞬だけ奏され、すぐに容赦なくギロチンが落ちてあえなくThe End
終演後のサイン会でしっかりゲットてへっ
最終楽章はサバド(日本でいえば百鬼夜行の大狂宴)~主人公は死刑にされた自分の葬儀にサバドを見るわけですが、やはりここは圧倒的スケール感と表現でクライマックスを創りたい
不気味な序奏が始まると速いテンポでまたまたClソロによる「イデー・フィクス」が執拗に現れますが、彼女もまた醜い化け物となってサバドへ来ているのです
Tuttiを挟むと今度はClから引き継がれてE♭Clが「イデー・フィクス」を演奏し、これにPiccやFgが加わり滑稽さや不気味さが加味されて、またしてもTuttiへと拡大します
ひとしきり騒ぎが終わるといったん静寂が訪れますが、遠くから死者を弔う鐘が聞こえます
高校とかだとチューブラベルで代用したりしますね、今回は上手舞台裏の袖なので直接確認できなかったのですが、音からいくとカリヨン系のように感じがしました
カリヨン
鐘の音が響くといよいよクライマックスへ向かって突き進みます、今回の日フィルはここからの破天荒な推進力に物足りなさを感じましたが、これもいわゆる文化会館ホール(多目的ホール)の宿命的欠陥でFFFのTuttiになっても音圧を感じず残念でした(判っているならホール中央席は避けろってかあ)
ともかくグレゴリオ聖歌「怒りの日」の主題をダブルTubaで提示、楽譜ではオフィクレイドを指定(フランス生まれ低音用金管楽器サクソルン属)、これを受けてTbが主題をコラール風に演奏しますが、実演ではもう少しはっきりと動きをだした方がカッコイイかな
怒りの日(Dies Irae)
やがて入り乱れるロンドへ突入フーガも交えながら徐々に熱気が増していき、ここに金管ユニゾンによる「怒りの日」がFFで被さってきます~キタ===
これをからかうかのようにVnが弓で弦をたたくコル・レーニョ奏法を出すと金管が咆哮、ぐっちゃぐちゃの狂宴が圧倒的なスケールで爆発&フニッシュぶらぁぁぼぉぉう
団員あいさつ
私たちが高校生時代は最終楽章を「ワルプルギスの夜の夢」と呼称していましたが、断頭台とこの曲はやはり全日本吹奏楽コンクールの自由曲LPで初めて知りました
そしてオケアンコールのラコッツィ行進曲も同様、近頃はとんと聴かなくなった曲のひとつで、超なつかしの名曲の演奏にありがとうでした
シモーノさんはベルリオーズつながりでと演奏前に紹介されていましたが、私には昭和の吹奏楽つながりに感じましたですハイ
九州公演は9公演の長丁場でしたが団員・スタッフはじめ各地の実行委員会のみなさまお疲れ様でした~シモーノさんとは5月の九響定演のドヴォ7でまたお会いしましょう
来年は首席指揮者のカーチュンを迎えて、ますます素晴らしい九州公演となりますように感謝カンシャありがとうでした
マエストロ小澤
チョン・ミョンフン